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【超能力捜査】イギリス人オーナー殺○事件


2003年4月27日、日曜日。イギリス。一台のパトカーがバーミンガム近くの静かな村にあるロイヤルオークパブへ向かっていた。被害者はこのパブのオーナー、ミック・ヒューズ。

パブの上にある自宅で襲われ、頭が割れるほど何度も強く殴られた後の出血死だった。ミックが寝ていた寝室は荒らされていて、強盗だったことを示唆していた。

ミックはあと2か月で60歳の誕生日を迎える家族思いの男性である。娘シャロンはその知らせに打ちのめされる。

「テレビでは見るけど、実際に体験するまではそれが人間として家族としてどれほど破滅させるものか説明できません。本当にできない。妹と私は、父の身元確認のために『遺体安置所に行ってもらえますか?』と聞かれました。人生で最悪の出来事でした。」

家族は正義を求めて必死だった。しかし数週間にわたる法医学調査と何百回もの地元民への聞き取りにもかかわらず、警察は決定的な証拠を見つけられない。

一人の住民が、地元の超能力者、アンジェラ・マッギーを呼ぶことにする。

超能力者のアンジェラ・マッギーは言う。

「友人から電話があって、現場に行って地元の殺人事件を手伝ってほしいと頼まれたのですが、私の反応は、もし信じてもらえなかったら?というものでした。愚かに見える行為をしに行くつもりはありません。私は霊を通してメッセージを受け取るまで待つと言いました。すると私の父の霊から行くようにとメッセージを受け取ったのです。父は、『この殺人は?この殺人は?』と言っていました。それで私は行かなくちゃと悟りました。サイキックは精神界の楽器だと信じています。自発的なものではありません。自分がしなきゃいけないことをするだけです。」

アンジェラは事件のあったロイヤルオークパブへ向かう。一度も来たことはなく、殺人事件についても何も知らなかった。

「私は車の中でしばらく瞑想し、祈りながら言いました。『神様、ビジョンのある私はこの人達に何を伝えなければいけないのでしょうか』と。3人の男が黒い非常階段を登って、手すりを越え、屋根を越え、フレンチウィンドウから中に入っていくのが見えました。そうやって犯人はこの建物に侵入したのだと思いました。」

アンジェラは中に入ることにする。そこでミックのパートナーでパブの世話をしているバレル・チャップマンに迎えられる。彼はパブの居住区部分を案内してくれた。廊下に立っていると突然彼女は2回目のビジョンを見る。

「本当に押したり引いたりが起こっているように体が動いているのが見えました。そして血がありました。ぱっと映し出されて、文字通りのビジョンでした。」

彼女が寝室へ行くと、ミックの運命に遭遇する。部屋の中へ入っていくと、霊が過去の恐ろしい瞬間を垣間見せた。

「また別のビジョンで、ミックの遺体が窓の下に横たわっているのが見えました。頭に傷が見えて、片側が下になっていました。突然、心の目の中にミックの姿が見えました。」

彼の霊がアンジェラの前に立って現れる。

「彼は持ち上げていた金の鎖のブレスレットを強調していました。」

ミックはアンジェラに、犯人は彼のブレスレットを盗んだと告げる。

「ミックは私に言いました。彼はその人物を知っていて、一緒に酒を飲み、釣りもしたことがある。その人物のことをよく知っていたと。完全に唖然としました。ここで深呼吸をしようと思いました。聞いたことが信じられなかった・・。」

驚くべき展開だったが、反応する前にまた別のビジョンを見る。

「まるで彼らが私を急いで通り過ぎたかのようでした。彼らのパニックを感じたのかもしれません。そのうちの一人が靴箱ほどの大きさの箱を持っていました。それだけが見えました。」

アンジェラはこれほど連発したビジョンを経験したことはなかった。しかしパブを出る時、これまでで最も恐ろしい洞察力を持ったビジョンを見ることになる。

「パブを歩いている時、バーに目をやると、奥で働く若い男がいました。体が震えました。まるで魂が抜け落ちているかのような完全な空虚がそこにあるような感じです。その時私は実際に犯人を見ていることに気付きました。」

