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中国Z世代が夢中のバーチャルヒューマンを起用!新日本製薬「PERFECT ONE FOCUS」の中国進出計画とは

新日本製薬株式会社の20〜30代の肌悩みにフォーカスしたスキンケアブランド「PERFECT ONE FOCUS」が2023年1月に中国Tmall Global(天猫国際)で旗艦店をオープンしました。中国SNSも活用し、中国での展開を本格化する中で、新たに中国におけるブランドアンバサダー(代言人*)としてバーチャルヒューマンのRiaの起用を発表。なぜバーチャルヒューマンを起用したのか、狙いを聞きました。

* 中国でスポークスパーソンを指す言葉

羽鳥成一郎/新日本製薬 株式会社 取締役
エイボン・プロダクツ株式会社を経て、日本ロレアル株式会社百貨店向ブランド事業部長、エスエス製薬株式会社 代表取締役社長兼最高経営責任者、エイボン・プロダクツ株式会社 代表取締役社長。平成24年5月からはアメリカを拠点にKowa Health Care America. Inc. CEO、平成29年9月からZeria USA. Inc. CEOを歴任。令和元年12月より現職。

福積亮/株式会社unbot グローバル営業統括
2016年に株式会社unbotに入社し、グローバル営業統括に加え、中国の大手プラットフォーマーや、ソーシャルメディアとの業務提携にも責任者として関与。2022年9月に自身2年振りとなる2回目の中国赴任となっており、中国の最新のデジタル、EC、クリエイティブ、ライブコマースなどの研究を行う。中国駐在歴は9年目。

新日本製薬とunbot、二人三脚で中国展開を拡大−−「PERFECT ONE FOCUS」はいつから中国で展開していますか?

羽鳥:新日本製薬にはマチュアな女性をターゲットにしたブランド「PERFECT ONE」があり、日本でナンバーワンのシェアを獲得しています。代表製品のオールインワン美容液ジェルはグローバルでもニーズがあると考え、中国市場でも数年前から販売してきました。「PERFECT ONE FOCUS」も国内ではAmazonクレンジングクリーム売れ筋ランキング1位*1、楽天デイリーランキング クレンジングバーム部門 1位*2、本音のコスメ批評誌「LDK the Beauty」2022年8月号 クレンジング部門2022年上半期ベストコスメを受賞し、10,800店で展開しています(2022年12月時点)。新日本製薬としては「PERFECT ONE FOCUS」をグローバルブランドとして位置付けており、2023年1月に中国展開をスタートしました。


*1 2022年6月2日 *2 2022年7月13日更新/2022年7月12日集計

−−グローバルブランドとは具体的にどのようなイメージですか?

羽鳥:現代は世界との距離が縮まり、世界中の情報が手に入るようになりました。その中でターゲットとする20〜30代の方達はグローバルで共通するトレンド意識やライフスタイル、価値観を持っており、「PERFECT ONE FOCUS」も国別に商品を分けるのではなく、グローバルコンシューマーに向けたブランドとして開発しています。


羽鳥成一郎/新日本製薬 株式会社 取締役

−−中国市場をどのように位置付けていますか?

羽鳥:グローバルの中でも、特に中国のお客様にはブランドを受け入れてもらえるのではいかと考えています。中国女性のライフスタイルは非常にアクティブになり、大都市では女性の65%ほどが仕事をしています。一方で将来の不安やワークライフバランスの問題など、かつてないスケールでストレスが高まりつつあり、健康や美に対する取り組み方や価値観も変わってきています。
ストレスだけでなく環境問題、食事のバランスといった外的要因も加わり、乾燥や敏感肌、毛穴などの悩みが増え、健康な肌状態を保つのが難しくなっています。「PERFECT ONE FOCUS」はそういった活躍するアジア女性に寄り添う存在を目指しています。

−−「PERFECT ONE FOCUS」の中国展開支援にunbotと手を組んだ理由は?

