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ひみつの日記

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#書評

夏雲のすきまにのぞく毛布ぽい?あれは確かににゃーみーちゃんだ

夏雲のすきまにのぞく毛布ぽい?あれは確かににゃーみーちゃんだ


▼ラジオはじめました!

▼長らく絶版だったデビュー作が電子で復刊されました(※エログロ18禁注意!)

▼『ゲーセン戦記』出ました。
構成執筆などお手伝いしてます。めちゃ面白くて売れてます。ゲーセン目線のリアルなこういう本って初めてじゃないかな?

ゲーセン仕事が続いてますが、この流れ読むと背景がわかると思います。

▼日記500円毎月更新。

2023/07/20 木

テリーギリアムのドン

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書評『僕が僕をやめる日』

書評『僕が僕をやめる日』

「小説すばる」(2020年3月号)から新人作品をメインにとりあげる短めの書評連載がはじまりました。
40代前後の読者に、いつもとちょっとちがうジャンルの本を紹介したいと思って書いています。
ちょくちょく本誌のほうも手にとってください。

「セカイ系と格差シャカイ系」
 世界の格差と貧困は、もはや誰もが無視できないレベルになっている。

 先ごろアカデミー賞を獲得したポン・ジュノ監督の映画『パラサイ

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書評『タイタン』

書評『タイタン』

(初出 2020 共同通信)

こちらもどうぞ

書評『アリス・エクス・マキナ』

書評『アリス・エクス・マキナ』

(初出 2014年「宝島」)

 ロボットが身近になってきた。
 今年の5月、ソフトバンクが人工知能(AI)を搭載した120cm程度の人型ロボット「pepper(ペッパー)」の発売を発表したのは記憶に新しい。
 6月には東京の科学未来館では人間そっくりの、「コドモロイド」と「オトナロイド」という遠隔操作型アンドロイドがコミュニケーターとして就任。
 これ、ぼくも見に行って来たのだけど、仕草や話し方

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書評『紙の動物園』

書評『紙の動物園』

初出 2015年「宝島」

 今年クラウドファンディングによって設立された「日本翻訳大賞」は、質が良いにもかかわらずセールス的にはなかなか厳しい海外翻訳文学に明るいニュースとなった。
 面白い小説なら国内にたくさんあるのになぜ翻訳小説を読むのか? それは国内の小説にない面白さがあるからに決まっている。たとえばこの『紙の動物園』という海外SFもそうだ。
 著者のケン・リュウ(スト2のリュウとケンをも

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書評『淵の王』

書評『淵の王』

初出(共同通信)

 十九世紀、哲学者ニーチェが神の死を宣言してから100年。近代の作家たちは、神のいない世界で人をいかにして救うかを考え、悩み続けてきた。舞城王太郎の新作「淵の王」を読んで、これは正しくそうした近代の小説だと感じた。

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書評『星か獣になる季節』

書評『星か獣になる季節』

・初出2015「宝島」
・2018年に文庫になった

 あの頃、僕はずっとある人に恋をしていた。
 その人はとても魅力的でみんなに好かれていた。
 だから僕以外のひとたちもみんな彼女のことが好きだった。だけど僕らは彼女に触れることすらできなかった。
 なぜなら、彼女は人間ではなく、アニメのキャラクターだったからだ。
 僕は本当に彼女のことが好きだった。だから、その気持ちが、ただの「好き」という言葉

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書評『バラカ』

書評『バラカ』

・初出2016「文藝」
・分厚いけど一気読みできる
・ポリティカルなSF

日本文学を「復興」する 圧倒的である。ハードカバーで650頁というのは決して短くはない。それなのに気づくと読み終えていた。「一気読みでした!」と笑顔でおすすめできるような、気楽な本ではない。暗鬱で不愉快で読者に違和感と落ち着きのなさを与える挑発的な小説だ。

 震災で原発が爆発し、首都が大阪に移った日本。警戒区域で「バラカ

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書評『友は野末に』

書評『友は野末に』

・初出2015「宝島」
・色川武大も阿佐田哲也も同じ人だけどどっちも知らない人は知らない

 何年ぶりだろうか。こないだ神奈川のとある古い雀荘で麻雀を打った。最近つるんでいる男が博打でメシを食っている人間なので、すこしばかり勉強させてもらおうと技術指導してもらいつつ同じ卓を囲んだ。煙草で汚れた壁、ボロボロの雀卓。穴の空いた椅子。怪しげな客たち……十代の頃にしばらく働いていた場末のポーカー屋を思い出

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書評『デブを捨てに』

書評『デブを捨てに』

・初出2015年「宝島」
・装丁の絵がサイコー
・いつもの平山さんです

 人はなぜホラー映画を見るのだろう。
 恐怖という感情はどちらかというと喜ばしいものではない。にもかかわらず、わざわざ怖いものを見る。遊園地しかり、コントロールされた恐怖というのは一種の娯楽だ。
 平山夢明を読むとき、ぼくはこの後者の恐怖を求めている。
 しかし……今回の作品は恐怖を通り越して完全に笑いの境地に達した。
 タ

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書評『僕は愛を証明しようと思う』

書評『僕は愛を証明しようと思う』

・初出2015「宝島」
・デートDVやないかという女子からのツッコミがよくある

 スタティカル・アービトラージ戦略、タイムコンソトレイントメソッド、フェーズシフトルーティーン……この単語は金融用語でも格ゲーの技名でもない、「恋愛工学」のテクニックである。
 恋愛工学となにか?
 それは男の欲望を実現するための秘密のテクノロジー……要するにナンパ理論だ。本書はそのテクニックを使って、一人の男が人生

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書評『勉強の哲学』

書評『勉強の哲学』

・初出2017「新潮」
・案外なかった勉強についての哲学本
・自己啓発っぽい要素もあって固すぎないバランスの良さ
・大ヒットしてメイキングオブ『勉強の哲学』も出版

 先日、とある有名な女優さんと食事したときのこと。
 同席していた彼女の友人が、「ぼくはいろいろなことがやりたいんです。でもひとつに決めるべきなんでしょうか」という相談を彼女にしはじめた。彼は元芸人で役者で脚本家で、そうした中途半端な

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書評『生まれた時からアルデンテ』

書評『生まれた時からアルデンテ』

・初出2014「TVブロス」

 生まれた時からアルデンテ、である。タイトルから漂うハイセンスオーラに、私の卑屈カウンターが警告を発する。はい、ここからはオサレな人以外は入らないでくださーい。おい、そこのおまえ! ひいい! お許しを! 百円で買った変なロゴ入り靴下を消毒だーヒャッハー! ギギギ!(焼死)。
 オサレボーイしか生き残れない脳内オサレ世紀末で、俺が死んだ。

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