その男の顔を見ることなく、アンジェラは走り出す。もし彼女が正しければ、犯人は警察の目と鼻の先にいる。

警察には多くの情報が入ってくるが、事件解明に役立つものはほとんどなかった。何か月もの捜査にもかかわらず、逮捕するのに十分な証拠がない。選択肢を使い果たした時、運命が彼らをアンジェラに導く。

捜査の一環で、一人の刑事がアンジェラ・マッギーのサイキックミーティングに参加した女性に会う。その女性はアンジェラがこの事件について論じたと言う。

事件を担当したイアン・バンバー警部が言う。

「証拠は限られているかもしれませんが、アンジェラに話を聞きに行かないのは無謀で少し無知なのではないかと判断しました。少なくとも彼女に会いに行くことにしました。」

刑事達はアンジェラに会いに行く。アンジェラは、非常階段と寝室での遺体のビジョンについて話す。彼女は3人の男が殺人に関与していて、そのうち一人がミック・ヒューズを知っていたと主張した。彼女がこれらのことを知る由はない。しかし彼女の描写は法医学で見つけた情報と非常に一致し、警察が取り組んでいる多くの仮説と一致した。

アンジェラは犯人の一人が靴箱のような形の箱を持って逃げる光景を見ていた。が、警察は彼女が知らないことを知っていた。靴箱ほどのサイズの金庫がパブから持ち去られたことだ。

バンバー警部が言う。

「驚きましたが、同じくらい好奇心と興味をそそられました。我々は犯人が複数であることを確信していたからです。金庫が筐体から引きはがされているのは明らかだったので、アンジェラの箱型の物体が男によって運ばれているビジョンは興味深いものでした。」

アンジェラのビジョンは、警察がすでに知っている事実、または疑っていることを裏付けるものだった。彼女の描写は、警察が立てた仮説と多くの特徴が一致している。 難しいのは、警察が知っている証拠事実とアンジェラのビジョンを一致させることだった。

警察は、アンジェラからの新たな情報をどう判断すればいいのか分からないでいた。主任警部は悲しむミックの家族を安堵させようとする。

ミックの娘、シャロンが言う。

「警察が事件に取り組んでいることを説明してくれました。情報が漏れたり、間違っていたりする場合を考えて、全てを話すことはできないけど信じてほしい、と言われました。この問題を解決し、いつか答えを出すと。」

アンジェラは再び驚くべき事実を明らかにする。

「時々朝目覚めてメッセージを受け取ることがあるのですが、心に残っていたのはイルカとブロックスウィッチ(地名)でした。友達に電話で伝えました。イルカとブロックスウィッチが繰り返し出てくるけど、これは殺人事件に関与しているはずだと。すると彼女はそこにイルカパブがあると言います。その情報を伝えたかったので警察に話しました。三日以内に何かが起こるだろうということも。そして突然名前が出てきました。父親のニックネームのような気がしました。そしてそれは殺人事件にも関連していると感じました。」

アンジェラからの情報は警察に伝えられたものの、その使い道は見つけられないでいた。しかしそこで警察は大きな発見をする。運河で行方不明の金庫を見つけたのだ。突然アンジェラのイルカのメッセージが明確になろうとしていた。

事件を担当したマイク・クランプ刑事が言う。

「ここがパブから盗まれた金庫を回収した運河です。それが突破口になりました。イルカパプは私が立っている場所から140メートル先に位置します。アンジェラがそれを知る由はなかった。そのパブと私達の捜査に明らかな関連性はありませんでした。少なくとも興味深いことでした。」

警察はアンジェラのメッセージの、父親のニックネームについては疑問を残していた。

バンバー警部は言う。

「難しいのは、アンジェラをどこに位置付けるか、彼女が言ったことに対してどうするか。問題は、それを使えないということです。法廷に立って、超能力者として証言してほしいと頼むわけにはいきません。それは認められない。」

