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271冊目:オルタネート/加藤シゲアキ

こんばんは、Umenogummiです。


今日は話題の小説です。


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オルタネート/加藤シゲアキ 作


あらすじ


オルタネートという、高校生限定のコミュニケーションアプリが高校生たちに必須となった時代。
3人の主要人物にまつわるエピソードを絡ませて、物語は進みます。


調理部の部長となった容(いるる)は、昨年度当時の調理部部長と挑戦した高校生たちの料理バトル「ワンポーション」でのトラウマを抱えていました。

オルタネートをやっていない容は、新しく入部した1年生たちともうまくコミュニケーションをとれずにいました。今年度ペアを組んでワンポーションに参加することになったえみくとはなかなか息が合わず、焦る気持ちばかりが空回りしていました。


オルタネートを信奉する凪津(なづ)は、1年生ながらオルタネートを使いこなし、同級生に使い方を教えたるなどして、周囲から頼りにされていました。

友人たちはオルタネートを使い恋人を見つけて行くのに対し、凪津は慎重に、知り合った人たちとリアルで会うことはしていません。

そんななか、オルタネートが遺伝子学的に自分に合う人を見つけるジーンマッチというサービスを開始すると発表され、凪津は正しく自分が求めていたものだと早速サービスを申込みます。


大阪で暮らす高校を中退した尚志は、高校生でなくなったことでオルタネートが使えなくなり、かつての友人でバンド仲間だったに連絡を取ろうにも取れずにいました。

弟のアカウントでオルタネート上に豊を見つけ、尚志は上京し、豊が通う高校(容、凪津と同じ高校)に忍び込みます。
道中、CENTRAL CHAPEL と書かれた建物に入り、一人の少女が弾くパイプオルガンに心を打たれます。

豊とは再会でき、またバンドをやろうと誘う尚志でしたが、断られてしまいます。

尚志は豊への想いを断ちきるようにリゾートバイトで精を出し、その資金を元手に再び上京、音楽家たちが集うシェアハウスで暮らすことに。
そこは偶然にも、豊の通う高校のすぐそばにありました。







感想



偏見があって、芸能人の作品? うーん、やめとこ。と加藤氏の作品はこれまで読んだことがありませんでした。

あと天の邪鬼なのであんまり流行の作品は買わないのですが、読んでみたら面白い!


純文学より堅苦しさがなく、かといって青少年向けノベルより軽くもなく。ちょうどよい感じの読み応え。


自分のなかでなかなか読み進められない作品は、どうあっても読めなくて挫折してしまうんですけど、こちらの作品はちょっと本を読む気しないなぁと思っているときも、ページをめくると本の世界観に夢中になってしまいました。

まだ粗削りな感じもありますが、10代の激しい感情を描写するのにぴったりだと思いました。


オルタネートというアプリにまつわる高校生たちの、さわやかで、でもぐちゃぐちゃな、そんな複雑な心情を細やかに描いています。


これからの加藤氏の作品を期待させる、素敵な作品です。

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