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『超香少年サトル』 上田悦
先のnoteで申し上げたように、少年誌にも渋いマンガは存在します。
(今回はいつもの「マンガ図書館z」ではなく、「スキマ」というサイトで無料公開されているものですが…これは画像がでないんですね、別に貼ります↓)
上田悦先生『超香少年サトル』です。
どうです、この少年誌の主人公とは思えないイデタチは。
長年「渋漫」を探して歩いておりますと、何かカンが働くようになります。マンガの表紙にイケメンでも美女でもない…ファッションがいいわけでも、流行りのアイテムをもっているわけでもない。なんかこう、地味である。こういうのは要注意です。
その地味さを補って余りある何かがぶち込まれている可能性があります。
この作品もそうでした。
(このマガジンには「地味」「華がない」「ヘン」「どうかしてる」などの言葉が頻発しますが、そういう意味ですべて褒め言葉です。)
主人公サトル少年は香りを操る「調香師」(この時点で渋すぎますが)で、その能力を使って中学校のワルからイヤな先生、街に出ればチンピラやヤクザモノ、果ては犯罪者までをことごとく退治していきます。言うなれば香りを武器にした必殺仕事人ですね。
「香りなんかでどうやって悪人退治するんだ」と思われた方はぜひ読んでください<(_ _)>チビで非力ですが、香りを操る能力+知恵と度胸は一級品のサトル君の活躍は、渋漫には珍しくカタルシスが強めです。
…なぜカタルシスが強い(読んでてスカっとする)かというと、これが上手いところだと感心するのですが、悪者が実にクズなんですねw主人公サトルくんはけっこうクールで、自分から悪人退治などあまりしません。「僕にはかかわりがない」とか、股旅かお前はという態度です。友人の田原くん(のび太的なメガネ)が正義感はあるけどやられるという損な役まわり。メガネが一通り殴られてからがサトルくんの出番です。
そんな構図はよくあるじゃないか、と思われそうですが。上田先生はこのやられシーンでフラストレーションをうまく貯めてくれるのです。というのも、どちらかというと丸っこい、子供向けの絵柄なのが、ケンカのシーンになると急にスパッタリングを多用するんですね。
いわゆる血しぶきの効果。つけペンの先にインクをたっぷりのせて「フッ!」と吹き付ける技術です(当方いま10年ぶりにやりましたw)。時代劇やヤンキー漫画なら驚きませんが、学園コメディでこれが出ると「うわあ!」って思います。のび太が流血してるようなものです。もうこの時点で当方は「サトルくん、やっちまえ!」と完全に乗せられています。全118話、118回乗せられましたw。
(別にいいんですがどうも上田先生はスパッタリングがお好きなようで、ヒロインの軽いビンタでも血しぶきが舞います。バイオレンスです)
…非常に構成が上手いんだなと感じます。主人公のワザが香りであるというのは奇抜ですが、実はマンガ自体がたいへん丁寧な作りで、ケレン味がないんですね。
そのためか、同時期のチャンピオン作家・川島よしお先生がサトルくんを4コマのネタにしています。
こちらも独立して紹介したいほどの渋漫ですが…。
上田悦先生のマンガは当方不勉強にしてこのサトルくんしか知りません。が、派手ではないが非常に腕のいい、いわゆるアーティスツ・アーティスト(同業者に褒められる芸術家)のタイプではないかと思います。シェフが行く店のシェフが行く店、的な。
…作者ともども、渋いですね。
上田先生の他の作品をご存知の方、どうか教えてください<(_ _)>
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たくさんのサポートを戴いており、イラストももう一通り送ったような気がするので…どんなお礼がいいですかねえ?考え中(._.)