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桜を思う君

 
作家・東田直樹さんが
5日に投稿した詩を読みました

“しとしとしとしと降る雨は
桜の花の涙のよう
しょぼしょぼしょぼしょぼ降る雨は
桜の花の涙のよう
途切れることなく降り続く

寂しがり屋の君が言う
泣かないで
ねえ 泣かないで
どこまでだって
一緒にいるよ

桜の花の涙のわけを
みんなは知らない
桜を思う君の気持ちを
みんなは知らない”



「桜の花の涙」のわけはなんだろう
「桜を思う君」はどんな気持ちでいるだろう

いつだってどこかで誰かが泣いているかもしれない
どんなに嬉しい日だって
どんなに喜ばしい日だって
切なさや寂しさを隠している人がいるかもしれない


華やかな雰囲気、美しい姿
それを見ただけでは想像できない
心の底の葛藤を、東田さんは表現してくれているように感じました


NHKスペシャル「自閉症の君が教えてくれたこと」で東田さんの詩の朗読を担当した春馬くん

放送当時
私は春馬くんが声として出演するとは知らずに見ていました

東田さんの詩が読み上げられていくにつれ
途中で気づいたのでした、春馬くんだと
気づかなかった
あまりにも自然に映像に溶け込んでいたから


決して主張しない
そこにある世界観を尊重し
詩の感性に寄り添って
詩そのものが持つ魂を
伝えることに徹する

その春馬くんの持つ
控えめで細やかな表現
それが作品のよさを最大限に伝えていたと思います

だからこのドキュメンタリーはよく覚えていて
最後まで釘付けになるほど
集中して見ていたのでした


そして振り返ると、
それが春馬くんなんだと、改めて思いました


映像に溶け込む奥ゆかしさ


春馬くんの仕事ぶりに一貫して共通しているのは、作品や役柄、共演者に寄り添う姿勢

そこに存在するものを
ありのままを受け止めようとする謙虚な姿勢

自分が目立つのではなく
全体として完成度の高い作品にするため
作品の伝えたいこと、ひいては監督の伝えたいことを確実に伝えるため
自分はどんな立ち振る舞いをしたらいいのか
いつも考えている
そういう姿勢を持っていたと思います


東京公園の監督が言っていた言葉が蘇る
春馬くんは「公園のような人」

何気ない日常の中で
いつも近くにあって
つい立ち寄りたくなる

どんな人もどんな気持ちも
癒してくれる
優しく揺らぐ木陰の光で
萌える緑の力強いエネルギーで
生きる力を与えてくれる




でもそんな姿勢を
生き方を貫くことは
容易なことではなかったと思う


経験を重ねて
苦い思いもたくさんして
試行錯誤して
辛い時も、やめたくなる時も
周りの人に支えられながら
誠実に努力を積んできたからこそ
限界への挑戦を諦めなかったからこそ
そんな生き方を守ってこられたのだと思う


春馬くんを想いながら
秋の桜
コスモスが思い浮かびました

そして大好きな詩の一節を思い出しました


“秋桜の園に立てば
だれもが懐かしく平和な気持ちになるに違いない

そよ風に揺れて花たちが歌う
歌っているのは「柔らかな心であり続ける強さ」
一番大切な強さ

けれど
優しきもの、美しき世界を守るためには
どんなに死にものぐるいの戦いが必要なことか
コスモスの、たおやかな姿に
だまされてはならない

あるかなきかの風にさえ挨拶する繊細なこの花は
実は、強い強い花なのである
日当たりさえ良ければ、どこにでも生える
土質(どしつ)を選ばない
荒れ地にも、やせ地にも生える
むしろ、肥料が多いと、育ちが悪いそうだ
一度つくると、毎年、こぼれる種子で
また生えてくる
風で倒されても、倒れたまま天に向かい
倒れたところから根を出し
たくましく起き上がってくる

強さは、強がりの虚勢にはないのだろう
淡々とした、なすべきことをなす覚悟の中に
あるのだろう”


柔らかな笑顔
優しい声
鋭く美しく繊細な演技

それを守るためにどれほどの戦いを
して来たのだろう

どれほどの強さを持っていたのだろう

春馬くん

春馬くん
あなたは本当にすごい人だ

いつまでも
心の中の
憧れで
希望で
光であり続ける


だからいつまでもあなたを想い
あなたの幸せを願い続ける

もう一度逢いたい
いつか逢える
そう信じる
この空の向こうで

だからもう少し先へ行くよ
あなたの想いと一緒に

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