完璧な幸せなんてきっとどこにもない

仕事が終わって、家に帰ってきて、ようやく一息つく。
一日の嫌なことを忘れるように、パソコンを開きながら一昨日作ったケチャップライスと、帰り道コンビニで買ったクッキーを食べる。
そんなふうにゆっくりしてると、少しずつまたエネルギーが出てきて、立ち上がって、洗濯物を取り込んで、たたみながらドラマを見る。
初めて見るドラマ。シュトーレン風のパウンドケーキか、なんだかおいしそうだな。いつの日だったかシュトーレンを作ろうとレシピを見ただけで挫折してしまったけれど、これなら作れそう。うん、作って、みようかな。
カーテンから覗く空はいつの間にか暗くて、部屋の中は少し肌寒い。
それでも寂しくないのは、この部屋にもうひとつ命がいるからだ。
寂しさがべったりと影のように張り付いて剥がれなかったあの頃の私には、考えられなかった毎日を生きてる。
いくつもの平行世界があったとして、その中で最良の人生だと思う。
わたしがわたしでいる中で考えられうる最高の人生。
でもこれって家族がいるからで、一人でもかけたらもうこの世界に戻ってこれないとわかっている。それはそれはとても恐ろしい話。

今日、またまたテレビなのだけど、歳を重ねてなおとても愛されている奥様が映っていて、ああいいなと思った。心の底から、羨ましかった。
欲しいと思って得られるものではないよね。あんな、大切にされすぎて溺れていくような、わたしならそのまま死んでしまいたいくらい。

わたしの家族はどうだろう。わたしは幸せだけど、とても幸せだけど、どうしたってあの人にはまされないのだから、一番大切、というわけにはいかないのだろう。そういえば、今年最後の満月は見ることなく終わってしまっていた。

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