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掌編小説「私だけの道標」
人混み。…人混み。
どこを見ても、人ばかり。
全員、目指している方向へ
あちらは働くための道。
あちらはニートになる道。
あちらは未開拓地。
(我が道を行く人向け)
と書かれている看板に従って
私は立ち尽くす。
木の枝のように無数にある岐路
一歩踏み出したらもう戻れない
どうしたい?どうすればいい?
答えが見つからなくて
行き交う人々の中、一人うずくまる。
喧騒だけが私を覆い尽くす。
途端
掌編小説「タイムリープ」
故郷には、私にしか知らない良い場所があるんだ。
そこは森を抜けた先の小高い丘にあって、街を一望できる。君にも一度見せてあげたいと思うくらい、絶景なんだ。でも、そこで誰かと会ったことがなくて、きっと私だけの穴場なの。だから、その風景を独り占めしたくて、今まで誰にも教えたことがないんだけど…これは君と私の秘密にしておいて欲しい。
さて、話が逸れたね。……あの日のことはよく覚えてるよ。
その日はいつ
掌編小説「孤独の世界で」
僕はずっと1人だ
変えられやしない
変えようともしない
ずっと孤独の世界で
真っ暗な場所で
膝を抱えて
どうしてこうなったのか
僕はずっと考えている
いつも通りの日々だった
楽しかったはずなのに、
それさえも、孤独だった
いつからだろうか
あの日の無邪気な君の笑顔が
頭から離れてくれない
ずっと、ずっと、僕を
助け続けてくれたのに
なのに、もうどこにもいない
その面影すらもうない。
私は、恐れ