「なぜ」じゃなく「なに」
「"なぜ"じゃなく、"なに"って聞かなあかん」
部下に問題究明のために、"なぜ"を繰り返すけど、解決に向かわないんです、と話した時に彼が指摘したことだ。
「よく、トヨタの改善の話で、なぜを何度も繰り返せって言うやろ。あれをそのまま部下との関係に取り入れたらあかん。なんでかわかるか?」
僕は、わからないと答える。
「あれはなぁ、社風の出来上がってるトヨタやからできんねん。互いに共通認識あるし、そうやって成長し続けた、って言うプライドみたいなもんが、全体を覆っとるからなぁ。
「でもな、"なぜ"って言う言葉はイメージよくないなぁ。キミがやで、なぜ売り上げ上がらんのや、って聞かれたらどうや?」
んー。緊張しますね。なんだか、責められてる気がします。
「子供の時から、"なぜ"っていうのはなんか悪いことした時に聞かれたからかもしれん。なんか防御態勢にはいるやろ。」
僕は頷く。
「キミは問題を改善したいと考えて相手にきいている。」
頷く。
「責めるつもりはない。」
再び頷く。
「でも、相手はココロを閉ざす。そして、キミは違和感を感じる。助けになりたいと思っているのにって。」
はい。そうです。
「それなら、"なに"を使えばいい。
いいか、『なぜ目標達成しなかった?』ではなく、『なにが目標達成の障害だと考えられる?』と、聞くねん。
すると相手は客観的に考えやすくなる。」
それから、彼は言った。
「"なぜ"ちゃうで"なに"やで。」
その日から僕は意図して"なに"を使っている。
余談
彼に、言葉の少しの違いで随分かわるんですね、と聞いたら彼は笑いながら話した。
「言葉にはイメージがついてくる。だから、相手のココロに浮かぶイメージを大切にしたほうがエエなぁ。」
よろしくお願いします!