バカン・ミャンマーが愛おしい…!
今回は、近くて遠い(?)ミャンマーの遺跡群について!
ミャンマー出身者と話すとき、決まって「バガン(Bagan)に行ったことあるよ!」と言ってしまう。「本当?!とっても美しかったでしょう:D」と誇らしく答える彼らの姿は、外国人観光客に対して、京都や奈良について語る、我々日本人の姿と、どことなく重なる。
バガンは、カンボジアのアンコールワット・インドネシアのボロブドゥール遺跡と並んで「世界三大仏教遺跡」の1つであり、世界遺産の有力候補とのことだ。
この遺跡群こそがミャンマーの仏教文化の起源である、と耳にすれば、その重要性をより実感するだろう。1000年前にバガン王朝のもと栄えた古都であるバガンには、今も約3000ものパゴダ(仏塔)が林立している。
ゲストハウスで自転車を借りられるので、遺跡群をサイクリングしながら、緑豊かな低木の雑木林を抜けると、突如姿を現わしたのは、赤茶色のパゴダ。
入口付近では、絵描きたちが、自慢のパゴダや仏像の絵を床に広げている。彼らと憎めないしつこさのセールストークを交わした後、我々はパゴダの中に入り、展望台のような塔のてっぺんから遺跡群を見渡した。近くから見ても遠くから見ても、パゴダは信仰心のない者たちにも荘厳な印象を与える。
すると、突然、近くにいたおじさまに(観光客のために覚えたと思われる)片言の英語で話しかけられた。
「君たち!ここで何をしている?もうすぐ夕陽の時間だから、早く行かなきゃ!案内するよ!」
「あぁ、絶対、あとからお金を請求されるだろうなぁ…」と言わんばかりに、同伴していた友人と互いに顔を見合わせながらも、半ば強引に連れていかれた先は、「シュエサンドーパゴダ(Shwesandaw Pagoda)」。
どうやら人気の夕陽観賞スポットらしい。
おじさまは「楽しんで :) 」と一言残して、お金を一切とらずに行ってしまった。旅行をたくさんするうちに、人の善意をも疑うようになっていた自分が情けなくなった瞬間だった。
(パゴダには、混み合う時間の前に到着できた。ありがとう、おじさま!)
夕陽は遺跡群をあっという間に金色に染めた。角度によっては影絵にも見えるパノラマを、観光客も、地元民も、屋台の店主も、みな、無心で見つめている。
まるで時が止まったかのように見える遺跡群ではあるが、お土産や絵画を売って生活する商売人、観光客に対しておもてなしをしようと努める地元民、夕陽には目もくれず談笑するメカ修理屋たちの、それぞれの止まらぬ日々の生活がある。
「あぁこの遺跡群は生きているのだなぁ…」と感じ、感慨に耽った。
ところで、この文章を書いていると、ミャンマー滞在中に毎日食べていた「お茶の葉サラダ(ラペットゥ)」を無性に食べたくなる。
実は、学生の街として知られる、東京の高田馬場の別名は「リトル・ヤンゴン」であり、ミャンマー料理店が複数存在する。COVID-19が落ち着いて、外食をする心の余裕ができたら、高田馬場でミャンマー料理を味わってみるのはいかがだろうか?
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