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#エッセイ
WAY DOWN WE GO
時々潔癖と言われることがある。飲み会の席でふと話す言葉から、隣に居座り絡んでくる酔っ払いのほとんどに、私は病的な潔癖症だと言われる。
TEARS DRY ON THEIR OWN人と一緒のベッドでは寝付けないし、狭い部屋で一緒に食事したときのお互いの生活音を気遣うことを想像しただけで息がつまる。誰かと結婚して一緒に暮らしたとしても、認められるか分からない味、ふと匂う自分のにおい、相手を失望させな
髪のひとすじ 血の一滴 あなただけ
物に恨みはないとずっと思っていた。というより自分にそう言い聞かせていた。情に流されず、どんな時でも私情を絡めない判断ができる人間でありたいと強く願っていた。もう二度と会いたくない人からもらった物も、必要であれば使い、必要なければすぐに捨てられた。物はただの物だからだ。
しかし、つい先日、あんなに嫌っていた私情と欲まみれの自分と対面することになった。実家の片付けをしていたら、二階の物置に、大学に上
もうどうにもならない思いと生きる
部屋の掃除をする度に
まだ残っていたのかと思う
あなたがいた痕跡
もう全て捨ててしまったと思っていたのに
こうして再びあなたの夢を見て
部屋のなかのあなたを探し出している
あなたとの思い出も あと少し あと少しで
#エッセイ
PUT YOUR HAND ON THE TABLE
月の輪郭がよくわかる子だった。目が悪いはずなのに、なぜか月の満ち欠けを識別できた。
私には霞んで見えないものが、あの子には鮮明に映っていた。何を見てこれまで生きてきたのかが違っていたのだ。
今晩の月がどのように欠けているかなんて、考えたこともなかった。不意に見せるロマンチストな一面に、はっとさせられることも多かった。さりげない仕草からにじみ出る色気の理由が分かった気がした。
掛けた電話に折り
ALL I WANT IS TO UNDERSTAND
やっぱりあの時に傷でもつけておけばよかった
そうすれば忘れずにいてくれただろうか 痛みと傷跡と私を
穏やかな心音は狂気をさらって
服からこぼれる香りは焦燥を和らげて
ただ胸にしがみ付いて 縋った
言葉も視線も何も交わさずにただ祈った
もしかしたら ずっと一緒に居てくれるとか
そんな一言くらい 言ってくれるんじゃないかって
#エッセイ