見出し画像

【3年間の孤独】画力アップを独学していたときの話

「アートで生きていく」と決意してから実際にアートを仕事にするまで、画力アップのために独学した期間のことを記録的にまとめたいと思います。

クリエイティブに関することで自分に蓋をしていた期間が長くあるので、そのあたりも交えながら振り返ります。


20年間のクリエイティブコンプレックス

子どものころからずっと絵を描くことが大好きでしたが、10代に入り専門的に絵やデザインを学ぶようになってから周囲との画力の差に愕然。
そのときにアートからは遠ざかり、仕事で多少デザインなどにタッチはするものの、20年ものあいだ絵を描くこと自体をやめてしまいました。

今後の生きかたを考える転機に差し掛かり、自問自答の日々のすえにたどり着いたのは、まさかの封印していたアートの道。
スキルも知識もない状態なので、アートで生きていけるまでに10年ぐらい掛かっても仕方がないと腹を括りました。

それまでの仕事を大幅に減らし、画力と知識をつけるための独学に没頭する毎日がスタート。

長い日で1日7〜8時間勉強。インプット&スキルを高めるための練習を繰り返す日々。
食べていける確証が一切ないにも関わらず、ほぼ仕事を打ち切って画力アップ修行をつづけるのは本当に胆力が必要でした。

構造から理解するための美術解剖学

まずは画力アップ修行のひとつとして美術解剖学の勉強&デッサンを徹底して行いました。
現在のわたしの画風はかなりフラットでシンプルなため「なぜ?」と思われる方もいるかもしれませんが、シンプルなラインほど骨格や構造がわかっていないと案外描けないものです。

当時描いた解剖学デッサン

「精神的なコンセプト」を記号的に描くわたしのスタイルでは、シンプルな線から生まれた形状によって情報を伝える役割があるため、その絵がなにを表しているのかを明確に表現する必要があります。

陰影も色彩による立体感もないフラットな絵を描く場合、線画のみで立体を表現することになります。
シンプルな線画ほど描く位置がすこしずれただけで、なにを表しているのか、どんなポーズなのかが伝わらなくなってしまいます。

ヘタウマ系のイラストなどであれば構造の崩れも味になるのですが、わたしのような作品コンセプトや情報伝達の記号として描く場合、構造の崩れがノイズになってしまいます。

そのため描き手側は立体的な構造や動きを「すべて理解したうえで最小限まで線を削ぎ落とす」ということが必要です。

解剖学による骨格や構造のしくみを知ること、からだの動きによってどのように重心移動や形状が変化するかなど、それらが頭に入っていることで線画の崩れを極力軽減することができます。

・実際の勉強法としては、分厚い美術解剖学の本を数冊丸写し(絵だけでなく理論をまとめながら)
・ある程度記憶できるように骨格や構造を繰り返し描く
・陰影をすこしつけたデッサンで、形状の理解を深める

このあたりを重点的に行いました。

美術解剖学の参考図書3冊、ノートにびっしり2冊、スケッチブックにはひたすらデッサンを繰り返しました。

構造・動き・成り立ちなどもノートにまとめる

普段描く絵では人体の骨格は直接的には役に立ちませんが、構造への理解力が養われたことでシンプルな線に説得力が乗るようになりました。

一本の線に乗る説得力を手に入れるための膨大な努力。

ここに時間を割いたことで、線画を描く際に迷わなくなったので地道にやってよかったと今では思います。

構造理解のためのデッサン

さらに立体や構造を理解するため、また立体物を平面に落とし込んだ際の見え方を理解するためにデッサンを継続。

最終的にフラットな画風で表現したいと思っていたので「カタチの理解」をメインの目的とし、描き込みや陰影は最小限ですが静物と人物(写真から)をデッサンしていました。

「絵画系の教室に通う→自宅で描く」を繰り返しながら、日々画力&構造の理解度UPのために修行しました。(スケッチブック8冊)

当時描いていた人物デッサン

あとはオリジナルの画風を探るためのリサーチと研究、iPadで描き慣れるための練習を繰り返すことなど。

アートを仕事にするという観点で、現代のアート市場のことやクリエイティブシーンの成功事例、過去の著名な芸術家のスタイルを抽象化して分析、自分の強みと弱み、ポジションを探るための研究などもこの期間に行っていました。

現在の学び

自分が持ち味を出せるポジションでアートを発表し、実際に経済循環を構築していくためにはトレンドとタイミングを読むことも大切です。

乗れるタイミングが来るまではひたすら画力アップを…
と決め込んで修行していたので、2022年5月にLLACでの制作のお誘いがなければまだまだ継続していたかもしれません。

おかげさまで、LLACローンチ後はアート活動を応援してくださる方が増えて作品リリースを継続できています。

今は活動基盤を安定させるフェーズかなと感じていますが、すこしスケールして落ち着いたタイミングに再び修行シーズンがやってくるのだろうと思います。

画力修行は一旦落ちついているものの、現在もアートに関するインプットは日々行っています。
思想や宗教、民俗学などコンセプトワークに必要な教養を深めることはもちろん、コミュニティ構築のための知識や教養を増やしつつ、実践的に生かしながら奮闘している毎日です。

作品を生みだすことと学ぶことは一生つづくだろうと思いますが、それ自体がわたしの「生きる」の追求でもあるので、楽しみながら集中していきたいと思います。

アート活動の記録や裏側など、すこしでもご興味がある方はフォローしていただけたら嬉しいです。

Twitterもやっています

おすすめ記事


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?