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悲しくてやりきれない

『この世界の片隅に』という漫画、そしてそれを原作とする映画がある。ご存知の方も多いかと思う。

1944年、広島は呉にお嫁に来た、19歳のすずさんの物語だ。戦争中でも、日常があって、嬉しいことがあって、人々は確かにそこに生きている。作者のこうの史代先生によって大切に、丁寧に生活が描かれている。

その映画の挿入歌が「悲しくてやりきれない」という歌だ。

わたしがこの曲を初めて聞いたのは、3年前くらい前のこと。
ちょうど母との関係に悩み、大学受験の勉強にも力が入れられず、心が黒くて薄いカーテンに包まれいるようなときだった。

周りには「大丈夫だよ」とか「ポジティブに考えなきゃ」とか。
「考えすぎだよ笑」
これ一番言われた。

そんななかであの映画を知って、曲を何度も聴いた。

悲しくてやりきれない/コトリンゴver.

胸にしみる 空のかがやき
今日も遠くながめ 涙をながす

悲しくて 悲しくて
とてもやりきれない
このやるせないモヤモヤを
誰かに告げようか

白い雲は 流れ流れて
今日も夢はもつれ わびしくゆれる

悲しくて 悲しくて
とてもやりきれない
この限りない むなしさの
救いはないだろうか

深い森の みどりにだかれ
今日も風の唄に しみじみ嘆く

悲しくて 悲しくて
とてもやりきれない
このもえたぎる 苦しさは
明日も続くのか

この歌詞の中には励ましの言葉なんてない。

でもそれが
「ポジティブになんかならなくていい。
 悲しくていい。苦しくていい」
そんなメッセージになって寄り添ってくれた。

あの曲が、わたしに
ただただ涙を流すことを許してくれたのだった。

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