羽鳥:我々は中国現地に対しての知見が浅く、中国市場における信頼度があり、先駆者の目を持ったパートナーを探しており、中国現地に根ざしたunbotさんと組むことになりました。

−−unbotはどういったサポートを提供していますか?

福積:市場環境分析から、消費者調査、戦略構築、クリエイティブ製作、EC運用、SNS運用、データ分析まわりなどのご支援を運営をしています。NMPA(国家食品薬品監督管理総局)の輸入許可には時間がかかるため、まずは越境で出品ができ、新日本製薬さんの消費者ターゲットとの親和性がある天猫国際からスタートしました。EC以外では、ターゲットの使用頻度が高いSNSを運用しており、口コミが共有されるRED(小紅書)、天猫との親和性が高いWeibo(微博)、送客プラットフォームとしてDouyin(抖音、中国版TikTok)と、それぞれ役割や目的を分けて運用しています。さらに自然発生的にUGC(User Generated Content)を生んでいく施策なども運用しております。


福積亮/株式会社unbot グローバル営業統括

−−unbotとはどのように取り組みを進めていますか?

福積:新日本製薬さんとは週次でミーティングを行い、そこに羽鳥取締役も毎週参加していただき、スピーディーに売上とロイヤリティの最大化のためのPDCAを回しています。以前のある週次定例ミーティングでは、我々から8つの新しい施策をご提案させて頂いたところ、即座にOKを頂いたことに驚きました。他の企業様だと、ご検討にお時間を要し、「また検討してフィードバックします」などのご回答を頂くケースもある中で、この変化が早い中国EC市場において、時代と流れ、現状に合わせた変化にお答え頂けることは嬉しく、非常に助かっております。これだけの大企業様の取締役が毎週ミーティングをして判断してくださるのは、それだけ中国市場への本気度を感じますし、我々もいい緊張感を持って取り組んでいます。

羽鳥:私自身アメリカで10年のビジネス経験がありますが、日本と海外ではスピード感がまったく違う。スピード感は大事だと考えています。

なぜバーチャルヒューマン「Ria」を起用?

−−ブランドアンバサダーには、なぜバーチャルヒューマンを起用したのでしょうか?

羽鳥:当社のパーパスである『美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる。』のもと、前例のないことをやっていきたいと考える中で、unbotさんからバーチャルヒューマンを提案いただき「これはぴったりだ」と思いました。中国は世界でもトップクラスのデジタル先進国ですし、躊躇せずバーチャルヒューマンの起用を決めました。

−−その中でもRiaを起用したのはなぜでしょうか?

福積:まずバーチャルヒューマンを起用しようと考えてRiaさんに辿り着いたのではなく、ブランドの方向性とRiaさんの元気で活発な性格と、明るく友達の多いキャラクターがマッチしていること、1級都市〜2級都市の人が多くフォローしていることからRiaさんを選びました。中国女性の憧れる部分を体現した姿だと思います。また中国市場におけるメタバースやバーチャルヒューマンの成長性、Z世代がどう感じているかという裏付けのデータと、一般消費者の声を反映したご提案書を作成いたしました。

羽鳥:現代社会で活躍するにはストレスがつきもの。Z世代の理想のライフスタイルやイメージを作っていく上では、Riaさんのストレスフリーで生き生きとした姿、キラキラ輝くキャラクターが憧れられる部分だと思います。現代女性の心に寄り添って、そういったところをプロモーションしたいと考えています。

−−Riaを通じて発信したいブランドのメッセージは?

福積:商業的な意図も踏まえ、話題性を獲得するプロモーションを企画しています。例えばKOL(Key Opinion Leader)とのコラボでは、有名KOLとのコラボ企画を計画しているのですが、詳しくは話せませんが、このコロナ禍が収束せず、国境を超えることが難しい今だからこそできる良い「違和感」があるような企画を検討しております。実際のリリースが楽しみですし、新日本さんとRiaの化学反応も非常に楽しみです。

羽鳥:我々はグローバルコンシューマーというマインドを持っていますが、KOLとRiaさんのコラボもボーダーレスな取り組みだと思います。日本から見ても新鮮なプロモーションですし、東南アジアでも今後注目されるかもしれない。さまざまな波及効果があるのではないかと期待しています。


バーチャルヒューマン「Ria」

短期決戦ではない着実なブランド作りをサポート

−−今回のRiaの起用はブランド全体の販促計画の中でどのような効果をもたらす?

