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Q. 今から始めるならどの外国語?
A. 関心のあることば。
このような質問が出るということは、英語はとっくに習得したか愛想を尽かした(尽かされた?)かのどちらかで、しかも仕事や生活で使わなければならないことばがあるわけでもないということになるだろう。
長期タイ駐在が決まった、TOEIC850点を取らないといけない、義両親と話すのにスロヴェニア語がいる、新しい上司がフランス人だ…というのならそれをやるしかないが、選べる状況にあるというのは喜ばしいことだ。
それならばお勧めは「学びたいと思うことば」である。「もしかしたら~に使えるかも」という動機で始めても、ほとんどの場合は身につかない。必ず使うわけではないから必死に習得しなくてもいいし、できなくても究極的には何ら支障がない。
だが本当に「なんでもいい」と言ってしまうとここで記事が終わってしまうので、外国語教育に携わる者としてお知らせしたいことを挙げておこう。
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【①心の声に耳を傾ける】
繰り返しになるが打算に走ってはならない。
「英語くらいできないとね」といって散っていった人は古来枚挙にいとまがない。「ビジネスで使うかもしれないから中国語やっておこうかな(でも中国語には全然関心がない)」というのでは続かないのも浜の真砂ほどの学生が知っていることだろう。まして学校のような強制力がはたらくわけでなければ尚更失敗の危険性が高い。
強そうなアラビア語でも、流れるようなペルシャ語でも、聞いたことのない響きがするトルコ語でもいい。やってみたいと思うものを優先しよう。
【②文字や音が嫌いでないか】
①と重なるが、心の声に耳を傾けるのは重要だ。
「なんとなく文字が好きになれない」「音に不快感を覚える」というのでは、楽しく続けるのが難しくなってしまう。文字や言語の優劣の問題ではない(そんなものはない)。世の中の多くの人々が美しいといっても自分には好きになれないものがあってもおかしくない。
大人の学習において最大の難関のひとつは継続できるかどうかだ。
継続を阻むような要因(ここでは「文字や音に対する違和感」)は一つでも取り除くことが成功への道である。インターネットで少し調べてみれば、文字がどういうものなのかはすぐわかる。音はYouTubeで聞ける。
【③日本語での教材があるか】
いくら関心があるとはいっても、いきなりシチリア語やオロモ語を始めるのは難しい。辞書どころか文法書もまず日本語では手に入らない。
英語も覚束ないのであれば、あまりに日本で「マイナー」な言語は避ける方が生産的である。YouTubeに動画・音源がないような言語は選ばない方がいい。
逆に英語やフランス語ができれば、マイナー言語に接近するのは遥かに容易になる。あるいは中央アジアや中国のことばならロシア語と中国語が武器になるだろう。
まずは王道(に近いところ)を行く方が楽なのは、外国語学習でもスポーツでもゲームでも同じである。もちろん、辞書がなかろうがなんだろうが、やる必要があるならやるしかない。
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さてこの問題は大学の第二外国語科目の問題に関係する。選択肢が限られる中で、いったい何語を選ぶのが正解に近いのだろうか。ドイツ語やスペイン語はどのような特徴があるのだろうか。どれが簡単(単位が取りやすい)で、どれが難しい(単位を落としやすい)のだろうか。こうした疑問については別の記事で書く。
結論:打算は捨て、面白そうなものを始めてみる。
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