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魔法の黒い玉(#コラム)

「〇〇逮捕! 部屋からクスリを押収」、「〇〇、クスリを乱用していた!」
歌手、俳優、プロスポーツ選手・・・、最近なにかと世間を騒がせる薬物使用による有名人の逮捕。
そのたびに思う。
クスリ・・・いや、薬は本来、人間を助けるもの。
こういうニュースを見るたびに、昭和時代のそろばんの受験を思い出す。

小学4年生のとき、日曜午前、一駅となりの商業高校でそろばんの6級を受験した。
その日、朝ごはんが悪かったのか、ぼくは教室に入るとすぐにお腹が痛くなった。
我慢しながら受けた最初の10分間の乗算が終わり、すぐ次の除算の試験がはじまった。しかし、徐々にお腹の痛みが増してきた。それでもなんとか目の前の数字に集中し、親指と人差し指を動かし続けた。
だんだん差し込む痛みに変わってきた。除算10問あるうちの最後の問題に入り、こげ茶色のそろばんの珠(たま)を弾いていた。
と、そのとき、とっさにぼくはそろばんの珠の上に右手をかざそうと、指を広げた。その瞬間、そろばんの枠に手が触れてしまった。計算していた珠はぐしゃぐしゃになった。手の甲には汗が落ちていた。
耳の脇から汗が一滴落ちたのだ。ぼくはそろばんの珠に水分がつくと、渋くなって珠が動きにくくなることを経験していた。とっさにそろばんの上に手をかざしたのはそれを防ぐためだった。
ぼくはそろばんに集中できなくなってきた。
ついに除算の10分間が終わった。
ぼくは次の見取り算は無理だと思った。そろばんの受験なんてどうでもよくなった。
席を立ち教壇まで歩き、ぼくは紺のスーツの試験官に告げた。
「便所に行ってもいいですか」
「お腹でも痛いの? 顔色が悪いよ。こちらに来なさい」
試験官はぼくを便所に連れて行ってくれた。
ぼくは便所の扉を押し、中に入った。和式便器にまたがり、ズボンを下ろすと、お尻から小便が噴き出した。
漏らさなくてよかったとぼくは深呼吸する。ふんばりながら肩で息をしていた。
便所を出ると、そこにはオレンジ色の小さな四角い箱を手にした先ほどの試験官が立っていた。
箱の中から丸いびんを取りふたを開け、黒い玉を一粒取り出した。
「この薬を1つ飲みなさい。そこの水飲み場で水を飲みながら」
黒い玉を手渡されると、苦そうなにおいがした。
ぼくの背中は試験官の手に支えられながら、便所の隣にある洗面所に歩いた。黒い玉を口に含み、蛇口をひねる。上向きの口から噴水のように出る水に頭を下げ、口を当てた。蛇口を締め、頭を上げ黒い玉を飲み込んだ。試験官がぼくの肩に手を置いた。
「もう大丈夫。これは魔法の薬だから」
「ありがとうございます」

教室に戻った。
お腹の痛みが治まり、無事に見取り算を終えた。
後日、6級合格の報告を受けた。
試験官のおかげだ。魔法の黒い玉のおかげだ。

このとき助けてくれた薬。それが大幸薬品の「正露丸」だった。
この日以来、正露丸で治らなかった腹痛はない。常備薬として置いておくだけで安心する。
大幸薬品の「正露丸」には感謝の気持ちしかない。
そこで、大幸薬品の「正露丸」の名前の由来が知りたいと思い、ホームページを見てみた。
そこにはこのように書いてあった。

正露丸は、日露戦争前に「クレオソート丸」として創薬され、ロシアを征伐するための薬という意味で「征露丸」と命名されました。その後、「正露丸」となり現在に至っています。
(大幸薬品Q&Aより)

そして、「正露丸」といえばあのラッパの音とマーク。なぜラッパなのか。

大幸薬品の正露丸CMで使われているラッパ曲は、旧陸海軍で信号ラッパを用いて伝達用に吹奏されていた「喇叭(らっぱ)譜・食事」(通称・食事ラッパ)。
(Wikipediaより)

最後に、大幸薬品のホームページによると、こうも書いてあった。
下痢には大きく分けて、ウイルス・菌、食べすぎ飲みすぎ、ストレス、冷えの4タイプある。この中で市販の下痢止めの薬を飲んではいけない下痢がある。ウイルス・菌による下痢だ。「腸の動きそのものを止める」市販の下痢止めの薬ではウイルス・菌を腸に留めることになるからだ。
その点、大幸薬品の「正露丸」は「正常な腸の動きを止めない」から、すべての下痢に対応している。

だから、今の今まで正露丸で治らなかった下痢がなかったわけだ。


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