福積:Riaさんの起用をファーストステップと位置付け、今年度(〜23年9月)中に計画するさらに大きな施策につながるストーリー性のある施策として企画しました。代言人を起用するだけでなく商品やプロモーションなど含め、ストーリーラインの中でどんどん売上を高めていく計画です。

−−中国では大物有名人を起用して最初から売上を作る方法も主流ですが、着実に成長していく計画?

羽鳥:大事なブランドなので、数年で失速するようなやり方ではなく時間をかけてブランド構築したいと思います。プロモーションをするだけでなく商品の開発、効能・効果、使用感やデザインといった部分まで受け入れられて、そのイメージを持つ方がプロモーションをするという段階を持ちたいと考えました。

福積:立ち上げ当初から大型投資をもって、売上の初速を最大化することはできますが、ブランドと消費者が瞬間最大風速の認知拡大で疲弊してしまうことを恐れております。ブランドの成長に合わせて消費者も一緒に育っていく感覚を大切にしたいといつも思っております。約10年ほど中国ビジネスをやっておりますが、このようなやり方をして、半永久的に伸びていくブランドはわずかだと思っております。最初はブランドの規模感に見合った人を起用し、代言人と一緒に成長していくような過程が踏める方が理想的です。今は投資拡大フェーズでなく、ROI(Return On Investment)を意識しながら新日本製薬さんと一緒に、自然なユーザーの口コミと共感を生むフェーズとなっております。

−−どういった口コミが生まれていますか?

福積:商品ローンチ前の消費者調査のときも、消費者からの良いフィードバックが多く、一定手応えを感じていたのですが、実際の販売を開始してみると、その想像をはるか上をいく好評を消費者から頂いております。
越境ECの0→1フェーズの他のブランドさまと比較させて頂いても、各重要KPIにおける初速はトップクラスです。ジェルアイテムは中国では一般的ではありませんが、「パーフェクトワンフォーカス スムースウォータリージェル」にも高い評価がついており、いい意味で誤算でした。

−−今後の中国市場での目標は?

羽鳥:グローバルブランドではありますが、その国の文化や社会状況に適応していくことも必要なので、中国の女性に寄り添う商品作りやキャッチコピーも考えていきたい。そこは中国現地にスタッフが多いunbotさんと一緒に取り組みたいと思います。

福積:新日本製薬さんは有形商材でありながら、無形商材のように中国でゼロからブランドを作り上げようとしてくださっていて、我々も短期的な取り組みとは考えておらず、長い期間サポートさせていただきたいと思っています。

羽鳥:今後数年で現地パートナーに販売を任せていた「PERFECT ONE」の売上を超えたいと思っています。中国の成功を足がかりに、グローバルに広げていきたいですね。


バーチャルヒューマン「Ria」プロフィール
2019年4月にバーチャルヒューマンの制作・プロデュースを行う株式会社Aww(本社 : 東京都渋谷区、代表 : 守屋貴行)のバーチャルモデルとしてデビュー。独特な世界観とミステリアスな雰囲気がアジア諸国にて支持されています。緑髪にイメージチェンジをした後には同じくバーチャルモデルの「imma」の弟「Zinn」との交際を発表。2022年にはミスiD2022で新しいヒロイン賞・ViVi賞を受賞し、今後のモデル活動に注目が集まっています。

・ 「Ria」のInstagram アカウント
https://www.instagram.com/ria_ria_tokyo/
・「Ria」のREDアカウント
https://www.xiaohongshu.com/user/profile/613edf1c0000000002018b0b


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