雪解けを集めて早し最上川!?
九州や関東から桜の開花の便りが聞こえてくるなか、東北や北海道でも10℃前後まで気温が上がる日が多くなり、北国でも本格的な春の気配を感じられるようになってきました。
「北国の春」といえば、「白樺~、青空、南風♪」(ちょっと古いですが・・・😅。わからない方は検索してみてください。)のフレーズが有名ですが、雪国では、「雪解け」が一番春を実感できるのではないでしょうか。
かくゆう私も、雪解けが進んで、白一色に覆われていた大地に土や草が顔をのぞかせてくると、「あ~、春だなぁ」と実感します。
雪国の冬は長く、また、春から秋までとは景色がまるで違うため、毎年春を迎えるまで、冬以外の姿をすっかり忘れていたりもします。
そして、雪解けが進むとともに、徐々に私の記憶も解凍され、「そういえば、ここはこんな感じだったな」と春の姿を思い出してくるなんてことが、多々あります。
さて、そんな雪解けですが、「雪」は、皆さんご存知のとおり「水」が姿を変えたものです。
水のまま降ってくる雨は、地面に浸透したり、地表面を流れていったりして川などへ排水されていくわけですが、雪は、降った後、解けずにしばらくの間その場に留まります。
つまり、雪が積もっている状態というのは、水がその場に留まっている状態ということになります。
普通、雨水を貯めておくためには、貯水槽やダムなどが必要になりますが、雪の場合は、そんなものを必要としないで、水をしばらくの間貯めておくことができ、まさに「自然のダム」と言えるのです。
豪雪地帯など、雪が多い地域は、昔からこの雪解け水を農業用水などに活用してきました。
豪雪地帯では、雨が降らなくても、春になると山などの残雪が徐々に解け、雪解け水として川を流下してきます。
その豊富な水を水田に送り込むことができるので、豪雪地帯は日本有数の米どころとなっている所も多くなっています。
故に、暖冬で雪が少ない年には、水不足が懸念されることもあります。
ここで、一つ、気をつけなければならないことがあります。
先ほど、豪雪地帯では「雨が降らなくても雪解け水が川を流下してくる」と説明しました。
それでは、「雨が降ったら」どうなるのでしょうか?
雪解け水にプラスして降雨による水が流れてくるわけですから、当然、川の流量は平常時と比べて多くなります。
つまり、雪国の河川では、春先に雨が降った時は、川の水嵩が一気に上がるため、洪水や河川の氾濫、水の事故などに注意する必要があるのです。
例えば、松尾芭蕉の「五月雨を 集めて早し 最上川」の句で有名な山形県の最上川ですが、この川は、平地でも積雪が2mを超えるような日本でも屈指の豪雪地帯を流れてきます。
そのため、春先の雪解け時期は、年間で最も流量が多く、流れも速くなるのです。
「雪解けを 集めて早し 最上川」
松尾芭蕉も、雪解けシーズンにこの地を訪れていたら、こんな風に詠んだかも・・・
いえ、こんな凡人が思いつくような句ではなく、きっともっと素敵な句を詠んでいたことでしょう。
最後まで、ご覧くださり、ありがとうございました。