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ライフジャケット検討委員会が2020年の水辺の安全活動を振り返り。オンライン座談会を行いました!

2020年12月、ライフジャケットの普及を目的に活動を行うライフジャケット検討委員会が、2020年度の活動をまとめた最終報告書を公開しました(https://shinnosuke0907.net/2798/)。これを機に2021年1月28日、委員会は2020年の活動を振り返る座談会を開催。活動の中で見えた現在の普及状況や課題について各々の立場から見解を述べ合いました。

今回は、本座談会でのディスカッションの様子をレポートとしてご紹介します。これからの水辺や子どもの安全を考えるヒントとなる貴重な意見が交わされたので、関わる事業者や教育者の方はぜひ参考にしてみてください。

ライフジャケット検討委員会とは?

ライフジャケットの普及に関する課題や普及に必要な要件を明らかにするため、さまざまな活動を実施するプロジェクト委員会。メンバーとして、水辺の安全に関わる専門家や事業者、教育関係者などが参画している。

【委員会メンバー】
石川仁憲/公益財団法人日本ライフセービング協会 常務理事、溺水防止救助救命本部長、International Life Saving Federation Rescue委員、海上保安庁海の安全推進アドバイザー、中央大学研究開発機構教授
齊藤真弓/社会福祉法人清遊の家 理事長、ひのか保育園 園長
菅原一成/公益財団法人河川財団 子どもの水辺サポートセンター 主任研究員
西田佳史/東京工業大学工学院 教授、NPO法人SAFE KIDS JAPAN 理事、日本子ども安全学会理事
松本貴行/公益財団法人日本ライフセービング協会 副理事長、ライフセービング教育本部長、成城学園中学校高等学校 保健体育科教諭、消費者庁消費者安全調査委員会専門委員
吉川優子/一般社団法人吉川慎之助記念基金 代表理事

2020年度の活動から見えてきたもの、感じた事

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小川(ファシリテーター):
第1回目の委員会ではライフジャケットの普及へ向けた、水辺の事故状況や問題点、ライフジャケットが果たす役割についてご説明いただきました。

そして、水辺を体験している親子は多くないという状況の中で、ライフジャケットが普及していくためには、着用感の調査をした上でどんなライフジャケットを作れば普及させられるかを検討しました。

委員会として出した結論は、まずは普及のための仕組み作りを行うということ。多様化するユーザーニーズに応じた情報提供や製品づくり、ライフジャケットを自然に着用できるアクティビティの提案とすべての人が体験できる仕組みの構築の実施をしていこうというお話をしてきました。

こうした2020年度の活動を通して、新たな発見や気づきがあった所、また議論をした中で重要だと改めて感じた所をそれぞれのご視点から発言をいただきたいというのが、本日の座談会の趣旨になります。改めて、委員会を振り返っていかがでしたか。

西田:
短い時間でしたが、保護者・子どもに対するライフジャケットの着用感などに関するヒアリングの実施、ライフジャケットの使用方法などに関する授業の体験など、盛りだくさんの内容があり、多くの気づきが得られました。

取り組みの一つである松本先生、石川先生の実際のプールを使った講座は大変面白く、具体的な状況と対処法を教えていく必要性を感じました。また、岐阜県で行われている実際の河川を活用した体験学習なども紹介頂きました。やはり、十分に気を付ける、周知徹底するなどは、ほとんど役に立ちません。だからこそ、具体的でリアルな状況に知識を埋め込んでいく作業は大変役立つものだと思いました。体育の授業などで、こういうものが取り入れられているとよいですよね。

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齊藤:
今、コロナで授業のリモート化が進み、教育現場でもオンラインでのやり取りが主流になってきています。五感を使った体験を通して、子ども一人ひとりが安全や危険という感覚や知識を身に着ける重要性をどのように伝えていくかは、非常に大事になってくると思います。委員会に参加させていただいたことで、この体験の重要性を発信することについて考えるようになりました。

また、水辺の意識についてのアンケート調査を実施しましたが、関東圏のみの調査だったので、他の地域や水辺に親しんでいる地域の方に調査を行ったら、結果はどうなるのかと興味がわきました。

