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さよならノストラダムス(喪)

2020年も7の月が終わりましたね、今日から8月。

あっという間です。

いまサラっと描いた7の月。ちょっとこうしてみましょうか。

そう、ノストラダムスですw。

あの7の月からもう21年も経つのですね。

…なんだかんだとゴチャゴチャだった今年前半、作家の五島勉さんが90歳でお亡くなりになったとのこと。ご冥福をお祈りします。あまりにも基本教養なので申し上げるのもお恥ずかしいが、五島さんは日本にノストラダムスを紹介し一躍有名作家になったルポライターです。当方の生まれる前の話(70年代)ですが…。

さすがに大ニュースとは言わずとも、ネット界隈はもっと盛り上がると思っていたのですが。ひっそりと逝かれた感があります。

オカルトや安易なスピリチュアリズムにはハッキリ言って否定的な当方も、この五島さんにはちょっと思い入れがあります。

こんなにマンガ表現に影響を与えた作家さんもそうはいまいと思う。

『ノストラダムスの大予言』が大ベストセラーになり、ブームも落ち着き、「そんな予言あるのは知ってるけどまあガキでも信じてない」という90年代にキッズだった当方にとって、あの予言は主にマンガのネタでした。

特に有名なのは『ちびまる子ちゃん』でしょうね。たしか「まる子ノストラダムスの予言を気にする」でしたっけ、アニメにもなりました。オチは「そんなことより勉強すれば」でしたがw。参考↓

ただこれは90年代、醒めてきたときのお話です。7、80年代には「え、あの人が…」という大物がけっこう本気で予言を語っちゃたりしてます。当方このとき生まれていたら変な影響を受けたかもしれんw、罪な話ではある。参考↓

やまさき拓味先生に小池一夫御大、ですからね。「おいやめてくれよ」って感じですw。

ちなみに全部無料で読めるので、あの時代の「どうかしてる空気」を味わいたい方にはオススメです。

そしてなぜかこのノストラダムスが90年代に忽然として蘇ります。当時のキッズには忘れられないこのセリフ、さあみなさんご一緒に。

『MMR(マガジンミステリールポルタージュ)』です

説明不要とは思いますが念のため。少年マガジンのやけにマッチョな若き編集者たちが世の不思議をリサーチするルポ漫画(とはいえフィクション)、結論は必ず「人類は滅亡する!」というパワーワードで閉まります。

なぜそうなるのか、論理展開はリーダー・キバヤシの胸三寸。あまりにも強引な展開、派手な演出、よく驚く他の編集者たちに、キッズは「これは一種の天丼ギャグなのでは…」と思いつつハートを鷲掴みされてしまいます。

そしてこの「滅亡思想」の元ネタはもちろんノストラダムスでした。「MMR」は五島氏の子供世代、それを読んで育ったキッズは孫世代と言えるでしょう。

五島氏の影響下に登場したこの『MMR』各種の表現は、手塚治虫先生の擬音「シーン…」、さくらももこ先生の「顔に縦線」、久米田康治先生の擬態語「めるめるめる」(メールを打つ音)などと並んで、もう皆が使ってもいいマンガ表現の共有財産になっています(笑)。

一種のイディオムといいますか、定型文ですね。例示しましょう。

これは模写ですが、正確に言うとソラで描きました。

こういう場面が数限りなくあるので90年代キッズなら「ああ、これ」とわかってしまいます(^^)

ちなみに「○○」「××」の部分は「病気」でも「核兵器」でも「経済摩擦」でも何でもよくて、強引なほど良いとされています(誰にだ)。

このように90年代キッズは「終末」「滅亡」をもうネタとしてカジュアルに楽しんでいた…気がします。それだけだったら良かったんですが。

95年のあのテロ事件のために状況は一変してしまいました。(あの事件の首謀者が『ノストラダムスの大予言』ほか、五島氏の愛読者であったことは有名です)これについて語るのは当方の力量を大きく超えていますし、研究本がたくさんありますのでどうぞそちらを当たってください。95年のテロ事件、と検索すればわかるでしょう。

これ以降、当方「オカルトだ終末だってバカバカしいと笑っていたが…ちゃんと理屈で言い返せるくらいは勉強した方がいいのかもしれん」と思うようになりました。

いま当方の本棚には、おバカなマンガ描きにはふさわしくない科学の本、論理学の本などが並ぶ一角があります。

まずフツーに理系に弱かったので、科学の古典を古本屋で買いました。

G・ガモフの全集。ガモフとは「ビッグバン理論」の物理学者です。これ面白いですよ、とくに「不思議の国のトムキンス」シリーズは知識なしでも読めちゃいます。あとオカルト疑似科学バスターの名著として↓

ガードナー『奇妙な論理』これはもう定番。マイクル・シャーマーも実に面白いです。…外国にもいっぱいいるんですね、変なオカルティストが。

さて日本のものではブームにもなったコレでしょう。

趣味もかねてですが、と学会シリーズ。「トンデモ本」研究ですね。トンデモ本とは別にオカルト限定ではなく、「描いた本人の意図とは別の意味で楽しめてしまう本」のこと。時節柄(これが流行したのは90年代後半)オカルトを論破する内容が非常に多かったです。

なのでこうしてセットで読めば…↓

100倍笑える、という寸法です。

…以降、読んでるうちにけっこう苦手意識が薄れてきまして、今でも科学や数学の本、読むのだけは好きですw難しいことはわかりませんが、鵜呑みにしない姿勢だけは身に付きました。

相関関係と因果関係の違い、統計的に意味のある数字なのか、四分割法で考えたらどうなるか、その実験は二重盲検法でやったのか…などなど、一応アヤしいデータの調べ方なんかも押さえることができました。

これが介護職員になってからも、マンガの調べものする時も大いに役立っております。

もとをたどれば五島氏の影響、といえなくもないですね。

…今だってね、おかしなこと言う人がいっぱいいるじゃないですかw

2度の大震災の時も、狂牛病やSARSが流行った時も、いましたよね…いいたかないですがテレビにいっぱい出てました。キバヤシ以上のトンデモ理論をぶっ放す人たちが…。

そういうものを目にしたときは、まずこう言ってみると、

…ほらそのまま信じていいか、アヤしくなってきますわな(笑)

世につれ人につれ、不安につけこんで恐怖の大王は何度でも蘇るのだなあwと思わずにおれませんが。

なんだってー!!→アホか、の精神を忘れないでいたいものです。

…自戒を込めて、お粗末様でした<(_ _)>

(今記事は『渋いマンガが読みたい』番外としてマガジンにも納めておきます)

たくさんのサポートを戴いており、イラストももう一通り送ったような気がするので…どんなお礼がいいですかねえ?考え中(._.)