有罪にするにはより具体的な証拠が必要だった。そしてちょうど事件から6か月後、ロイヤルオークパブが再び強盗に遭う。今回警察は待ち望んでいた手がかりを得る。

目撃者が、犯人はパートタイムのバーテンダー、ギャビン・チャップマンだと気付いたのだ。彼はミックのパートナー、ベリル・チャップマンの息子である。アンジェラが遭遇した男だ。父親のニックネームとも繋がる。

ギャビン・チャップマンは深刻な薬物問題を抱えていた。警察は彼がヘロイン中毒だと信じていた。恐らくコカイン中毒でもあると。ミックはギャビンが薬に使うお金欲しさに、さまざまな形で自分からお金を取っているのではないかと常に疑っていた。

警察はギャビンが事件に関与している可能性を最初から疑っていた。しかし彼には他の二人の男、スティーブン・ロックリーとリー・ウォーゲンと共にアリバイがあった。

供述の観点から、彼らの動きに疑問を投げかける証拠を警察は持っていた。が、殺人で有罪にするための証拠は、ほとんど何もなかった。いちかぱちかで警察は3人の男達を尋問のために連行する。男達は一人ずつ尋問され、彼らの話が精査される。

彼らは、元の嘘を維持すれば逃げられるだろうと思っていたようだった。しかし途中で一人が話を変え、お互いのせいにし始める。そして一人が自白する。男は殺人事件の夜にロイヤルオークパブに強盗をしたと自白し、彼らはお互いを殺人犯だと非難した。警察は共犯として全員を殺人罪で告訴することにする。大胆な戦略だった。

バンバー警部が言う。

「私の頭の片隅にあったのは、陪審員達が、誰が致命的な打撃を与えたのかを頭の中ではっきりと特定できないのではないかという懸念でした。希望はある。ただ最善を望むだけです。」

一方、クランプ刑事は言う。

「我々は非常に良い、非常に強力な訴訟を起こしたと感じましたが、陪審員の手に委ねられています。」

裁判は2004年10月にバーミンガムで予定される。ギャビン・チャップマン、リー・ウォーガン、スティーヴン・ロックリーはミック殺害の罪で裁判を受ける予定だった。そのうちの少なくとも一人はミックと面識があり、バーで働いていた。アンジェラが話したこと全てが現実になりそうだった。

結果を待つ間、アンジェラはサイキックとして通常の業務を続ける。彼女がロイヤルオークパブを訪れてから数か月後のこと。キャロル・ホールという女性から電話を受ける。彼女は母親を亡くしており、母親の霊とコンタクトを取りたがっていた。

キャロルが言う。

「私はアンジェラについて全く知りませんでした。 渡された4 つの番号のうちの 1 つだったんです。 アンジェラを選んだ理由は、彼女が地元に近かったから。 他はどれくらいの距離があるか分からなかったからです。 住所が地元だったので、アンジェラにしようと思いました。」

アンジェラはキャロル宅を訪れる。アンジェラは寝室に座り、キャロルは向かいの椅子に座っていた。

アンジェラが言う。

「私達がいた寝室に母親のエネルギーが満ちていると感じた時、母親の魂が伝わってきました。私は彼女に、お母さんは息子さんの魂と一緒にいると伝えました。」

キャロルがその時の様子を語る。

「それについて話していたら、ミックだと分かりました。衝撃でした。泣き崩れました。『それは私の兄です』と言いました。そして彼女は、皆彼のことをミックと呼んだけど、あなたのお母さんはマイケルと呼んでいたと。その通りです。」

アンジェラが言う。

「そして突然、私の心にローヤルオークパブとミックのビジョンがパッと見えました。ロイヤルオークパブ殺害事件のミックね・・?と言いました。」

キャロルがその時の様子を語る。

「誰のことを話しているのかを突然理解したときのアンジェラの表情は、テープには記録できませんでした。彼女は言いました。「彼が私に『そこにいた、そこにいた』と言い続けている、・・と。そして『ペルソールのパブですか?』と聞かれたので、私は『はい』と答えました。」