松本:
ライフジャケットの体験活動に関していうと、今、ライフジャケットは大型スポーツ店にも売っていますし、昔に比べると一般消費者にとって身近な存在になってきています。ですが、選び方や使い方などの情報をお伝えしても、自らの実体験としての学びがなければ能動的な活用にはむすびつきにくいものです。

そのいろいろな実体験を生むためには、学校の水泳授業においてライフジャケットの着用体験として組み込まれることが望ましいと思います。さらには水上設置遊具や、水辺の活動のアクティビティの前には、体験を含めた事前ガイダンスを必ず受けるなどの制度設計も必要でしょう。様々なところで多面的にそのような教育が浸透していくことがとても大事だと思います。

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吉川:
水辺に親しんでいる地域とそうでない地域の差はありますね。川が身近な地域からは、川の安全について知りたいというリクエストが積極的にあったりと、地域によって身近な水辺の在り方は違うと感じます。

ただ、水遊びをする、海へ行く、という感覚は地域問わず同じだと思うので、基本的な水辺の安全は、全地域の共通認識として常識になっていけばいいなと思います。

検討会は、今まで言われていた問題や課題を再確認するいい機会にもなりましたが、エビデンスに基づいた検討があまりされてこなかった中で、それをきちんと考える機会にもなったと思います。

提言の出し方に関しても、どうすればいいかは多くの専門家の方が悩んでいる部分でもあります。また、提言を出しただけで終わらずに、どのように実現していくかは今後の課題ですよね。この委員会の中でそうしたことをきちんと示すことができたのは、大きな成果でしょう。

石川:
アンケート調査の結果では、水辺のリスクを知らないのでライフジャケットの必要性を感じないという方が多かった。この状況を踏まえると、着用の義務化ではなく、なぜ着用しなければならないのかを周知していくことがまずは重要と考えています。

水辺のリスクを知らないのであれば、知らないことをいかに知るかに持っていくのがまずは大事。オンラインが主流になり、体験も含めてそれを実現するのがなかなかむずかしい環境になってきた中で、どう周知していくかがこれからの大きな課題でしょう。それを実現に移すためのやり方として、現在の教育方法の中で何が有効なのかを考えていかないといけないのではないかと思います。

装備と知識が、“水辺の体験”の重要性を伝える鍵

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小川:
初めて水辺を体験する子ども達にとっては、リアルな場がないということは相当大きなことですよね。菅原さんのまわりでは川の体験を提供されている団体さんも多くいらっしゃると思いますが、今年はできていない状況ですよね。

菅原:
一部の団体はオンラインの活用にも力を入れ、ライフジャケットの着用方法を教えるなどのコンテンツ作りをしています。こうしたネットなどで情報は手に入れることができるようになりましたが、それをふまえて現場でいかに活用し、よりよい体験につなげるかについてはこれからの課題ですね。

どうやって水辺での体験の重要性を広げるかという点については、まず安全対策がベースとなり、それには装備と知識の2つの面から広げていく方策があると思います。

装備、つまりライフジャケットはホームセンターでも気軽に買える存在になっているものの、本検討会で行った保護者アンケート等を見ると、危険な場所には行かないし、着用は大げさだからそこまでは、という保護者の意見がまだまだ多い。災害でも、「自分は大丈夫」と思い込む正常性バイアスといった概念がありますが、水辺の危険についても似たようなものがあるのかなと。

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一方で、いざとなると人のために救助の行動をとろうとするのも人間です。ただ、人間は自然の力にはかなわない。いざという時に、相手も自分も助かるためには、ライフジャケットの着用が子ども・大人問わず重要になります。いかにライフジャケットという装備を手に取って着用してもらうかが課題でしょう。

また、知識も重要です。今はネットで天候や水位情報もわかるし、活動場所の衛星画像も手に入る時代です。そういった情報を得ながら、得た知識をもって目の前の危険とどう向き合い、行動、判断に移すかも考えないといけません。

情報を得るための知識と活用するための知識が重要で、それを普及させるのが教育の場です。教育の場として、社会教育、家庭教育、学校教育の3つの提供の場があり、そこでいかに子ども達が海や川の自然のメカニズムを知り、どう行動したらいいかを考える機会をよりいっそう広げる必要があると感じています。

