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英雄と大衆

世の中には様々な職業が存在する。そこには貴賤の差が厳然と存在する。ゴミ収集や屠殺、軍人なんかは嘗ては被差別的職業と言われたりもしていたが、俺はそれ等の崇高な職務には敬意しか持たない。

彼等の存在なくして我々の日常は送れないからだ。

俺にはそんな彼等より遥かに蔑んで見ている職業がある。それはスキャンダル記者だ。先程書いた記事でも酷評しているが、最も人の卑しい部分を肯定し、何なら正義かのように錯覚させ、人々の命すら姨失山卑しい職業だ。

だがこの職業は不思議と無くならない。それは当然。人間はそれ程悍しい存在だからだ。

そして一方、括りとしては大きくなるが、同じ記者でも政治ジャーナリスト、中でも現場でスクープを掴み取る者の仕事も崇高だ。


しかしこの国は価値観が腐り、狂っているので、本物のジャーナリストの仕事は全く評価せず、ゴシップ記者ばかりを礼賛する。

以前は安田純平氏がシリアで拉致された際、国民はあまりにも醜いバッシングを繰り返した。

情報なんて他国から買えばいい。政権批判する奴に国は人権保障するな。自衛隊も憲法の問題で派遣できない、自衛官をはじめとした公務員に迷惑かけるな。寧ろ日本に迷惑かけたんだから殺されとけ。

日本を彼等はどうしたいのだろうか。

信憑性の不明な情報を他国に依存して、どんな諜報活動ができるのか?

アメリカに軍事を依存していて日本は有事の際どうする?

自衛隊を改憲して認めたいはずの右翼等は憲法を理由に安田氏を叩いて現状を肯定するのか?

彼等の考えが馬鹿過ぎて理解ができない。

彼等は一体何を考えているのだろうか?

世の中、大切なものって何だろうか?

寝て起きて、働いて飯食って糞してたまの娯楽ができればいいのか?

そうだと言う人もいるだろう。だがそれは家畜と何が違うんだ?

やはり俺は畜群の命は家畜未満としか捉えきれない。

何故なら家畜は食えたり、加工品として利用できるが、彼等は何の役にも立たないからだ。寧ろ有害さの方が遥かに勝つ。国家が安全を保障するにあたって必要なものを奪おうとするのだ。

諜報、軍事、外交、経済、どれも国家安全保障上非常に重要なことなのに、全くそれを理解しない。故に破壊する方に働く。

今回拘束された北角裕樹さんを俺は知らない。彼は金の為なのか、名誉の為なのか、公の為なのかは知らない。それでも危険と隣り合わせの場所の情報を伝えようと活動されていた。まずそれだけでも尊い。

それこそ命懸けだろう。我々のように匿名で安全な場所からセコい攻撃に終始する者とは違う。

また彼の努力を実質的に否定するような、「この国だから仕方ない論」に終始する腑抜け等も話にならん。

それこそ命の為に国や社会が機能を抑制していたら瞬く間に機能不全に陥るだろうが。

それからこの件に関せずとも、官僚等の不祥事の話もある。

本来の職務には全く無頓着なのに、不祥事に関してのみ偉そうに正直論を振りかざす無知無能な大衆が正義である限り、

崇高な職務に敬意を払えない限り、

その国に未来はない。

大衆が支配する国には英雄は生まれない。どころか秀才すら生まれない。凡愚だけが量産される。



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