素晴らしい新情報だった。アンジェラは知らなかったが、キャロルはミックの姉妹だったのだ。ミックの魂が再び彼女を探し始めたのだろう。

アンジェラが言う。

「ミックが正義を見るだろうと言っているのが聞こえました。彼は正義を3回見ると言います。そしてジャスティス、ジャスティス、ジャスティスと3回言っていました。私は彼女に言いました。『キャロル、家族が手を上げて勝利を収めているのが見えます』と。そして彼はスタッフォードと時間についても何か言っていました。それは私が解釈しなければならなかったのですが、その時の私には意味が分かりませんでした。」

アンジェラのメッセージは裁判が危うい状況だったキャロルを安堵させた。

キャロルは言う。

「兄がアンジェラを通して正義は必ずもたらされると言ってくれた。母について彼女が言ったことはとても当たっていたので、裁判についても的中して欲しいと思いました。」

裁判がバーミンガムで始まる数日前に、ミックのメッセージの一部・・「スタッフォード」が明らかになる。別の訴訟が超過し、裁判はスタッフォード法廷に移される。

キャロルが言う。

「裁判は金曜日まではバーミンガムで行われる予定で、その後ウルヴァリンになり、月曜日にはスタッフォードへ変更されました。その時は気がついていませんでしたが、とても奇妙でした。」

裁判は3週間にわたって行われる。警察と家族にとっては緊張する瞬間だ。

バンバー警部が言う。

「法廷の背後に座り、お互いに笑いながら3人の被告が公判中ずっとひどい態度を取っていたことに私は衝撃を受けました。証人席に出てきた証人の何人かについて独りよがりなコメントもしていた。彼らは明らかに軽薄で嘘をついていました。宣誓をするかどうか尋ねられたギャビン・チャップマンの陪審員に対する最初の言葉は『どうでもいい』でした。」

検察によると、ギャビンとリーがスティーヴンが自白することを心配していることは明らかだった。そして二人は、パブまで車で行ったが、二人が外にいる間にスティーヴンがパブに入りミックが殺害されたと話を合わせた。しかし検察は、3人の男が非常階段を上がってバルコニーエリアに行き、フランス窓から侵入したことを主張する。

シャロンがその時の気持ちを語る。

「恐ろしい怪我と、どのようにして父を殴ったのか、そして何回殴られたのかを読み上げられるのを聞くのは本当に辛かったです。母と私はその場にいられず、退席した時もありました。 他の人達にとってはよくある話でも、私達にとっては父親だったのです。」

陪審員が出て行って、法廷は感情を満ちたものになった。

シャロンが言う。

「大丈夫、自分にそう言い聞かせました。どうか神様、彼に有罪と言わせてください、と。」

そしてアンジェラが正義が3度行われると予言したように、3人はそれぞれ、ミック殺害の罪で終身刑を受けた。

キャロルは、「まさに非現実的で、夢が叶ったようでした。」と言う。

家族が法廷から出てくる時、フォトグラファーが待っていた。

シャロンは言う。

「彼は言いました。写真を撮るから空中をパンチして笑って、と。」

アンジェラの最後のビジョンが現実となる。

キャロルが言う。

「彼らを見た時、皆の手が上がって、ああ、これで完璧な写真が完成したと思いました。」

アンジェラの警察と家族に対してのメッセージは奇妙な現実となる。

クランプ刑事は言う。

「アンジェラの情報について最初は少し懐疑的でしたが、時間が経つにつれて、彼女の情報の一部がどれほど正確かが判明した時は非常に驚きました。警察の私達にはその価値は常に限られていましたが、それにしても驚きでした。」

バンバー警部は言う。

「刑事の職を離れて、一人の人間としての自分のこと、そしてキャロルとシャロンがアンジェラと過ごした時間を考えてみると、もし自分が同じ状況に置かれていて、希望のオリーブの枝が見えたら、手を伸ばすだろうか・・。はい、私はおそらく。」

アンジェラは最後に言った。

「価値のある仕事をしたと感じています。私は神のエネルギーの力と精神のために働いていると確信しています。私はただの楽器で、背中を軽くたたくようなもの。背中を素敵に叩いただけだと思います。」


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