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和田誠「装丁物語」

 イラストレーターでデザイナーの和田誠さんが装丁した本が昔から大好きです。

 出会いは、村上春樹さんとのコラボレーション、「Portrait In Jazz」でした。和田さんが個展のために描いた1950年代~60年代を中心としたJazzの巨人たちのポートレイトを村上春樹さんが気に入って、1つ1つの絵にエッセイを書かれた本です。村上春樹さんのエッセイはもちろんですが、1人ひとりのミュージシャンの特徴をとらえた和田さんの絵がとても魅力的です。

 和田さんの絵の魅力は、ときに大胆にデフォルメした絵を描いたり、コミカルだったり、哀愁を漂わしていたり、リアルだったり変幻自在なんですが、見れば和田誠だと分かる独特のタッチがあります。

 また、文字のデザインも独特で一目で和田さんだと分かります。

 本屋さんで数多く並ぶ本の中でも和田さんが装丁した本はぱっと目につきます。目立つんですね。

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 そんな和田さんがかいた本「装丁物語」が今年の2月に中央公論文庫から新装版として再発されました。もともとは、1997年に白水社から発売された本です。

 「装丁」という言葉の意味を広辞苑で調べるとこう書かれています。

 「書物を綴じて表紙をつけること。また、装本の仕上げ装飾、すなわち表紙・見返し・扉などの体裁から製本材料の選択まで含めて、書物の形式面の調和美をつくり上げる技術。また、その意匠」

 つまり、簡単に言うと、作家が書いた本に魅力的なお化粧をして商品としての魅力を高める仕事のことですね。

 本好きな人の中には、装丁が気に入ったというだけでその本を買う人や、好きな人が装丁した本をコレクションする人もいます。

 「装丁物語」を読むと、絵やデザインを考える作業を始め、紙の種類を選ぶ作業、絵を描くペンの選び方やインクの選び方など、無数にある選択肢の中からその本の内容にあった組み合わせを考えていく作業が詳細に書かれています。普段何気なく手に取る本をつくり上げるのに、これだけの緻密な作業が行われていることを、改めて知ることができます。

 和田さんが装丁された本がたくさん絵入りで紹介されているので、そこも楽しめますし、その中から気に入った本を探して集めていくのも楽しいなと思います。

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 和田さんといえば、残念ながら昨年10月にお亡くなりになりました。あれからもう1年が経ちます。

 一周忌を迎えるということで和田さん関連の出版や記事が多くなっている今日この頃、その決定版ともいえる本が出版されます。

 「表紙はうたう 完全版 和田誠・「週刊文春」のカヴァ―・イラストレーション」

 和田さんが40年間描き続けた「週刊文春」の全表紙が1冊にまとまっていて、そのうちの600枚には和田さんの作品解説が収録されています。

 う~ん、欲しい。

 でも値段が....9,900円か。

 迷う。

 でも、たぶん買ってしまうんだろうな。

 「没後1年、追悼出版」

 こういう言葉に弱い僕です。


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