見出し画像

旅の目的地をください

2004年3月
初めての海外・アムステルダムに降り立った。

2006年3月
初めての一人旅で、中国を縦断した。

2008年3月
社会人になってからも大型連休でのバックパック旅を続けた。10年で行った国は30ヶ国程度だった。

2013年12月
一級建築士を取得。試験から開放され、ダイビングを趣味とするようになる。

2016年5月
熊本地震のボランティア活動の際に、佐賀県に行った。47都道府県を制覇。※佐賀県は夫の出身県

2018年3月
世界中を旅しながら働く実証実験を始める。

2020年3月
2年間にわたるその実証実験に終止符を打つ。

今回は、2020年2月末、南米2ヶ月の旅を終えて帰国した後の話。

旅の目的地の枯渇と、ダイビングにハマった理由

いつからか、日本国内に旅の目的地を探すことが難しくなっていた。
私は地形の先端マニアなので、各都道府県で数ある岬や灯台にも足を運んだ。離島も好きで色んな島に行った。

野付半島には人生で5回くらい行ってるし(夫を連れてこの前の夏も行った)、天売焼尻から小笠原諸島の北部にあるケータ列島、トカラ列島にも行かせてもらった。尻屋崎だって佐田岬だって五島列島も壱岐対馬も訪問済みだ。

一度行ったことのある土地にもう一度行こう!となることもあるが(実際に東北なんかは数えきれないほど通った)、一度行ったらもうしばらくは再訪しなくていいやと思うこともあって、行けば行くほど、日本国内での旅の目的地の枯渇は進む一方だった。

だから、私はダイビングにハマった。

地上では味わえない絶景や浮遊感もそうだけど、海の中の風景は、季節や潮の流れで表情を大きく変える。その表情を見るために、何度でも行きたくなるというのが、ハマった要因だと分析している。

画像1

目的地不足ではじめた日本での夫婦多拠点生活

そして2020年、海外に行くことも離島へ行くことも、困難になった。

越境解禁した6月以降も、何かあってはいけないと思って離島自粛しているので、年4回行っていた那覇空港に、もう1年以上降り立っていない。

6月に予定していた祖母の散骨も、もちろん延期にしたし、たぶん2021年も無理だろう。

そういえば祖母は、新型コロナウイルスを知らずにあの世へ旅立ったのか。もし1年遅れだったなら、両親たちは病院に行けてなかったかもしれないし、葬式だってあんなに爆笑して過ごせただろうか。世の中は何が起こるか分からないよね。(わたしの結婚しかり)

ワクチンが出来て、世界中の人に免疫が出来て、ダイビングが昔のように楽しめる時代が来たとしたら、那覇空港の空気を吸い込むだけで号泣できるかもしれない。
それは嘘だけど。

そんなことで、夫と日本国内で多拠点生活をはじめた。

画像2

必然的で合理的だった、夫婦でアドレスホッパー

もともと2020年6月までに、夫が大阪から東京に引っ越しをして、ついでだから貯金もあるし、不動産価値の落ちない東京都心の駅近に家でも買おうか、くらいに思っていた。

一緒に住んでからも私は一人で海外を飛び回るだろうし、全国を転々としている夫を東京から応援するようなこともあるだろう。それはそれで夫婦の形だろう。そんな未来を想像していた。

しかし、世界が一変した。

私は海外へ出れなくなった。門前仲町の自宅は大好きだけれども、長らく同じ場所で在宅勤務をしていると、魂を殺されるような気分になった。

そして、リモートワークや時差出勤が推奨され、会社に行かないことが正しいことになるという、パラダイムシフトが起こった。しかしながら、『リモートワーク(テレワーク)=在宅勤務』とはどこにも定義されていないことに気づいた。

「日本国内で」「転々と場所を変えて」「夫は車で移動しながらフィジカルに」「妻は拠点や宿でオンライン」・・・という状況を掛け合わせていくと、二人で多拠点生活をする。という答えが導かれた。

夫婦ふたりでアドレスホッパー生活のはじまりだ!