レジャー視点からの、楽しいライフジャケット訴求

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小川:
教育の部分に負担をかけないようにという話は、委員会の中でも多く議論に出ましたが、水辺の安全を教育現場で教えるということに関して、松本先生のご意見はいかがですか。

松本:
「水泳授業自体のハードルは高い」と感じられている先生は多いと思います。背景の一つには、泳ぎのレベルが二極化して指導の標準が合わせられない、何を学ばせるか、どうしたら泳げるようになるか等の指導が、常に安全確保を前提としながら展開していくことが求められますから、すごく大変ということがあります。

ですが、安全確保につながる運動への習得をベースとした、サバイバルスイムの観点から伝えていく方がいいのではないかと考えています。プールに入れずとも、水辺の安全教育に関する内容やライフジャケットの学びなどを落とし込むことで実技との有効な連動性も生まれてきます。日本ライフセービング協会では、どの先生でも子どもたちにそれらを伝えるための教材として、e-Lifesavingを開発しました。先生方の負担も考えなければなりません。しかし、子どもの命を守るためにも必要な知識と技能を授けることも重要です。是非、御活用いただきたいと思います。
(「e-Lifesaving」 https://elearning.jla-lifesaving.or.jp/)


吉川:
伝え方や提案の仕方は、すごく大事ですよね。学校は、保護者をはじめ様々な業界から、あれもこれもやってほしいと要望を受けている状態。そうした要望に対して、先生たちだけでやってくださいという形ではなく、専門家がどういう風に学校に関わっていくかという所が結構ハードルが高いのではないかと感じます。

松本:
そうですね。提案の仕方と、うまくつながる仕組み作り、マッチングですよね。これは私が教職の立場として言うのですが、子ども達もときに専門家から学ぶ方が「入ってきやすい」側面があると思います。これからの学校の在り方というのは、先生たちだけで何かやろうとするのではなく、専門家と子どもをつなげていく、あるいは専門家と先生方でコラボしていくという発想や仕組みを作っていくことが必要だと思います。

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石川:
この検討委員会やってよかったと思う新たな気づきは、ライフジャケットの着用感の調査の中で「着たら楽しい」という子どもの声がしっかり確認されたことです。

そこにはヒントがある。従来の教育、救命具や安全確保のためのライフジャケットという切り口ではなく、水辺の新たな遊び道具の一つという展開の可能性があることを改めて調査結果から言えるのではないかと。

緊急時のためのものだけではなく、ライフジャケットがあることでその子の活動の可能性が広がるという視点。その視点に基づくニーズもエンドユーザーから出てくるのではというのが、検討委員会のアクションによって得られた一つの重要な切り口だと思います。

西田:
そうですね。子ども達の声には「ライフジャケット楽しかった」という肯定的なコメントが多く、うまく伝えれば、子どもに受け入れられている可能性が見えました。野球をする際にも、眼の事故防止のために顔面に取り付けるプロテクターがいくつかありますが、子どもたちからは意外と評判が良かったです。そうした子どもたちの反応を大切に取り組みを進める必要性を感じました。またその一方で、「ライフジャケットがずれて耳が痛い」などの声もあり、ライフジャケットそのもの貪欲な改善が必要だと思いました。

吉川:
教育に期待できる所は、すべての子どもたちが平等にできる、学べるという点だと思います。あとは保護者の学びや体験機会も必要なので、水辺をもっと楽しめるアイテム、楽しむためにはライジャケあった方がいいよねというような、ポジティブな発信をいろいろな人がしてくれるといいなと思いますね。

水辺の学びを広めるための課題

石川:
注目すべき点は、仕組みづくりだと思っています。安全は、すべての人に平等なものです。それがすべての人に行き渡るというのを目標として進めていくべきで、誰もがライフジャケットを着用できる環境(着用の選択ができる)が重要になってくると思います。その環境を作り、なぜ着用しなければならないのか、その判断能力を子どもも大人も身に着けるのが大事。なぜなら、それが自身でのリスク管理につながるからです。

