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#書評
書評『僕が僕をやめる日』
「小説すばる」(2020年3月号)から新人作品をメインにとりあげる短めの書評連載がはじまりました。
40代前後の読者に、いつもとちょっとちがうジャンルの本を紹介したいと思って書いています。
ちょくちょく本誌のほうも手にとってください。
「セカイ系と格差シャカイ系」
世界の格差と貧困は、もはや誰もが無視できないレベルになっている。
先ごろアカデミー賞を獲得したポン・ジュノ監督の映画『パラサイ
書評『アリス・エクス・マキナ』
(初出 2014年「宝島」)
ロボットが身近になってきた。
今年の5月、ソフトバンクが人工知能(AI)を搭載した120cm程度の人型ロボット「pepper(ペッパー)」の発売を発表したのは記憶に新しい。
6月には東京の科学未来館では人間そっくりの、「コドモロイド」と「オトナロイド」という遠隔操作型アンドロイドがコミュニケーターとして就任。
これ、ぼくも見に行って来たのだけど、仕草や話し方
書評『星か獣になる季節』
・初出2015「宝島」
・2018年に文庫になった
あの頃、僕はずっとある人に恋をしていた。
その人はとても魅力的でみんなに好かれていた。
だから僕以外のひとたちもみんな彼女のことが好きだった。だけど僕らは彼女に触れることすらできなかった。
なぜなら、彼女は人間ではなく、アニメのキャラクターだったからだ。
僕は本当に彼女のことが好きだった。だから、その気持ちが、ただの「好き」という言葉
書評『デブを捨てに』
・初出2015年「宝島」
・装丁の絵がサイコー
・いつもの平山さんです
人はなぜホラー映画を見るのだろう。
恐怖という感情はどちらかというと喜ばしいものではない。にもかかわらず、わざわざ怖いものを見る。遊園地しかり、コントロールされた恐怖というのは一種の娯楽だ。
平山夢明を読むとき、ぼくはこの後者の恐怖を求めている。
しかし……今回の作品は恐怖を通り越して完全に笑いの境地に達した。
タ
書評『僕は愛を証明しようと思う』
・初出2015「宝島」
・デートDVやないかという女子からのツッコミがよくある
スタティカル・アービトラージ戦略、タイムコンソトレイントメソッド、フェーズシフトルーティーン……この単語は金融用語でも格ゲーの技名でもない、「恋愛工学」のテクニックである。
恋愛工学となにか?
それは男の欲望を実現するための秘密のテクノロジー……要するにナンパ理論だ。本書はそのテクニックを使って、一人の男が人生
書評『生まれた時からアルデンテ』
・初出2014「TVブロス」
生まれた時からアルデンテ、である。タイトルから漂うハイセンスオーラに、私の卑屈カウンターが警告を発する。はい、ここからはオサレな人以外は入らないでくださーい。おい、そこのおまえ! ひいい! お許しを! 百円で買った変なロゴ入り靴下を消毒だーヒャッハー! ギギギ!(焼死)。
オサレボーイしか生き残れない脳内オサレ世紀末で、俺が死んだ。