画像3

半分は多拠点生活、半分は東京

そうは言っても私には東京での仕事や現場があるので、やはりこれまで通り門前仲町には家を所有していた。

なぜ完全に家を手放さないのか?家賃がもったいなくないのか?とこれまで100回以上聞かれてきたけれど、「日常と非日常を強めに横断するため」という一貫した答えを持っているので、気になる人はこちらをどうぞ。

これまでにしてきた旅を振り返ると、
鎌倉→関西→北陸→中越→北関東→東京→湘南→伊豆半島→山梨→東京→長野→新潟→北関東→東京→大阪→四国→山陽→兵庫→東京→千葉→札幌→函館→洞爺湖→道央→道東→帯広→富良野→小樽→東京→那須塩原→福島→仙台→南相馬→東京→館山→福岡→別府→宮崎→鹿児島→熊本→阿蘇→京都→大阪→東京→茨城→静岡→山梨→蓼科→白馬→東京→仙台→盛岡→沿岸部→十和田→弘前→秋田→山形→東京→千葉→茨城→京都→兵庫→岡山→広島→香川…

こんな感じ。

ちなみに、東京にいる時は、夫の車での送迎か自転車なので、公共交通機関にはほとんど乗っていない。
エリアを跨ぐ大移動は「ぷらっとこだま」などの乗客が比較的少ない格安新幹線に乗っていて、地方での移動はもちろん夫の運転する車。
日中は拠点に引きこもって黙々と仕事をする文豪スタイル
食事はほとんど自炊なので、接触機会は東京に居続けるより格段に少ないのでは。と思っている。

画像4

住み放題サブスクリプションサービスについて

私が利用しているのは、月4万円で日本全国100拠点に住み放題サービスのADDressと、HafHのお試しプラン(3000円で2泊)の併用。

せっかくだから、この2つのサービスについて言及したい。

ADDressについて

全国100拠点(2020年末時点)に月4万円で住み放題のサービス。
私たちはもともと住んでいた門前仲町の家と、近くに夫の仕事場としての別宅、そしてこの多拠点居住サービスに家賃を払っている。

このサービスの最も良いところは、一人が契約していたら、登録している家族も一緒に追加料金なく使えるというところ。
1人でしか使えないドミトリーやシングルルームなどもあるのだけれど、日本の各地域の古民家などの空き家を改修した自社開発拠点は、複数部屋があって1部屋を予約すれば家族で泊まれる仕様になっている。

月4万円で夫婦2人の1月分の家が、日本全国に確保できることになる。

最近ではリモートワークでの需要が急増しているため、各部屋にデスクを設けるようになってきたので、Wi-Fiや個室など執務環境も整っている。

写真やレビューなどの情報を見ていたら、予めどのような拠点なのかは頭の中に構築できる。(一応、建築士だし。)だから、行ってみたら全然リモートワーク出来なかった、といった事態には陥ったことはない。

そもそも世界中でリモートワークしてきたのだから、日本なんてチョロい。
これまで60拠点くらいを回ってきて、すべて空間の記録をしているので、やってみたい人がいたら、色々とお話しできそうです。

HafHについて

最近でこそ拠点を急増させているADDressだが、どうしても網羅出来ていない地域があった。そんな時に、拠点数で圧倒的に勝っているHafHのお試しプランを使っていた。(月3000円で2泊まで)

おそらく個人に向けてサービスがつくられているため、結果的に夫婦で利用するには大変難しい仕組みだった。

2人それぞれ契約をして、同日に予約をする。予約が出来るのは大半がドミトリーで、個室をとるためにはコインが必要になる。もう少しランクの高いプランに申し込んで大量のコインがあれば使いやすかったのかもしれないけれど、コインを利用して個室を予約しても、夫婦2人で使うためには事前に電話をして宿泊施設に確認をし、場合によっては無理なお願いをしなければならなかった。

比較的アクセスのよい立地のゲストハウスなどの登録が多く、ドミトリーに泊まりまくっていた学生時代だったら、ヘビーユーザーになっていたかもしれない。

もちろんその2つでカバーできないところは、楽天トラベルやAirbnbも組み合わせているが、今のところ上手く出来ていると感じている。

私たちの多拠点生活は、こちらのイラストに書き込んでみました。

画像5

地球を自宅と見立てた在宅勤務

この生活をするにあたって、就業規定の在宅勤務の自宅の定義を読み込んだが、どこにも「住民票のある場所」とは書いていないことに気づいた。

就業規定における『自宅』とは、本人または家族が日常を過ごす場所。
らしい。

だから私は「地球を自宅と見立てた在宅勤務」をしていると思っていた。
または家族である夫が日常を過ごす=全国を転々とする場所に同行しているだけだ、と。夫の仕事は同じ場所にとどまっていては出来ない。