吉川:
保育・教育現場から保護者の方へは、どういう伝え方の可能性がありそうでしょうか。

齊藤:
保育園や幼稚園のプール活動で死亡事故が数件続いています。水の重要性はわかっているので、保育士たちは子ども達に水に関わってもらいたいという思いがあるものの、水遊びを怖いものと思う傾向も見られます。その委縮姿勢が子ども達に伝わり、水遊びに楽しさを見出せなくなっている可能性も考えられるでしょう。

水のある場所に行きやすい地域にいても、海で遊ぶ体験をせずに過ごしているご家庭もあります。そのため、「水に親しむ」という価値観やイメージが、保護者間で違うんですよね。また、保育士、幼稚園教諭も自分の体験を基に教育を実践するので、その個人差も大きいのではないかと思います。

学校教育の方が基準が引きやすいですし、学びの浸透しやすさがあります。幼少期の危機管理能力養成の重要性を考えると、保護者に何を伝えていくのが有効かというのは深く考えていく必要があると感じています。

吉川:
保育園に関しては、認可、認可外などの施設形態等、安全に係る様々な問題や課題もあると思いますが、水遊びでは、使用するプールや水遊びなどに関する基準が統一されていない中で、園によって施設の環境や取り組んでいる水遊びの内容も違いますし、それぞれの状況にあった安全対策が必要で、保護者も水辺の活動に対する意識が違うので、保護者の皆さんに、保育段階から水辺の安全をどう伝えればいいのかは悩ましい所ではないかと思いました。社会全体で水辺の理解や安全意識が変わってくれば、その流れの中で、ライフジャケットの着用など常識として、自然に伝えることができるようになるとよいのではないかと感じます。

ディスカッションを終えて

小川:
最後に、これまでの取り組みを踏まえ、進めていくべき具体的なアクション、期待できることなど、今後に向けたご意見をお聞かせください。

石川:
教育は重要ですね。これからの教育の展開とその中でいかに効果的なことをやっていくか。ライフジャケットの着用が100%の安全を保障するわけではないという現実を忠実に展開しながら、着用の必要性を理解して着用してもらえるようにする。使用者個々人のリスク管理に対する判断を奪わないやり方(義務化ではないやり方)で行うことが重要だと思います。

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松本:
アンケート調査で、レンタルがあったら着用したい、ライフジャケットがあった方がいいなどの意識の広がりが見られるようになっているというのはチャンスですよね。子ども達の着用感の調査では、泳げる、潜れるライフジャケットが欲しいという声も上がっていました。

いわゆる船舶の合格基準に達したライフジャケットという観点よりも、子ども達のアクティビティに適したライフジャケットも求められているのだなと感じました。こんなライフジャケットがあったらいいという声から、実験、検証を繰り返し、製品化していく試みは大事だと思います。

また、ライフジャケットを広めるといった時に、泳ぎが得意ではない子がライフジャケットを着ているという印象をどこかで拭っていかないといけないなと思っています。

水辺に慣れ親しんでいる子も着用しているという文化をつくっていく。その一つの条件としては、活動に邪魔にならないものとか、動きを制限されないなど、そういう視点からの着眼点が重要なのかなと思います。

いろいろなことを考えさせられる一年間でした。次年度では現場教育の中で、e-Lifesavingを活用した事前指導と、プール授業や臨海学校等の実技指導との融合を図り、安全教育の有効性について検証できるよう取り組んでいきたいと思います。

西田:
何かを着用して事故を予防する分野の製品としては、「ヘルメット」「チャイルドシート」があります。それらのアナロジーで考えれば、今後、自治体からの推奨と購入補助、レンタルカーを借りる際にオプションとして選択可能にする、子どもにあったライフジャケットの選び方のツールの開発、安全を売りにしたプールや海などが多くなることなどを通じて、最終的には、着用していないと肩身が狭く感じる、もしくは、着用が格好良いという文化・プレッシャーの醸成などに結びついていくとよいと思います。最近は、犬用のライフジャケットやシートベルトもありますし、人間の子どもも負けてはいられないなと思いました。

