書評『勉強の哲学』
・初出2017「新潮」
・案外なかった勉強についての哲学本
・自己啓発っぽい要素もあって固すぎないバランスの良さ
・大ヒットしてメイキングオブ『勉強の哲学』も出版
先日、とある有名な女優さんと食事したときのこと。
同席していた彼女の友人が、「ぼくはいろいろなことがやりたいんです。でもひとつに決めるべきなんでしょうか」という相談を彼女にしはじめた。彼は元芸人で役者で脚本家で、そうした中途半端な立場に揺れているようだった。
ぼくはこのとき、その女優さんがどう答えるか興味を持っていた。かなりまっすぐで激しい性格の方だったので、「ふらふらしてないでひとつのことをやれ!」と言うと思っていたのだけれど、すこし間をおいて彼女は、こう答えた。
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