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短編小説集

45
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#純文学

犬を連れた奥さんの犬の行方

短編小説 ◇◇◇  アームに取り付けたWebカメラを天井近くまで伸ばし、真下に向けたまま狙…

海亀湾館長
6か月前
63

皮のない葡萄

短編小説 ◇◇◇  黒のチェスターコートの下は裸なのだから、身支度に時間はかからない。襟…

52

マリー・セレスト号のしつらえ

短編小説 ◇◇◇  妻が今日から三日間、里帰りで家を留守にする。  おれは仕事の都合もあ…

47

耳の婚活

短編小説 ◇◇◇  市の中心にある城址に作られた公園は全国でも名高い桜の名所になっていて…

45

間男のでんぐり返し

短編小説 ◇◇◇  誰に誓ってもいい。疚しいところはまったくない。恥ずべき行為は何一つし…

49

窓に立つ足

短編小説 ◇◇◇  櫛野静一は普段の生活では滅多にコンビニを使わなかったが、釜玉うどんを…

66

半月たちの哀歌

短編小説 ◇◇◇  寺林涼子は職員室にある自分の机に置いてあった二つ折りのメモを見つけて、高校三年生のある男子生徒の顔を思い浮かべた。  涼子は以前、その男子生徒から詩のようなものが書かれた手紙を受け取っていた。性器を見たことがない……とか、そういった気味の悪いセクハラまがいの文面だった。もしもそれが、ポストに入っていた差出人不明の手紙なら、最後まで読まずに破り捨てていたと思うが、涼子はその手紙が入った封筒を、生徒から手渡しで受け取った手前、無下に扱うことはできなかった

木星の翅を連れて

短編小説 ◇◇◇  真夜中に冷蔵庫の扉を開けたら、中に蛾が止まっていました。大きな蛾です…

37

鶏小屋の夫

短編小説 ◇◇◇  夫が激しく私を求めてくる日は、決まって夫が鶏小屋に行った後のようだ。…

32

真面目な人 3/3 〈全三回〉

3  つづら折りの暗い参道を車で上る。神社は小高い山の中腹にあり、全体が霊山になっている…

14

真面目な人 2/3 〈全三回〉

2  以前から夏夫は、男であれ女であれ異性の特定の部位に性的魅力を感じることは、相手の身…

18

真面目な人 1/3 〈全三回〉

短編小説 ◇◇◇ 1  二次会の会場となったスナックは、三十代のとば口に立ったばかりの男…

17

結婚というゆりかご

短編小説 ◇◇◇  惣一郎は、これで四通目のメールを、孫の玲奈から受け取った。  おじい…

13

ミッション

短編小説 ◇◇◇  ボストンに住んでいる友達からおよそ一年半ぶりに電話が掛かってきたとき、ぼくはちょうどお風呂に入っているところだった。 「国際電話だから早く出るのよ」と母さんが急に浴室の扉を開けてコードレス電話を突き出すので、ぼくは慌てて湯船の中にタオルを引き入れ、股間を隠さなければならなかった。 「勝手に入ってくんな!」  そんなぼくの一喝も、母さんに効き目はないらしく、はいはい、と何度か頷いたあと、まるで面白いものでも見たかのように、最後にくすりと笑って磨りガ