あなたがいるから書こうと思う

玄関から防犯灯を頼り
暗闇へ出掛けると
吐く息は白く、昨日までの虫の音はせず
遠くに聞こえるは、走る貨物列車

昼間
喧騒で舞い上がる物質がいまは鎮座し、朝を待つ
風のない夜
動くのは私だけ

月明かりで織りなすベロア調の雲は
体温で濡らす瞳孔でも滲まず
なめらかさを強調し
秋空のコレクションに収まる

季節が皮膚を触るように移ろう
曖昧な秋が
冬を思わせる秋になる

わたし、こんなこと感じたよ
あなたがいるから書こうと思う

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※ 注意: 昨夜の月ではありません