【SS】安くはないけど甘い相棒
扉が開くと複数の甘い香りと、心地の良い苦味を帯びた香りが鼻腔をくすぐる。
次から次へと来る客のオーダーを一つ一つ確実に作っていく。落ち着きを求めてこの場を訪れる私たちに対して、店員はいつも忙しない。無駄の無い動きで氷砕き、クリームをのせ、シロップをかけ。その忙しない動きがあるからこそ手早く美味しいドリンクを堪能することができる。
店員の動きに感心しながら列に並ぶ。今日はフラペチーノだけと固く誓った心を惑わす甘い悪魔がガラスケースに並ぶ。ああ、この新作のケーキはまだ食べてないやつだ。どうしようかな……。いいや駄目だ。お腹を少しさすり、悪魔祓いをする。
「お待たせいたしました、どうぞ」
店員が自然な笑顔と明るい声で呼ぶ。
つっかえながら慣れないメニューの注文を伝える。店員はスラスラと復唱した。まるで魔法使いの弟子と師匠だ。新しい呪文に戸惑う自分はまだまだ半人前で、目の前にいる私より若い女性は何十年かかっても越えられそうにない。
できた品を受け取り、長テーブルの端の席に腰を下ろす。そしてすぐにスマホを取りだし撮影をする。フォトジェニックなんて気にしないくせに日記代わりに写真を撮ってしまうのは、私も現代人の一人だからだろうか。
撮影も終わり、ストローでよく中身をかき混ぜる。パウダーをしっかり溶かさないと悲惨なことになるから。吸い込んだ瞬間、目の前に季節外れの茶色い雪が降るのはごめんだ。
もういい頃だろう。ストローでそっと吸い上げる。管を冷やしながら徐々に上がってくる。口の中に重厚感のある甘さが広がると同時に、舌の上をザラザラとした感触が滑り、一歩一歩確実に来た道の温度を下げていく。そのまま食道へと歩みを進める。至福のときだ。
夏場のコイツは格別に美味い。今年は何度お世話になるのだろう? そう考えながらスマートフォンのアプリを開いてチャージ残高を見る。
あまりコイツに甘えてばかりはいられなさそうだ。
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情景描写や心理描写が苦手なので、練習代わりにちょっとしたエッセイといいますか、SSといいますか、とりあえず書いてみました。
まだまだ甘いですね。フラペチーノ並みの甘さです。
うーん、どうやったら描写が美味くなるんですかね? やはり数をこなすしかないのかなあ。
こんな感じで拙い練習もどんどんしていきます。
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