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「これは、ただのスポーツではない」 ラグビー愛あふれるウェールズ

こんにちは。日本代表の躍進で盛り上がったラグビーワールドカップも、3位決定戦と決勝戦を残すのみとなりました。

実は、今回のワールドカップに出場した20チームの中で、アンダーアーマーが契約しているチームが一つだけあります。欧州チャンピオンのウェールズです。直接チームをサポートしているのは英国のアンダーアーマーですが、日本でもウェールズ代表のオフィシャルアイテムを販売したり、国内でイベントを開催するなどした際にチームと連携してきました。

ウェールズのことを簡単にご紹介すると、英国にある4つの地域(他はイングランド、スコットランド、北アイルランド)の一つです。人口は横浜市よりも少ない、でも大阪市より多い約314万人。土地面積は四国よりも少し大きい程度です。ところが、ラグビーに関して言えばめちゃくちゃ強いです。
今年の3月に行われた欧州6カ国対抗戦で全勝優勝。8月には、10年以上世界の頂点に君臨し続けたニュージーランドを抜いて、世界ランキング1位になりました。今大会でも危なげなく予選プールを1位で突破すると準々決勝ではフランスを終盤に見事逆転して勝利。準決勝では愚直なまでのフォワード戦から素早いボール回しを見せて執念のトライをもぎ取るなど終盤まで南アフリカと互角に戦うも、最後は力尽きて惜しくも3点差で敗れました。その素晴らしい戦いぶりは疑う余地もなく、世界トップレベルです。

そんなウェールズ代表に対する日本側の窓口となったのが、入社3年目でスポーツマーケティングを担当する鈴木涼平です。彼は1年ほど前からウェールズのラグビー協会、代表チームとコミュニケーションを取る中で、ウェールズの人々のラグビーに対する愛情の深さを知ったと言います。

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鈴木涼平
ラグビー協会や代表チームはもちろん、日本に在住するウェールズ出身の方々のコミュニティーを通じて多くの人たちに会いました。まず、合宿地の選定の時から彼らには強いこだわりがありました。強く主張していた条件が、「日本の子どもたちに対してラグビーの普及・交流活動ができる」ということです。北九州市が選ばれた背景には、同市が子どものラグビースクールの数が日本でも3本の指に入るほどラグビーの盛んな地域であり、交流活動にも熱心に取り組んでいるという事実があります。最もラグビー愛を感じることができたのは、元ウェールズ代表の選手で、協会スタッフとして活躍しているリース・ウィリアムズさんとやりとりをしている時でした。彼は私たちと初めて会った時も、クリニックで子どもたちにラグビーを教える時でも、必ず最初にウェールズが大切にしている“価値観”を説明するところから始めます。それは仲間(家族・祖先)を大切にするということだったり、決してあきらめない、などということです。そして、ウェールズの人たちにとってそれらを体現するラグビーがどれほど重要な存在かということを伝えるのです。

北九州市で行われた公開練習やクリニック、熊本や大分でウェールズが開催した交流イベントの様子について、現場でオフィシャルアイテムの販売などを担当していたチームセールス&マーケティング部の鈴木秀芳はこう語ります。

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鈴木秀芳
ラグビークリニックは合宿地の北九州に加えて、大分と熊本で合計4回行いました。クリニックの対象は幼稚園児から社会人まで幅広い年代の選手だったのに加えて、レフリーに対しての指導もありました。一番印象的だったのは、参加者以上に教えるウェールズの人たちが楽しそうしていたことです。準備の段階から本当に幸せそうでした。実際に始まると、選手たちが自ら大きな声を出し、鼓舞して、とにかく成功をほめていました。その様子は、ラグビーの楽しさを伝えるだけでなく、スポーツをすることの喜びを全身で表現しているようでした。
また、彼らが「ウェールズの文化」と呼び何度も説明していた言葉がパッション(情熱)です。
北九州市の小学生たちがウェールズ国歌を披露した際には、「みんなから強いパッションを感じた。日本を応援すると思うけど、その次にウェールズも応援してほしい」と言っていましたし、高校生に対しては「何事にもパッションを持って取り組むんだ」とアドバイスしていました。
あと、練習でもクリニックでも印象的だったのが、失敗するとすぐに基本に戻って、徹底的に基本をたたき込むことを繰り返します。一切手を抜かずに、全力で基本を繰り返すこの姿勢が、ウェールズの強さを支えていると感じました。

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ちなみに、成功をほめるということに関連して、私たちが大切にしている価値観の一つに「CELEBRATE THE WINS(賞賛する)」というものがあります。私たちアンダーアーマーは新しい価値を創り出すブランドです。当然、その過程では失敗することもあります。だからこそ、大小に関わらずすべての達成、勝利を讃えて楽しむ。自分たちを誇りに思う時間を作る。そうして、最終的なチームの勝利を目指しているのです。

大会が始まってしばらく経ったある日、新宿にあるアンダーアーマーのお店をウェールズ代表チームが訪問しました。その際に、何人かの選手やスタッフに話を聞くことができたのですが、フォワードコーチのロビン・マクブライドさん(冒頭の写真右)が、とても印象的なことを言っていました。「ウェールズの最大の強みは何ですか?」という質問に対する答えです。

マクブライドコーチ
ウェールズの最大の強みは、選手もスタッフも我々全員が大きな志を持っていることだよ。ウェールズにとって、ラグビーは文化。世界の頂点を目指して、誇りを持って戦っている。だから、フォワードが押し負けることは決して許されないんだ。

ウェールズにとってラグビーは文化であり、もはやスポーツ、国技という概念すら超えているのでしょう。日本人にとって同様のモノは無いのかもしれませんが、ウェールズ協会が作成したこちらの映像をご覧いただくことでそのスケール、感覚の一端をつかんでいただけるかもしれません。

ウェールズはワールドカップでの過去最高成績となる3位を目指して、ニュージーランドと戦います。過去34戦して31敗。最後に勝ったのは66年前の1953年です。私たちは誇り高き「レッドドラゴンズ」を最後まで応援し、その戦いを見届けようと思います。

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