その話を会社の人にしたときに、たしかにサーカス団とか遠洋漁業も立派な仕事ですよね。その妻が夫の帰りを待ち続けるしか選択肢がないなんて、古い考え方かもしれませんね。という意見をもらって、とても嬉しくなった。

しかし、多拠点生活やワーケーションを制度化するために関係者と話をしていて気づいたのだけれども、自宅でないと滞りなく仕事が出来る環境がつくることが出来ない。と普通の思考回路では見做されるらしかった。

居場所の距離が遠かったら、突然の呼び出しに対応できない、という見做しもされるらしい。じゃあ、通勤に何時間かかる人からが遠いと見做されるのか?といったら、その数値的な定義はないらしかった。

湘南エリアやもっと遠くから東京に通っている人も各企業に多くいるし、サラリーマンでも二拠点生活をしている人なんて、ずっと前からそこそこ多くいる。

今後、数字で規定することで自由が生まれるのか、そうでないのかを議論しながら、新しい働き方を作っていきたいとは思っているけれども、世の中にあるサブスクリプション多拠点サービスの働く環境は、自宅と同程度または自宅よりも『働ける環境』であることはここで明言しておきたい。

あと、私が長らくデザインを担当させてもらっているワークスタイリングも、オフィスよりも自宅よりもずっと『働ける環境』を目指しています。
これからも未来にむけて働き方を変えていくから、今後ともよろしくお願いします。

目的がなく目的地があるか、目的地がなくて目的があるか

2020年、目的と目的地が共存する旅に価値はなくなった。

例えば、視察出張。
新規案件に取り組むから、あの類似事例とあの類似事例が見たい。手配しておいて。と言って、誰かが決めた時間に集合場所に行って荷物のように身体を運び、なにか仕事した気になって、帰ってくる。

これからどうつくるかの時代から、何をつくるかの時代になるなんて周知の事実なのだから、今あるものを見ても気づきの数が少ないのは明らか。

目的である「新しくつくる〇〇の近しい例が見たい」と目的地が共存していると、想像以上のインプットは得られない。


例えば、観光ツアー。
「美味しいご飯が食べたい」という目的と、「福岡」という目的地があった場合、明太子とイカともつ鍋と屋台にも行って…と、とにかく過密スケジュールをこなすので精一杯になってしまい、目の前の風景や、旅の一番美味しいところ=ハプニングを楽しめなくなってしまう。

どちらも否定するつもりはないし、たまには何も考えなくても進んでいくパッケージプランやツアーも楽しいものだけれども、私にとっての旅の価値はインスピレーションなので、予定調和が一番の大敵になってしまう。

だからこれからは、
「目的地はあるが目的がない」か、
「目的はあるが目的地がない」か。

予定調和で得られるインプットなんて想像を超えなくなってしまった。

画像6

画像7

コンパクトに持ち運べるようになった多拠点生活ののための自炊セット(笑)

2021年、新しい旅の目的を付加したい

そう言った意味で、多拠点生活というのはダイビング以来の、ハマった仕組みだった。今回はさらに、夫という共同生活運営者を得て、二人ともにとって経済的にも合理的で、ドンピシャだった。

ただ、たしかに今の生活も楽しいけれど、多くの拠点を移動する、というだけでは2021年の早々に目的地不足になってしまうと思った。

だから、みんなのための内祝いを探す。という目的を獲得したいのです。

お金が欲しいとか、注目を集めたいとか、これまで大量に支払ってきたご祝儀を取り返したいとかそんなことではなくって(最後のは全くない訳ではないけれども)、それよりも、ただただ、旅の目的が欲しい。

参加してくれた人とのために、何を送ろうか考える時間にワクワクし、無事に届くかどうかソワソワし、届いた時の顔を想像して、そのあとに出来る新たな関係性にまたワクワクする。

そんなご祝儀を、私たちにください。

画像8

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本記事は、ディスタンスを取りながら結婚報告を行い、参加型ハネムーンと選べる内祝いをお届けする「投げ銭ハネムーン」に関する内容です。

気になった方は、覗いてみてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?