みんなエゴで、どーでもいい

※実話ではありません。

朝からLINEを放置して、
名前を見て返信したり、電話に出たり。

「ごめんね、今、私も疲れているから」
断りを入れてから、振動しっぱなしの携帯。
恋愛で依存する男がいなくなったら、
女友達へ片っ端にLINEをしてくる梨沙…

優里から電話があった。
「しつこいんだけど、ブロックしていいよね?」
私に聞かないでよ、うちも震えっぱなし。
既読を付けずに読む、ため息が漏れる。

「そりゃ、男に弄ばれるわ」そう思った。
LINEに既読を付けると連打が着た。
おはよ。ヒマだよ。話そう。ご飯行こう。
私が男なら遊んで捨てるわ。
こんな都合の良い暇つぶしはない。

私じゃなくて男と遊べば?
…冷えた返信をする
「でも、誰も遊んでくれない」
…梨沙にとって私は代打か
無礼だという判断力がない、重症。

私はLINEをスクロールし、男友達に連絡する。
「あ、私。元気? あのさ、今、時間ある?
うん、うん。
じゃ、ちょっと頼まれてくれない?」

「もし? 梨沙?遊び相手見つけたよ?行く?」
電話口から「まじ? 行く〜!」また、ため息。

段取りをつけ、2人を会わせた。
4日振りに震えっぱなしの携帯から解放された。
エゴイストと呼ばれようが、私にも生活がある。
リモートとはいえ、残業する中、
振動する携帯は邪魔でしかない、梨沙が邪魔。

「ねぇ?あんた。梨沙に男、紹介した?」

優里は咎める様子もない声で、私に聞く。
「まあ、うん」鼻に抜ける声で返事をする。
「やっぱ、そうなるよね」 えっ⁈
「優里も紹介してたの?」
「うん、そう。みんな、そうしてるよ」

梨沙の男依存なのは、
梨沙が依存から抜け出せないのは、
私たち梨沙の周りが、依存へ閉じ込めたせいだ。

「人の役に立ちたい」
梨沙の依存に向き合うって、
私に何ができたの? 何ができるの?
家族、精神科医や臨床心理士の仕事じゃない。

みんなエゴで、どーでもいい

私は開き直ると、また資料の作成に着手した。