見出し画像

しゃぼん玉


 夏の始まりの木洩れ陽を受けて、しゃぼん玉が虹色に輝きながら宙に浮かんでいる。最近のしゃぼん液はよく出来ているようで、ちょっとやそっとでは割れず長い時間楽しめる。

 どうやら、幼かった私が母に抱いた気持ちは、頑丈なしゃぼん玉のように割れないままでずっと、ふわふわ漂っていたらしい。

 久しぶりにnoteを書いたと思えば大層な書き出しですが、前に↓の冒頭3行選手権に参加した文章でこんなくさい感じになりました。



ちょっとこのテンションは疲れるので普通に戻します。ヒュンっ。夏の始めの方に第3子を産みました。

その時の記事


3人産んで実感するのは、産前から産後は女性ホルモンがジェットコースター級に変化するらしく、情緒もジェットコースター。君はジェットコースターじゃなくて私ジェットコースター。

赤ちゃん可愛いー、幸せーとお花畑のような幸せテンションの時もあれば、もうしんどい、世の中から置いていかれてる、私なんか、(エンドレス)とマイナス思考底なし沼の住人の時もあります。メンヘラ中のメンヘラです。(もっと安定してる妊婦産婦さんもいっぱいいるのであくまで私の場合)

子どもを産むごとに慣れとか自分の知識もあって体が楽になるのに合わせてメンタルもだいぶ楽になるものの、油断すると沼に片足突っ込んでいるときもあります。


今回、出産前後になぜかよく思い出した子どもの頃の出来事。なんて事ないんですが、確か私が小学校上がった頃だったと思います。妹が2人いて4歳くらいと1歳くらい。やんちゃ盛りの妹と、家事育児仕事にてんてこまいの母。(母からきいた話だとこの頃は育休取る人が少なく産後2ヶ月くらいで復帰してたそう)                                        よく母はヒステリックに怒っていました。確かに、今となればよく分かる。子ども3人、仕事も家事もしてイライラするのも無理ない。                   
たとえ自分でなく妹にでも母が怒るのが怖くて嫌だったように思います。ある日、上の方の妹がいたずら(扇風機の網の隙間におもちゃ入れるとか系だったと思う)をして、これはやばいと思った姉の私。母は隣りの台所にいて今のうちに妹を止めなきゃと思い               「お母さん怒らせるような事せんといて!」  と言いました。自分で言ったあとで普通にやめなって言えばいいのに我ながら良くない言い方だと思った気がします。しかも母に聞こえていたらしくこっちへやってくる母。          「何がお母さん怒らせるなや!バカにして!」       怒られる私。悪い事をしたのは妹で注意したのになんで私が、という母への怒りと、やっぱりまずい言い方したな、もうちょっと考えろよ自分、という反省とでへこんだ気がします。


その頃の記憶ってほとんどないのに、このエピソードだけなんでか覚えていて、そして今回の産後赤ちゃんと一緒にゴロゴロしてる時になんでか頭に浮かんで、ちょっと悲しいようなすっぱい気持ちになっていました。

とりあえず母の機嫌をとっとけばいい、みたいに聞こえるような言い方はまずかったし、子どもたちの事を思って叱ってる事をそんな風に言われてムカッとする母の気持ちも分かる。でも別に母をバカにはしてなかったと思う。

ただ、幼かった私は「扇風機におもちゃ入れて危ないよ、やめよう」と言う気持ちよりも「そんな事したらまたお母さんが怒る、お母さんが怒るのを見たくない」と思う気持ちの方が強かっただけじゃないかなと思うんです。そこが分かってほしかった、多分その引っ掛かりが成仏できずにいて、30年経った今、出産のなんやかんやと一緒にまた目の前に現れてフギャフギャ泣いているのかも。


そんなよく分からん事を考えてたら寝室の窓からしゃぼん玉がフワフワ飛んでいくのが見えました。夫と上の子達が庭で遊んでたのがこっちの方へ飛んできたよう。


実はこのしゃぼん玉のシャボン液、私の同級生の実家の会社が作っているやつだそう。私が子どもの頃のやつと比べて、めちゃくちゃ持ちがよくてなかなか割れない。光をよく反射するのか太陽の元だと虹色に光って美しい。(回者ではない)

性能が良いためか、何年か前に全国放映された映画のワンシーンで使われてました。しかもその映画、私の好きな高橋一生が出ていたんです。限りなく遠いが、そういうところだけ超プラス思考の私は、私から1人(この場合1シャボン)挟んで一生くらいに思ってしまう。思い込みとは恐ろしいものです。


話を戻します。そんな虹色に光る丈夫なしゃぼん玉もいつか弾けたり、風に吹かれて視界から見えなくなっていく。それを見た私は、まぁいいか、となんとなく思える気がしたのです。

幼い私が、歳をとった私に悲しかったね、と言ってもらえて、それで気が済んだ、そんな感じがしたのでした。

高く飛んでいけ、しゃぼん玉。


#しゃぼん玉 #過去 #産後 #親子 #日記