菅原:
検討会を通じて新たな発見と感じたのは、海と川で大きな共通点があるということです。特に両者ともに大きな質量をもった「水」が移動することによる流れの力は強大です。やはり自然のメカニズムを正しく理解することと、自然の力に対して人の力では対抗できないこともあわせて教えていく必要があるのではないかと思います。

また、そうした自然の中で水難事故を防ぐには、装備と知識が非常に重要で、その先に豊かな経験があるのだと考えています。体験することでいろいろな感性が磨かれたり、学校教育で求められる「生きる力」が身につくのが自然のフィールドです。実際に海や川に入って体験するということは何にも代えられない経験だと思うので、知識、装備を整えて所で、自然にふれる機会を得てもらいたいなと思っています。

齊藤:
委員会の活動に参加する中で、体験の入り口はまず大人だということを実感しました。伝えることに関しては、まずは大人が体験をもって知ったことを子どもに伝えていくという段取りが必要ではないかと考えています。教員や親といった大人が、次世代の子ども達に伝えられるような体験の場がたくさんあればいいですよね。

保護者は、新しいものを受け入れる切り替えの柔軟性を持っています。ラッシュガードが定番になってきたように、ライフジャケットに移行していくような素材やデザインにしていったら、楽しく安全ということが一気に加速するのではないでしょうか。

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吉川:
2020年は、非常に有意義な検討会になりましたし、これを次に生かしていくことを考えなければと思っています。

ラッシュガードみたいに広まっていけばというご意見が今ありましたが、本当にそう思います。私も検討会を始める前に、新素材やデザン面など、製品ベースでもっと売れるライフジャケットの新しい提案を考えていましたが、その前に現状を理解しないといけないことがたくさんあったと改めて感じています。

私の場合は、慎之介の事故の教訓を生かし、事故を繰り返さないためにはどうしたらいいのかという所でいろいろなことに取り組んでいます。活動しながら最近思うのは、事故の情報を伝えたり、原因究明をしっかりして同じことを繰り返さないということだけではなく、アクティビティと合わせて、楽しい経験の下に安全を学んでいくことも大事だということです。

ライフジャケットを着用していても、事故は起きてしまうかもしれない100%ではないよということをしっかり学びながら、楽しい体験を通じて思い出がたくさん増えていくというところにつなげていくためには、製品だけの力では限界があります。

提案もそうだし、大きな仕組みが必要だなと改めて感じています。さまざまな業界、機関、団体、人が広く関わってもらえるような活動を考えていきたいなと思いました。2021年もいろいろ取り組んでいきたいと思っていますので、引き続き、よろしくお願いいたします。

ライフジャケット検討委員会による最終報告書について

座談会の中で取り上げられている調査結果を記した最終報告書は、2020年12月により公開されています。こちらでは、報告書の内容について概要をご紹介します。

ライフジャケット検討委員会 最終報告書(2020年)
https://shinnosuke0907.net/wp-content/uploads/2020/12/78a6635a0efb0b64fa446b03cd85e862.pdf

★報告書のポイント紹介
・当委員会実施の調査によれば、保護者自身が水辺での経験が少ないため、水辺のリスクを認識しづらく、結果ライフジャケットの必要性を感じきれていないことが明らかになった。
・実際に子どもに水辺でライフジャケットを着用して遊んでもらったところ、安心感があり楽しいという声が多数。一方、体にフィットしないライフジャケットには不快感。現状は救命がベースになっているが、救命は前提としつつも子どもの可能性を広げる、遊びやすさ、動きやすさなど、多様化するユーザーニーズに応じた情報提供、製品づくりへの検討も今後必要になる。(委員会提言①)
・ライフジャケットの販売個数は広がりつつも経験者は限定的。レンタル利用の希望も見られることから、誰もが利用できる仕組みを、行政だけに限らず民間企業とも合わせて実行していくことが必要。また、ライフジャケットを着用したアクティビティを広げることも着用機会の普及につながると考える。(委員会提言②)

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コロナ禍で、学校の授業や海水浴場の状況なども例年とは異なった対応を迫られた2020年でしたが、そんな中でも水辺の安全に関する新たな課題やニーズの高まりが見受けられました。それらを解決すべく、より具体的な取り組みが期待される本委員会のこれからの動向に、引き続き注目していきたいと思います。