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パニック障害はわたしの相棒(2)



2年目のお話。殻を破って奮起しいざ行動に移そうとすると、阻害されることがよくある。タイミングを逃して無駄な日々を過ごしてしまったような気もする。少し思考を変えてみた。



1.馬が合わない


「年明けからエレベーターの練習をしよう」

年末に決心した。が、予定は崩れ、年明けから家の耐震工事が始まった。部屋の周りはシートで、足場や鉄骨で囲われる。5月まで行うというのだ。


既に殻に篭っているというのに二重包装されたかのように薄暗く、陽を浴びることができない生活が始まった。


この期間に愛猫が2度も脱走しかけ、足場まで降りてしまった時は動悸が酷く、自制することさえ失いかけていた。終了時間にも関わらず助けて下さった作業員の方々には、頭が上がらない。

災害で救出された人々の映像と照らし合わせれば、その夜は涙が止まらず、翌日の顔が腫れていたのも今では身に染みる苦い思い出。


今の環境が嫌で逃げ出したのではなく、工事の関係で開けるよう指示されていたため愛猫のために対策をしなかった自分の不注意でもある。




※【1】もありますので、初めての方はこちらからお読みください。


2.世界が変わった


' Change the world '

英語にすれば格好が良く聞こえる。それどころではなかった。悪いウイルスの蔓延により世界が変わっていた。生活様式が変化し、毎日感染し亡くなる人々。誰もが知る有名人までも巻き添いに。


マスクやトイレットペーパーの爆買いや転売。人間らしいと言えば、人間らしい。今ではマスクなしでは街を歩けない。「パニック障害 マスク」と検索すれば日々ストレスを吸収していた。


この症状に限らず、基礎疾患のある方は更に生きづらい世の中に。一生外には行けないのか、とシートで囲われたベランダの中でため息をした。


3.恐怖となったもの

地球という丸い物体。日本の関東地方にある、両親が購入した家。回りくどいのでやめる。地球の、世界のごく一部に過ぎないのに不安を感じる私。


お風呂に入る事に抵抗を感じるようになってしまった。「裸になる」という行動がある日を境に苦手になったのだ。外出しないのはいいものの、スッキリしたまま寝たい私にとっては苦痛だった。


' シャワー中に発作が起きたらどうしよう '
' 裸のまま気を失ったらどうしよう '


ありもしない事を考え、自身を苦しめていた。家族が留守の時は確実に入ることができる。それからの事、下着をつけたまま洗ってみたりと工夫をこなしたところ以前のように入れるように


〈わたしなりの改善法〉
・浴室内にタオル&下着を置いておく
・体調が優れない日は無理をしない
(その代わりに濡れタオルで対応)
・入浴中はドアを開けないよう家族に伝えた


誰に狙われているわけでも、急かされているわけでもないが何かが私を恐怖にさせていたことは確か。

4.ふわふわとした記憶


暖かくなってきた頃、ようやく工事が終わった。愛猫を助けてもらったお礼を兼ねて挨拶の一言を伝えようとしたものの、やはり下に降りることはできず工事前の生活に戻ってしまった。


タイルや壁は塗装されて新築のように綺麗になっていた。その日に見た月はいつも以上に綺麗に見え、織姫と彦星の気持ちが少し分かったような気もした。


緊急事態宣言。今では聞き馴染みのある言葉。
初めて発された時は、「外に出たら死ぬのか」と謎の解釈をしていた。ウイルスの脅威を知らなかったのも理由の一つ。
言葉を選ぶが、「コロナ=ネガティブな事象」と捉えていたので、天気予報以外のニュースは控えていた。外出しない(できない)私にはあまり関係ないものだと思っていた。


人生何が起こるか分からない。AがあったからBができた。Bが無かったら今頃どうしていただろう、とよく思うことがある。何事にもポジティブに考えることは大切だと学んだ。

それからのこと。新しいカタチの音楽を嗜んだり、前日のラジオ聴いたり、漢字を学んだりと、のほほんと過ごしていた。自分の体調を優先しながら周りのことをこなすことに慣れた年となった。

1日1日大切に過ごしていても、年末はあっという間に来るし桜が散ってしまったと思えば夏休み。私を置いて世界は進んでいく。


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