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ルイ14世について学びました


#最近の学び

私、フランスはベルサイユに住んでます。

しかも、ベルサイユ宮殿のほぼ敷地内に住んでます。               

そうなるとですね、どうしてこんなに豪華絢爛なものが作られたのか、その背景がどんどん、どんどん、気になってくるんです。このベルサイユ宮殿を作ったルイ14世って何者?って気になってしょうがないんです。

なので、ルイ14世についての本を読んでみました。

タイトルはずばり「太陽王ルイ14世」鹿島茂著

いやー、面白い!じゃさっそくですけど、私の視点でこの本からの学びをお伝えしてみたいと思います。

ルイ14世をベルサイユ宮殿建立に駆り立てた
要素って、簡単に言えば以下3つです。

1. 幼少期のトラウマ
2. “どーだ!すごいだろ”欲
3. 恋愛

この三大要素が、絶対王政-絶対君主制と
呼ばれるものを築いた政治的手腕、
美的センス、カリスマ性によって支えられ
今なお世界一豪華絢爛なベルサイユ宮殿が
出来上がったのだと言えます。

では、三大要素を一つ一つ見ていきますね!


1. 幼少期のトラウマ
ルイ14世の父である、ルイ13世は、
ルイ14世(以外ルイ)が4歳の時に亡くなります。
結果的にルイは4歳とか5歳で王に即位する
ことになるのですが、実際王政を行える
わけがなく、マゼラン枢機卿と言う人と、
ルイの母であるアンヌドートリッシュが、
実際の政権を握ります。
(この2人は愛人関係。宮廷内こんなん
ばっかりです!)

マゼランはかなりのやり手で、この時に
成し遂げようとしていたのが中央集権化。
当時は様々な地域が結構勝手にやってて、
中央集権とは言えない状況でした。
それを実現するには地方統治し、さらに
諸外国とも小さな争いがたくさんあったので
お金が必要でした。
その結果重税を国民に課したところ、
貴族たちの不満が募って、フロンドの乱
と言うクーデターがパリで勃発します。

これがルイのトラウマです!
10歳くらいだったルイが寝ている部屋にまで
パリの民衆が押し寄せたと言う経験から、
あーもー、パリと距離置きたいわー、
自分守ってくれる立派な城が欲しいわー
と後に思わせたんじゃないかなー?
ってのが一つの説です。

2. “どーだ!すごいだろ”欲
結局のところ人間なんてこれですよ。
特に男なんてこれですよ!!
次に続く恋愛の話にも大きく関係する
わけなのですが、王と言う位置にいてもなお、
俺どーよ?すごくない?って言いたいんです。

で、当時王政のお財布を管理していた
フーケ大蔵卿と言う人がいたんですけど、
彼がなかなか、頭もよく、美的センスもよく、
密かにルイはそこに嫉妬してました。
さらにフーケは大蔵卿と言う立場を良いことに
結構お金をちょろまかしていて、
私腹を肥やしていたんです。
フーケは豊かな財産と美的センスで、当時
ルイが持っていた4つくらいの城のどれよりも
豪華なセンスの良い城に住んでいたんです。
(ルーブル美術館も元は王の城の一つです)

ある日フーケがルイを自分の城にご招待し、
大宴を開くのです。贅の限りを尽くして、
余興の舞台なんかも用意し、豪華な庭には
噴水があがり、、、、
フーケはルイをもてなしたつもりが、
ルイにとってみれば、フーケから逆に
どーだ!すごいだろ?
を見せつけられたような状況です。
この時は、素晴らしい宴だな、フーケよ。
とか言っておいて、後日フーケを国のお金の
横領の罪で逮捕し、フーケはその生を牢獄
の中で終えることになりました。

自分より偉い人に、どーだ!をやっては
絶対いけない、と言う教訓ですね!

ちなみにルイは、ベルサイユ宮殿の建立に
あたり (実際は増築)、フーケの城を担当した、
建築家ルヴォー、造園師ルノートル、
インテリアコーディネーター マンサールに
お願いしてます!!笑
(私結構、ここ好き!笑)

3. 恋愛
誰に、どーだ!を1番に見せつけたいか、、、
YES! 意中の女性にですよね。
いや、むしろ女性の方も、どーだ!を私のために
見せてちょうだい!!ってなぐらいでしょう。

ルイは生涯8人の女性を愛したようですが、
(実際もっと遊んだ相手は多そうですよ)
ここでは4人に絞ってご紹介します。

ルイは恋をするとやりたくなることがあります。
それは、戦争と築城!笑
あの国に勝ったよーん!どーだ!
城、立派にしたよーん!どーだ!
ってな具合でしょうね。
(こう書くと、バカですねー、、、)
さらに、お城に関しては、意中の女性と
逢引しやすいようにリフォームすると言う
巧みなことをしていました。

ルイには正妻はいたのですが、ある時実の弟の
奥さんである、アンリエットダングテールと
いい関係になりました。
(もー、やめてよ、そーゆーの!)
で、当時まだ狩などをする際の宿泊用で
あったベルサイユ城の、自分の夫婦の
寝室と弟夫婦の寝室を近くにするって言う
リフォームをしたんです。
コラっ!でしょ?笑

ここで私的には結構衝撃的だった、
ルイの弟のオルレアン公フィリップについて
是非紹介したい!!

