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ささやかな絵空事

こないだ飲み屋さんで友達と話していたら戦争や武力ではなく、日本がものすごく海外の人たちから侵食されている気がするという話になりました。円安ということもあるのでしょうが、日本の土地や水源などなどが安く買われているといった現状を踏まえ、この先、日本が今までと変わっていくという『恐怖』や『失望』の類の話でした。そして、我々が暮らす“大好きな日本”それを守るためであれば、戦うことは厭わないといった好戦的なニュアンスも含まれておりました。

先日の選挙の直後だけあって、ボクたちの親やその前の世代が守ってきた日本をしっかり守っていかなきゃならんと友達は熱く語っていて、ボクもまぁそうだよねと相槌を打って家に帰ってきました。

翌日になって改めてちょっと考えてみると、確かに言っていることは正しいのかもしれないけど、なんかちょっと違うのかもなぁという気がしてきました。

守ってきた日本とはなんなのだろうか?

それってひょっとしたら、単に江戸文化と戦後の文化だけなのではないかしら??

そもそも江戸時代に鎖国をしてしまったから色々感覚が濁ってしまうのですが、そのもっと前は大陸から文化が運ばれてきて、色々なカルチャーが混ざって日本は形成されたワケですよね?それを江戸時代に300年間も鎖国をしてしまったおかげで、自分たちだけでいわゆる”日本風”の独自の文化を作って、それを守ってきたという風に勘違いしているのではないでしょうか。

そして、そんな伝統プラス戦後の文化(例えば欧米の文化だったり、例えば町の中にある中華料理屋だったり、生まれてきたときに自然にあった海外の要素があるけど目に馴染んでいるもの)=日本だという思い込みをしているってことはないのだろうか?

朝にパンを食べて、昼にカレーを食って、会社の帰りに落語を観て、夜はアイリッシュパブ、、、みたいな暮らしや文化の根源は考えずに、そうであって欲しい日本像(江戸文化)と居心地の良い目に馴染んでいるもの(戦後の文化)だけを、単純に盲目的に日本として捉えて守っていこうとするのは、いいか悪いかは別としてちょっと視野が狭いのかもしれないなぁと思ったりもします。

その友達は生活も安定している大手のサラリーマンなので、現状を壊したくないというある意味保守的な考え方なのかもしれませんな。

でもって、かなりの酔っ払い状態。親やその前の世代が守ってきた日本をしっかり守っていきたいというこの手の響きの良いネタは熱くなってしまう話ではあるので、どこまで本心で言ったのかわからないけどね。

そういう見栄えがいい話は引きが良い。池の水を抜いて外来種を駆除するみたいな番組がウケるのと同じようなもんです。(そのことはbig the grapeのブルーギル・ブルースでも歌ってますが)

ところで。

ボクたちが子供の頃って(江戸時代の鎖国を引きずっていたわけではないでしょうが)島国ということもあり、特に田舎では周りは日本人か若干の韓国人と中国人くらいしかいませんでしたね。アメリカ人やヨーロッパの人、アフリカンなどなど多国籍は人を見かけることが少なかったです。

東京はどうだったんだろうか??ま、調べるのが面倒なので先に進みます。

もっと前の時代はもっと少なかったことでしょう。

閉鎖された環境が理由なのかはわかりませんが、文化や社会の常識や共通認識というのが当たり前のように前提であって、今普通に考えると説明不足(共通で認識しているから当たり前なのですが)なまま社会が成立してましたな。

『日本人なら、日本で暮らすなら語らずともわかって当然』

というような。

最近はそんな要素がなくなってきて、昔に比べると人は丁寧で優しくなっている気がします。何事にもマニュアルが必要で丁重な説明が必要だ、、と。

これはかつてに比べて、世界が狭くなり多様化や国際化が進んだことも全てではないけど、ひとつの要因な気もします。

未来の日本は人口も減っていくし、経済力も弱くなっていくことがどうやら濃厚っぽいです。そして先に述べたように想像しやすい『日本像』がこの先どんどん変わっていくのもまた現実になっていくと思います。

そこで、ボクたちは大好きだった日本を少しでも残していきたいのであれば、やるべきことは戦うことではなくて、これから日本にやってくる人をもっともっと尊重して優しく丁寧に説明して接して広げていくことが唯一の道なのかもしれませんなぁ。

来る人が暮らしやすく、そしてずっといる人たちにも違和感のない社会を作れるような社会作り。

極端な話、もし海賊みたいな腕白な人たちが日本にやってきたとしても、乱暴なことをされないというか、乱暴し辛いような環境と社会と人間性を作ること。

そして、その人たちと手を組んでより良い世の中を作ること。

うーん、それって絵空事かな。人間ってそんなに成熟してんのか?

人間なんて世代や地域をつないでいくちっぽけなバトンそのものっす。

物ではなく心や精神を繋いでいけば日本独自のカレーライスやラーメンのような素晴らしいものがこれから誕生するかもしれません。

そう思って前向きに生きたいものですなぁ。

Imagine there's no countries

写真:
岡山のライブハウスの前の床屋さんのなぞのショーケース

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