【警鐘を打ち鳴らせ】 第五章「対峙」
第五章「対峙」
晴天。三日の雨を終えた空は高く遠く晴れ渡った。早朝、私はその色と空気を目に収めてから軽く眠りを取り、今に至る。灰色の彼はいつもの定位置、板間の右奥の片隅で未だその両眼を閉じ、微動だにしない。起きているのか眠っているのか良く分からなかった。
私はおもむろに家屋内を見渡す。さして多くの時間を此処で過ごしたわけでは無いのに、何処か懐かしさを覚えるのは何故だろう。或いは元の私の家もこのような造りなのだろうか。
そんなことを考えながら、私は座布団を引き寄せ座