歴史上いろんな時代に、王の実の弟が、
王に男の子が生まれ自分は王になれないと
言うことで、反逆に出るってことがよく起こり
それを恐れたルイの母とマゼランが、
フィリップを意図的に女性っぽく育てました
幼少期はずっと女装。教育の甲斐あり、
フィリップは立派な男色家に育ちましたとさ。
宮廷の可愛い男子たちたらしこみまくり。
でも、奥さんのダングテールがかなり美人
だったから、そっちにも少し興味を持ち、
バイセクシャルな感じだったようです。

王族!!やることについていけないぞー!!

話戻して、せっかくダングテールと逢引
しやすくなったのに、宮廷内の噂をかわす
ために立てたダングテールの侍女の
ラヴァリエール嬢に、ルイは本当に心
奪われてしまって、このリフォームはあまり
意味がなくなってしまいました。

しばしラヴァちゃんといい関係で、
このあたりからベルサイユで過ごすことも
多くなっていたルイですが、すんごい女が
現れます。

どどん!モンテスパン夫人!!

あの手この手でルイを誘惑し、しまいには
媚薬とか黒ミサとか怪しい手段を使って
ルイを虜にしてしまいます。
でもしばしルイはラブァちゃんとモンテスパン
両方の間で決めきれないでいましたが、
最終的にモンテスパンがラヴァちゃんを
いじめ抜いてラヴァちゃん修道院に逃げ込み
ルイとは終了!モンテスパンやりたい放題
時代のスタートです。

この時すでにルイは媚薬漬けでモンテスパン
にぞっこん!ベルサイユ宮殿を正式な王の
住まいに決めて本格的に改築に入ります!

で、先程登場したフーケ城を担当した、
3人組がさながらクィアアイ素敵に改造ばり
にやってきてベルサイユ宮殿本格リフォームが
始まるわけです。時は1661年、だったかなー?

はー、はー、はー、
息切れ。。。。

最後の女、マントノン公爵夫人は、、、、
もういっかなー。笑。
結構私、この女はモンテスパンより嫌い。
後にフランスを衰退させる原因となる
ルイの愚挙、ナントの勅令はこの女の
せいかなーと思います。

ここまでがルイ14世をベルサイユ宮殿建立に駆り立てた3要素です。

でもね、いくらこういう背景があったからって、ベルサイユ宮殿なんて作れないでしょ?Will Can Mustの3点が揃っていないと、いくら王でもそんな簡単にこんな豪華絢爛の極みみたいなものは作れません。

3大要素から、ベルサイユ宮殿を作りたいというWillに対し、それを成し遂げられる能力(Can)があって、それを支えるためのやらねばならぬこと(Must)もあったはずなんです。

Canから行ってみよー!!

父のルイ13世を4歳で亡くしているルイ14世は5歳で王に即位しています。       そんなルイに帝王教育を徹底的に教え込んだのが、マゼラン枢機卿です。

10代前半からマゼランはルイを自分の職場に連れてきて、自分の仕事を全て見せていました。ルイもルイで嫌がりもせず興味を持ってマゼランの働きっぷりを見ていたわけで、相当しっかりとOJTが出来ていたことになります。

鬼滅の刃で言う、おやかた様の息子、きりや様ですね。(わからんって?)

マゼランはルイが23歳くらいの時に亡くなります。大臣たちが、えー、マゼラン死んじゃったよー。これから国政はどうするの、どうするのー?ってなって、ルイにこれからは誰に指示を仰げばいいのでしょう?と聞いたところ、

「朕(チン=私)だ!」と明確に答えてます。

日本だと大卒の新入社員の年ですよ!!                            フランスの国を営むという事業に対して、何でも自分に聞いてくれ!と言える自信!マゼランの帝王教育の賜物ですねー!

ルイは芸術や文学にも秀でてました。それは初恋の相手が文学少女で、彼女と会話を楽しみたいと思い自分も必死に文学や芸術を学んだといいます!

