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ストーリーがききたい

「一般論を話して伝わるなら、そんな楽なことないやろ。でも、現実はストーリーが大切や。」

彼からは苛立ちが溢れていた。当時の新任部長が話した内容の件が原因だった。

言い訳するな、これを営業部の方針とする、という内容だった。

一般論ほど伝える側と聞き手の温度に差ができるのわからんのかなぁ。」

「言い訳するな」ですか。彼はそうや、という具合に頷く。

「一般論を無防備にきいたら、他のものを排除することになるから、人は聞かへんねん。つまり、伝わらへんねん。

言い訳するな、って危ないやろ。うかうか相談できひんで。言い訳って捉えるのは相手やからなぁ。」

たしかに、相談しにくいですね。なら、どうやって伝えればいいんですかね。

ストーリーや。」彼は即座に答えた。「絵本でカメとウサギあったやろ。あれや。AはBやって伝えたいならな。」

僕はカメとウサギ、とごちる。

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「ああ、せや。油断するな、コツコツやれやろ。」

はい。

「記憶にも残りやすい。」

頷く。

「2回目は、カメは負ける。」

負けるでしょね。

「つまりやな、いつも絶対的正義ではない。そういうことや。一般論って窮屈やねん。自分の首も締める。」

僕は頷く。

「話も伝わらん。なのに一般論を話す。それも、言い訳するな、や。最悪や。完全に部下を指導するぞって意気込みや。サポートする側やない。」

沈黙になる。彼がしばらくしてから話を続ける。

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「大切なこと言うで。一般論を伝えたければ少なくともストーリーで伝えろ。

でも、もっと言うなら一般論に逃げるな。

エエかぁ。オマエの体験したこと、経験したことを自分の言葉で語れ。それのほうが伝わるし、ココロを動かす。

それに、相手に逃げ道が出来る。オマエのことやろって。対等や。」

それから、彼は言った。

「ああ、ほんま思うけど。あんな一般論聞かされるなら、オマエらのそれぞれのストーリー聴きたいわぁ。」

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余談

彼は、脱線するけど、と前置きして言った。キミらの時代はもう、指導の事態やないで。忍耐強く我慢したのは俺らまでや。

これからは自分の思ったことを語ること。相手から言葉を引き出すこと、が重要になる。

なんでかわかるか? 

だーれも未来なんてわからんからや。変化のスピードもはやい。

こうやっとったらエエ、ということが言えんくなる時代や。我慢したら出世するとか、金が稼げることはもうないねん。

だから、ココロを開き、ココロを開かせ、ココロを動かすことが大切になるで。

俺の考えも古くなるし、キミの考えも古くなる。だから役職とか年齢とか忘れてコミュニケーションとり続けなあかんで。





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