アフリカのトップ携帯メーカー、トランシオン(伝音)の香港スター市場の上場


アフリカで最も多くの台数を販売する携帯端末メーカーである中国トランシオン(伝音)が、香港証券取引所に7月に開設されたばかりの新興企業向け市場、香港スターマーケットに上場しました。

トランシオンは、アフリカで携帯を年間1億台以上を販売しており(2018年の販売台数は1億2,400万台)、アフリカで台数ベース48.7%のシェアをとっています。


伝音は、携帯電話の「TECNO」、「itel」、「Infinix」のほか、デジタルアクセサリーの「Oraimo」や家電の「Syinix」、アフターサービスの「Carlcare」を展開している。携帯電話はフィーチャーフォンが中心となるため、中国国内で伝音の製品をみかけることはほとんどなく、アフリカやインド、東南アジアが主な市場となっている。アフリカでは半分近いシェアを握り、「アフリカの携帯電話王」と呼ばれている。

これは、ちょっと実態と違いますね。中国でトランシオン製品を見かけないのは、トランシオンははじめから「アフリカでしか」携帯を販売していないからです。フィーチャーフォンだからアフリカなのではありません。

また、アフリカでフィーチャーフォンから開始し、農村部のNokiaのシェアを一気にひっくり返したところからはじまったトランシオンですが、いまではTecno、iTel、Infinixのいずれでもスマートフォンを出しています。トランシオンの販売台数のうち、4割弱がスマホだと言われています。わたしも、Tecnoのスマホを1台持っています。106ドルほどでした。

ただ、トランシオンの一番の強みは、やはり農村での販売に強いことかと思います。コカ・コーラの例に見るべく、消費財は、人口構成的に多くを占める農村部での流通をどれだけ構築できるかに尽きます。

農村部に行けば、トランシオンの携帯のシェアが高いことが如実にわかります。字の読めないおじいさんから若者まで、みなトランシオンです。そしてトランシオンの一番の魅力は「充電が長持ちする」ことです。商品、販売網、そして営業マンの動かし方と、アフリカにおける消費財の販売方法のひとつのお手本かと思います。

ただ、トランシオンもうかうかしてられません。実はもう一つ、アフリカの農村部で強い携帯電話メーカーがあります。そこの携帯は、トランシオン以上に充電が長持ちし(1週間程度は余裕で持つ)、壊れにくい。消費者に向き合ってニーズを形にした企業が勝つという構造は、アフリカでもまったく同じです。

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