まさに、エリート!素養(Can)はばっちりです。

ルイの独裁体制に入った時、絶対君主制とか言われるわけですが、実際はもっと組織化されてます。これまでは、大貴族とか王族とかが縁故で重要なポジションについてましたが、要職の多くを排除しちゃいました。そしてもっとブルジョワや新興貴族なんかで能力のある者たちを積極的に登用して、能力があればどんどん重要な仕事を任せるなど、会社経営のような形にシフトしていき、ルイは、その会社のCEOみたい形で絶対的な決定権を行使していたわけです。でもそうすると大貴族たちの不満が爆発し、またクーデターとか起こると困るので、そういう者たちは王のプライベートな部分を任せるようにしてました。職場と住居が一緒の王ならではです。

そんなこんなで人をきちんと動かせる能力があったルイなので、ベルサイユ宮殿のような大事業を成し遂げることが出来たんですねー。

でもって、Mustです!

人動かすだけじゃ無理だよね。相当お金かかるでしょ?どうやったわけ? お金を稼がねばならぬ (Must)状況です。

こんなエピソードがあります。

クイアアイ ベルサイユ素敵に改造計画の一人、造園家ルノートルとの会話。(実際クイアじゃないと思うけど。笑)                         (会話のトーンは私の想像です。笑)

ルノートル:

ルイさん、ルイさん、やっぱりベルサイユに城

作るのやめなーい?この土地城に向いてないよ。

豪華な城には立派な庭が必要で、立派な庭には

絶対噴水が必要なわけーー。ベルサイユ、

水ないじゃん!どっこにもないじゃん!

ルイさん:

、、、、、、、、、

だったら、、水、持ってこいやーーーー!!

これです!これ!!!

この会話がまさに、私がルイ14世って何なの?

って興味持っちゃった発端。

先日訪れたマルリーの丘を越えベルサイユ宮殿まで水を引くことになった、マルリーの機械の導入です。マルリーの機械でセーヌ川からベルサイユまで水を運んで噴水を満たしておりました。でもさすがに水圧は弱かったそうですよ。だから一気に常に吹き上げず、王が行く時だけ噴水上げてたそうです。笑

もう膨大なお金がかかるわけです。フランスの民にいくら重税かけたって、ペイできないくらいのお金です。そこで当時のコルベール大蔵卿が行ったのが、貿易黒字で財源確保!!!

でもいくら豊かな国土でも、国内で生産されるものは、フランス国内の消費に当たる量しかなく、輸出には回りません。

で行ったのが、諸外国からの輸入品の関税上げる、国内産業を徹底的に育成する、そして植民地拡大。

コルベール、めっちゃ優秀!!

国内産業育成の結果が、織物であったり、家具調度品であったり、彫刻だったり、はたまた鉱山だったり。ここら辺が、フランスの製品が素晴らしいということにつながった所以です。

さらに、今でもフランスの主要企業(大手電力会社のEDFとか、自動車会社のルノーとか)の大株主がフランス政府である所以でもあるそうです!

へーーーーーーじゃないですか?

さらに、外国の技術者招致や、エンジニア教育の徹底。これがあったから、当時、鏡の間を作る時に、あんなに大量の大きなガラスや鏡を入れられたわけです。それまで大きなガラスを作る技術はフランスにはなかったのです。エンジニア教育の徹底は今のフランスのエリート教育構造にあるグランゼコールにつながってます。

へーーーーーーじゃないですか?

もうぜーんぶ、その後広がるX軸とY軸のゼロポイントはベルサイユ宮殿!!そこからすべてが始まっている!この座標上に技術も、芸術も、文化も、法律も、広がっていくのです。

朕は国家なり。

ただ一人の王、ただ一つの法律、

ただ一つの宗教、、、

ルイさーーーーん!!!眩しいー!

よっ太陽王!

(一つ付け加えると、この時の一般民の生活は当たり前ですが豊かではありません。稼いだお金はベルサイユ宮殿建立、このお金を稼ぐ仕組み作りの投資に回されてますから、国民への還元はありません、、、)

さていよいよ終盤です。

ただ一つの宗教、、、、ここ、やっちゃいました。                        ルイ、かなりやっちゃいました。

ルイの最後の女だったマントノン侯爵夫人の影響で、プロテスタントを禁じるナントの勅令ってのを出しました。(結構、端折ってます。私。。。。)

結果、多くの民がフランスから諸外国へ移住し、高度な技術者も国外へ流出、イギリスに比べて100年も産業革命が遅れた所以となってしまったのです、、、、

朕、撃沈。

(ダジャレが出たよー!)

まーそんなこんなで最後ちょっとやっちまったんですが、この大事業を成し遂げたルイ14世が、偉大な王であったことは間違いありません。

ルイは1715年76歳でなくなります。この時代にして大往生!!

ベルサイユに住んで半年たった私ですが、ルイ14世についての理解が深まり、宮殿のお庭のお散歩時間がより充実したものになりそうです、、、、

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