見出し画像

正義感の強い人か正義マンかについての疑問

 常々思っていることなのですが、どうやら私の思っているより正義感の強い人間というのは多いようで、例えば、創作物の中には、性格の悪いキャラクターや、所謂悪人というのが結構いると思いますけれど、そういったものに嫌悪感を抱く、という人をインターネット上で最近良く見かけます。私は創作上のキャラクターに対して、性格の悪さや、個人的な好みで好きになれないキャラクターはいますけれど、悪人や悪役だからというだけで嫌悪感までは抱くことがないので、そのような、明らかに"悪人"的なキャラクターに対して文句を言っている人々は、偽善者というか、正義を振りかざして自分をそういうふうに見せているのか、本当に正義感からくるものなのか、という点について、私なりに考えてみたものになります。
 
 そもそも、私は創作上のキャラクターの中で悪人や悪役については、"そういうふうに描かれている"という印象が先行し、どういう立ち位置の、どういう理由でこうなったキャラクターなのか、という観点から見てしまう部分があるので、私が穿っているだけなのかもしれないのですが、例えばメタ的な視点から行くと、主要な人物を殺害、または危害を加えたキャラクターは、明らかに"嫌われ役"として描かれています。しかし、主要でない人物、つまり、一般人や1話限りのモブを殺害したが、魅力的な要素を持ったキャラクターがいたとして、そのキャラクターは多分"嫌われ役"としては描かれていないと思います。しかし、一定数、人殺しだから嫌い、悪いやつだから嫌い、性格が最悪すぎるから生理的に無理、というようなことを聞くのです。
 性格に難アリのサイコ的なキャラクターは基本的に、魅力的に描かれていることが多いと思うのです。無論、人の道を外れすぎていなかったり、信念があるかないか、キャラクターの行動に一貫性があるかどうかなどの要素込みではありますが、それでもキャラクターとして人気が出る要素だと思うのですけれど、どうもそうでない人がいるらしい、というのを最近感じたわけです。
 そういったキャラクターが嫌い、という人の根拠としてよく挙がっているものが、人殺しだから、悪いやつだから、というものなのですけれど、それこそ、フィクションの世界の話である、と言ってしまうと元も子もありませんが、実際名も知らぬモブが何人死のうとあまり気にならないと私は思うのです。好きだったキャラクターを殺したから嫌い、好きなキャラクターに酷いことをしたから好きではない、というのなら分かるのですが、描写されていないところでどんな凄惨なことが行われていようと、そこまで猛烈に嫌うことは理解しにくいと私は思うのです。
 無論、正義感の強い人はいると思いますし、当然、フィクションの世界だろうと大量殺人は良くないことですので、相対的に悪印象なのは確かです。ただ、これは穿った考え方なのかもしれないのですけれど、本当に心の底から嫌っているのかどうか、というのが気になるわけです。
 つまるところ、私からすれば、そこまで猛烈に嫌う理由がわからない上、その根拠が正義感からしか齎されないものなのであれば、声高に正義をかざして批判することで自身を正義側にしたいだけなのではないかと考えてしまうのです。
 私は正直言って、現実世界だろうと、知らない人が何人も死んだとして、見たときには心を痛めますし、こんなことは起こるべきではない、と思うでしょうが、恐らく数日たったら忘れてしまっていると思います。実際、毎日人は死んでいるのですから、そのたびに心を痛め続けていれば、心が持ちません。
 そもそも、人が死ぬことで心を痛めるというのは、人間が元来持っている本能ではないと私は思います。そこにあるのは、共感能力と、教育による"正解"です。すなわち、他人が死んだときに、これが身近な人物だったら、これが私だったら、というような共感と、人が死ぬことは善くないことだ、という正しさです。
 そして、どうも私には、このフィクションの世界における大量殺人の描写を見て、共感することが難しいのです。もちろんまったくないわけではありませんけれども。なので、正義マンなのか、それとも本当に共感し心を痛めているのか、私の共感能力が低いだけなのか判断がつかないわけです。
 結局のところ、キャラクターの好みという個人差の激しい話になってきてしまうのですが、どれだけの悪党だろうと、魅力的に見えればそれでいい、というのが書き手の思想(個人的な)ですので、こんなに魅力的に描かれているのにそこが気になるのか、と衝撃を受けた、という話です。ただ、その意見が正義感からくるものなのか、そうではないのか、というのが気になってしまったのです。これに関しては、自分と違った意見を持った人間に直接聞かなければわからないことなので、おいおい分かってくることだとは思うのですが、ここに書き留めておくことにしました。


特に内容のない記事で、ここまで読んでくださった方には申し訳ないです。
こういった、考えていることを吐露していくようなものが続くと思います。
お目汚し失礼しました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?