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#一人

掌編小説「千生」

私には千生(ちせ)という友人がいた。

今日あった、楽しかったこと、嫌なこと、なんでも話せて、まるで双子のように仲が良かった。

ずっと私は千生と一緒に遊んでいた。

痛いこと、苦しいことがあっても、千生と遊ぶだけで全て許せるような気がした。それくらい楽しかったし、笑ってた。

時が経って私は千生を忘れるほど、成長していた。

けれど、千生ほど親しい友人は出来なかった。

話したいことが山のように

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掌編小説「電脳少女」

 まだ、ネットワークが無く、テレビやラジオも無かった時代。
 私の親友は、他人には見えないものが見えた。
 それは妖怪や幽霊などではなく、見えていたのはこの世のあらゆる情報である。分かりやすく例えるならば、明日の天気や初めて会う人の名前や職業、どこかの事件の詳細、国家の機密文書の内容などなど。未来のことを予知するのではなく、あくまでも更新される情報をいち早く知ることができた。
 それらは彼女の意思

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