だし汁をていねいに取る。調理実習で最初に学んだ大切なこと
調理実習の授業で昆布とかつお節の混合だしを取った。
丁寧に取っただしで作った筍とわかめのおすましをいただいた。
だしの香りが鼻から抜けて、舌に残るうま味は味わい深くさわやかだ。
これはもうインスタントの顆粒だしは一生使えないな。
そのくらい美味しかった。そして、そのだしを使って作った親子丼ぶりはいつもの親子丼ぶりと違う。いつもの親子丼ぶりだって美味しい。だが、天然のだしを使うだけで美味しさが格段に違う。
あるとき体調を崩してから、インスタントやレトルト食品を食べると化学調味料がいつまでも口の中に残るから一切食べないという友人がいる。味覚が変わってしまったのだろう。
美味しいだしを知ってしまった私の舌は、インスタントの顆粒だしを友人と同じように感じるだろうか。
だしの作りかたは、
1. 調理の30分ほど前に昆布を分量の水に浸しておく。
2. 昆布と水が入った鍋を火にかけ、
3. 沸騰したら昆布を取り出し、
4. かつお節を入れて(かつお節が浮いてこないように箸を使って沈める)1分たったら火を止めて、
5. 布巾を敷いたざるで濾す。
文章にすればこれだけの作業だ。
分量は、2%の煮出し汁を作るので、一人分だとできあがりの150ccに対して、165cc の水(水は10%増し)と昆布とかつお節はそれぞれ3gずつ使う。
重さを量るものがなければ、総重量から割り算してみる。
でも、最初こそ正しく計量するのがよい。
やっぱり少し面倒かもしれない。面倒だから顆粒だしを使っていた。顆粒だしは封を切って入れるだけ。だがしかし、この少しの面倒こそが美味しいだしを作ってくれる。実習が証明してくれた。
実習では、包丁をこれまであまり握ったことがない若いクラスメイトたちは真剣そのもので食材に向かっていた。せっかく切った食材は見た目には不揃いだったのが微笑ましかった。(ごめんなさい)。初回の調理実習は段取りがうまくいかず、もたついたり急いだり忙しかった。
それでも、鍋で炊いたごはんはつやつやで美味しく炊き上がった。炊いたごはんは米の2.2~2.4倍の重さになると美味しい炊きあがりになる。ごはんにのせる親子丼の卵とじはふわとろになって、緑の三つ葉が卵の黄色に見え隠れして春らしい彩りに仕上がった。
若いクラスメイトたちは、自分が作った料理を配膳して写真に収めてから、一同に「美味しい!」と言った後、静かに食べていた。
黙食するように指示があったわけではない。自分たちで取っただしで彩り豊かな美味しい献立ができたことに驚いてしまったか。自分で作った食事をじっくりと味わい尽くしていたのだろう。
インスタントの顆粒だしは便利だ。だしの役割は果たしている。これまでずっと使っていた。だが、美味しいだしを知ってしまった。便利だけれど、もう使わないだろう。
だしは丁寧に取ってこそ、おいしい和食を楽しめる。丁寧な食事の第一歩と自分に言っている。
丁寧にとっただしでラーメンを作ってみたら、お店のラーメンとはいかなくても、いつもより本格的なラーメンを楽しめるだろう。
味噌汁もおすましも、おいしいだしのおかげで塩味が少なくてすむ。
そして、だしの香りはアロマと食欲増進に効果がある。美味しいだしに食塩の量は少なくて十分なので減塩にもなる。
さらに、かつお節の煮出し汁には疲労回復効果も望まれるそうだ。
いいこと尽くしだ。
実習のために新しく買い揃えた白衣と帽子を身に付け、初めて臨んだ実習は忙しかったが、発見も多かった。そして、なんとまあ、楽しかったことか。次回も楽しみ。