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養殖魚のエサってどんな味!?色んな種類を食べてみた

こんにちは、サーモン中尾です。

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サーモン中尾:ウミトロンメディア編集長 兼 全日本サーモン協会代表。南米チリにてサーモンの加工指導を経験し、マツコの知らない世界等にも出演している大のサーモンマニア Twitter

突然ですが皆さん、養殖されている魚のエサってどんなものかご存知ですか?近年エサの開発が進んでおり、どうやら年々パワーアップしているのだとか。

今回は配合飼料である"ドライペレット"と呼ばれる魚のエサをいくつか集めてみました。

それがこちら!

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対象魚によってエサの形が全然違う!せっかくなのでしっかり味わってみたいのですが、一人で食べてもつまらないので誰か誘ってみよう。(良い子は真似しないでね)

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ということで、カレンダーに罠をしかけてみた。
その名も「養殖関連ランチ試食会!」

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「養殖関連」だからといって、誰も魚のエサを食わされるとは思うまい!

そしてまんまと仕掛けた罠に引っ掛かったのがこちらの二人

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あこてぃす (写真左):慶應⇨三菱UFJ銀行⇨ウミトロン という魚のエサが似合わない固い経歴の人。
のっち (写真右):養殖現場担当として、普段から魚のエサ食べてそうな人。

あこてぃす「え、魚の試食会じゃなくて、これ何、エサ??」

のっち「せっかくお腹空かしてきたのに...エサの匂いが部屋に充満している...」

いやいや、贅沢なランチですよ。
だってこれ、成長に必要な栄養素がもれなく摂取できて、飽きることなく一生食べ続けられる最強のファストフードなのだから。(魚にとって)

早速エサを与えてみる

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まずこちらのブリの餌から頂きましょう。

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さて、いただきまーす...

.......

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「ガリっ」

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めちゃくそかてえーー!!

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魚のエサ(ドライペレット)はかなり固いのである。

そもそもドライペレットは魚が丸呑みできるように設計されているのだ。
魚がエサを咀嚼してしまうと、そのまま水中に砕けたエサが散らばってしまうため、摂餌(餌を食べる)効率が下がり、さらに海も汚れてしまう。噛まずに丸呑みするようにこの硬さになっているそうだ。

ちなみにこちらのペレット、ナイフで切ろうにも中々切れなかったほど硬かいのである。

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肝心のお味はというと

なんというか味のしない粉っぽいニボシのような...
魚粉の匂いが少し鼻につく、金魚のエサのような臭いもしますね。(分かります?)

ちなみにエサの種類によって配合の差はありますが、ドライペレットの主な成分としてはこのような構成になっているそうです。

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うーん、なるほど。エサの成分の約4割は「魚かす・魚粉」でできているからか、確かに魚(魚粉)の香りは強烈にする。そして臭みがあるのは配合している魚粉に恐らく魚の内臓まで含まれているからなのだろうか。

また関係者曰く、黒いエサと白いエサの差は、魚油の配合量によるのだそう。確かに黒い方がベタつくし、オイル感がありますね。

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魚によって色々なエサ

今回食べた中で最も好評だったエサはこちら
「ハマチのエサ」

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ハマチのエサは食感がさくさくでクッキー感があり、意外にイケる!風味も香ばしい魚感があってそこまで悪くないぞ。もし「養殖魚のエサをどれか一種類選んで食べろ」というシチュエーションがあれば個人的にはハマチのエサを選ぶのがお勧め。

養殖マグロのエサはでかい

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...デカイ!!

タイの餌に比べると一目瞭然のでかさである!

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これを丸呑みできれば、さぞかし喉越し爽快なことだろう。

ちなみにマグロのエサが最も上品な魚粉の香りがしました。引き出物に入ってタイプのおかかみたいな感じ。

さすが高級魚のマグロ、普段からいいもの食ってます。

番外編:生餌(生のエサ)

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...うまい。普通にイワシとしてうまい。というかいつものイワシである。This is イワシ。
栄養価も高く、人間のエサとしては十分満足できるポテンシャルです。

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そんなに美味けりゃ魚にも生餌を与えた方ががいいんじゃないかって?実は生餌はペレットに比べて魚の接餌率が低く、環境汚染負荷が高いのです。

どういうことかというと、例えば生餌をエサとして魚に与えると、その内24%は食べられず水中に残ってしまい、さらに水分量も多いので食べた分から魚の糞尿として水中に出ていく割合も高い。

しかし配合飼料(MP)を例に見ると、魚が丸呑みすることにより、水中に散らばる残餌が大幅に少なくなるのである。
(MP:モイストペレットの略 半生の固形タイプのエサ)

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今回エサを分けて頂いた養殖業者の方は、かつては全て生餌を使っていたそうですが、時代と共に生餌からドライペレットのような配合飼料にエサを変え始めているそうです。マグロの養殖についても最近生餌から配合飼料に一部変えたのだとか。

まとめ

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魚のエサをがっつり食べて身も心も魚の気持ちに少し近づけた気がする...

しかしエサのまま食べるより、魚の身になってから食べたほうが美味いと確信(当たり前か)

それにしても高い栄養価、利便性、価格、もしかするとコスパ最強の完全栄養食として魚のエサはかなりのポテンシャルを秘めているのではないか?これを機に、魚のエサの美味しい食べ方もこれから編み出していきたいですね。

ちなみに、ウミトロンでは豊かな海と美味しい魚を未来へつなぐために、環境に配慮し、もちろん餌にもこだわって育てた美味しい真鯛やクエが手に入るクラウドファンディングを実施中です。オンラインでの生産現場のツアーもついていますので、興味ある方は是非こちらのページをご覧頂ければ幸いです。

以上、ここまで読んで頂きありがとうございました。

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ウミトロン株式会社 WEB Twitter Instagram
2016年設立。水産養殖×テクノロジーをテーマにしたスタートアップです。「持続可能な水産養殖を地球に実装する」ことがミッションです。IoTや機械学習、衛星リモートセンシング技術をはじめとした先端技術を用いて、スマート給餌機「UMITRON CELL」や魚群のデータ収集・分析による食欲解析システム「UMITRON FAI」、高解像度衛星データを活用した養殖向け海洋データサービス「UMITRON PULSE」をリリース。これからも持続可能な水産養殖のコンピュータモデルを開発、実装していきます。



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