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自覚できたら人は変われる。きょう親を卒業します。


わたしはようやく、いや、ついに卒業した。


心配性

ずっと気になっていた。娘の心配性なところが。

どうしてこうも小さなことが気にかかるのだろう…と不思議でならなかった。HSPなんて言葉が今や日常に溢れるけれど。そのたぐいなのだろうかと思ったりしていた。

けれど、わたしの心の中にはずっと一つの思いがあった。娘の心配性にはわたしが関係しているんじゃないかと。

母と娘の関係。

そのことがずっと気になっていた。

わたしのせいなんじゃないかと。


誘導する

昨日、外出前でちょっとあわただしい気分でいるであろう娘を外に呼び出した。

話したかった。

家の中じゃなくて外で。

ー--

迷惑そうな顔でやってきた娘。

歩きながら話をした。ただ話したのはもっぱらわたし。

心配だった。

余りに心配性な娘。その娘をわたしが心配していた。

畳みかけるように話すわたしに向かって、ようやく娘がいった。

すべてそうやって誘導されていると。

わたしのやりたいことを先回りしてやらせれくれないと。

驚いた。

すべてわたしに細々と報告する娘を心配していた。

どうしていちいち親に話すのだろう、報告するのだろうと。

そうしたら出てきた答えは、わたしが誘導しているというものだった。



龍雲

きっとわたしはこんな言葉が聞きたかったのだろう。

ずっとずっと心配だった。

どうしてこの子はこうも心配性なのだろうと。

ただ、きっとそこにはわたしが絡んでいるのだろうと、そう思っていた。

娘は一足先に家にもどり、その後、わたしは夫と秋空のさわやかな空を見上げながら散歩した。

空には龍の顔をした大きな雲が出ていた。


電線が邪魔してるけれどわたしに龍に見えた雲


これでいいんだと思えた。こんな言葉をわたしは聞きたかったのだと。

しかも空には龍雲

きっとこれでいいんだと思えた。

これは吉兆のしるしだと。


深層心理

なにがきっかけだったのだろうと遠い昔を思った。

そうしたらわたしの中に覚えがあった。その時からわたしは娘を心配した。わたしは娘を守ろうとした。

ただ娘はわたしよりもう足も速く、そしてすっかり大人だ。

それなのにわたしの中の母であるわたしは相変わらず娘を守らなきゃなんて思っていたに違いない。

ここが人間のやっかいなところ。

深層心理ってやつは、めったなことでは外に顔を出さない。

普段の何気ない一言や、何気ない行動が、いつの間にか娘をがんじがらめにしていたのだろう。

幼い頃の娘は活発だった。

実に負けず嫌いだった。

それなのに、今ではすっかりおとなしい女性になってしまった。

何不自由ないはずなのに、彼女はとても些細なことに傷つき、悩み続ける。

娘をそんなふうにしてしまったのは、遠い昔、わたしの中に刻まれたわたしの心だったに違いない。


卒業

いつもお母さんが誘導する。わたしは自由に動けない。そんな感じの事を娘が口にした。それから娘は外出した。

わたしは元来あまり落ち込んだりはしないタイプ。

それが昨日はそこからどんどん落ちていった。

もうどこまで落ちるのか自分にも予測が付かなかった。

だから早めに床に着いた。

ー--

ただ一つだけ分かっていたことがある。

誰かが発した言葉でどんどん落ちていく。わたしの場合、それは当たっているとき。当たっているとき、それを認めたくないとき、わたしは落ちていく。

ただ、朝、目がさめると自分の気持ちはすっかり元通りになっていた。

それから娘が家を出て行ったあと、昨日の娘の言葉をもう一度考えた。

そう、それは当たっていた。

わたしは過干渉だった。無自覚の内に過干渉だった。

まさか自分が…と思ったけれど過干渉だった。

そう気づくと、なんのことはない。わたしは過干渉な親ではないか。

自分の事だけは分からない、それが愚かな人の常だと思う。

それに気づけてよかった。

涙が次から次へと零れてきた。何年ぶりだろう。わたしは声を上げて泣いた。2022年10月24日、それがわたしの卒業の日。そして、知らず知らずに重ねてきた罪深さを恥じた日。

だから涙が溢れて止まらなかった。

きっと、これで娘も楽になれるだろう。

わたしも母からそうやって卒業した日があった。



おわりに

いつも不思議だと思う。

気づくっていうのは、ふとやってくる。それまで普通にみえていたことが違って見える。

随分時間がかかった。

ずっと心配していた。

ただ原因はわたしにあるだろうと思っていた。

その答えがふと手に入った。

だから良かった。それは娘のためにもわたしのためにも。そして変われると思う。だってもうちゃんと気づけたのだから。

もう一度自分の人生を歩いていこうと思えた。

娘には随分気の毒な思いをさせてしまった。これから自分の人生をのびのびと生きていって欲しい。

昨日はあれほどみごとな龍雲がわたしたちを見守っていた。

きっとわたしたちは変われるはず。


※最後までお読みいただきありがとうございました✨


※スタエフでもお話ししています。良かったらお聞きくださいね✨

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