午前5時の飯屋
3月26日〜29日に東京へお忍び旅行へ行って参りました。その時のレポートをぼちぼち書いてアップしていきます。今回は出発の朝の出来事を書きます。
始発が間に合わん!
バスの出発時刻午前6時。始発に乗れば間に合うだろう。そんな気でいたから、前々日の晩まで何も調べず計画せず、のうのうと過ごしていた。
田舎を甘く見ていた。
始発に乗ろうものなら大遅刻は必至。ギリギリのところでちゃんと調べてよかった。
とはいえ車で向かうと駐車料金が嵩む。前日の晩に市内に入って適当なところに泊まるか?宿泊費用を考えれば車で行くのと大差ないがやむ終えない、漫画喫茶でも探そう。
と駅付近の店舗情報を集めつつ、どうにも諦めのつかない私はダメもとで同期にLINEした。
いいよ!
あまりにも簡単に請け負ってくれたものだから、「本当に!?朝4時出発とかだよ!!?」と何度も確認してしまった。「いつも相談聞いてもらってるからお礼させてほしい」って、そんな見返りを求めてたわけじゃないからね!?って思ったし言った。
そうと決まれば、朝ご飯でもご馳走しよう!宿泊先を検索していた手が今度は早朝に開いてる飲食店を探し始めた。
結局、駐車料金や宿泊料金と同じぐらいお金使ってんじゃん!とケチな私が思ったけど、価値が全然違うのよ。仕方なしに車を置くお金と、仕方なしに寝床を提供されるお金と、感謝を表し会話のきっかけを作るお金じゃあ価値が違う。
午前5時の飯屋
朝5時台に開いてる飲食店というのは珍しい。
某ファストフード店なら24時間営業ではあるが、わざわざ行くもんでもない。
そんなことを言っても他に店がないもんだから贅沢は言えんか…と半ば諦めかけていた時、「午前5時開店」の文字が飛び込んできた。
夜勤明けや早朝出勤の労働者のために朝ご飯を提供しているお店らしい。
ここしかないと思った。
まだ辺りが真っ暗な中、コソコソと家を出た。
早朝のドライブはいい。
部活の試合の日、日の出前に集合してウォーミングアップの前のウォーミングアップと称した練習をしていた頃を思い出す。まだ目もしっかり開かない。ベンチコートに覆われていない顔を冷たい空気が撫でる。鼻の粘膜がやられてツーンと痛む。言葉数の少なさに僅かに感じる安心感。
学生時代のことを反芻して小一時間も経てば目的地の飯屋へ。
店内にはおじさんがちらほら。
家の朝ご飯って感じの味噌汁やら目玉焼きやらが体に優しい。
往路
ピンチの渦中でたまたま辿り着く肌にあった空間、ひととき輪郭が溶け出すような感覚は尊い。
旅の序章にしては幸先がよい。
バスの窓から、流れる田園風景を眺め、来る’アクシデント’に心を躍らせた。
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