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読書感想文『成功をつかむ24時間の使い方』小宮山悟著

『成功をつかむ24時間の使い方』小宮山悟とは

2010年発売。
現早稲田大学野球部監督、元千葉ロッテ・マリーンズ、横浜ベイスターズ、ニューヨーク・メッツの頭脳派投手の小宮山監督の2009年の現役引退までの野球人生の歩みを記したような内容。
本のタイトルだけ見るとハウツー本のように思えるが、読者に向けた「時間の使い方」を指南するような内容はほぼない。

ちなみに小宮山監督は学生時代、早稲田に入学する際に2浪している。
その上、メジャーから日本球界に復帰する際も1年浪人しており、野球人生の中でブランクが多い印象があるが、それでも1軍で活躍できるのが単純に不思議で仕方がない。
フィジカル的、メンタル的に影響はなかったのか。
どのようなトレーニングをしていたのか、そのへんを少しでも本のなかで触れておいてほしかったなと思う。

ちなみに小宮山監督は1965年生まれで、同じ年の野球選手は、元ヤクルト古田敦也、池山隆寛、吉井理人、元巨人斎藤雅樹、水野雄仁、香田勲男、武田一浩、中日与田監督、山本昌、元阪神仲田幸司、八木裕、元西武渡辺久信、元オリックス星野伸之などなど、挙げるときりがない……。
いわゆるゴールデン・エイジである。

この本を読んだ理由

少し前のNHK「球辞苑」の「ど真ん中」というテーマで小宮山監督が登場していたのを観て、本も読みたくなった。
また、最近ボビー・バレンタインの本を読んだこともあって、マリーンズ繋がりで、図書館で借りてきた。

ココに刺さった

そこから毎日、牛島さんの部屋で野球教室が開かれた。最初に言われたのは「寝るな」ということ。「寝ずにがんばれるか。寝なきゃがんばれないようなヤツは、所詮その程度だ」と言う。
中日ドラゴンズ時代にリーグ優勝した経験があるから、牛島さんの話には説得力がある。優勝争いしているときには、緊張のために、「普通の感性の持ち主だったら眠れない」状態になる。ピリピリして安眠なんかできない。でも試合は続く。そんななかで、どうやって力を出すか。大事なのは「寝なくてもがんばれるかどうか」らしい。

――『成功をつかむ24時間の使い方』

プロ入り直後(1990年頃)に言われた教え。
「敢えて厳しい状況に身を置く」「理不尽に合わせる」「異常に慣れる」というザ昭和のスポ根理論
今となっては、思わず笑ってしまうような考え方だが、確かにこんな考え方が一流っぽく聞こえた時代もあった(まあ僕のその時代の人間ではあるが)。

で、5年後に、ボビー・バレンタインからはこう教えられるそうだ。
5年でこれだけ価値観の真逆のことを取り入れて消化するってのは、小宮山監督って元々脳みそが柔軟な人なんだろうなと思った。

日本人的なものさしだと、「楽しみの前には苦しみがある。苦しみを乗り越えて初めて楽しさを味わえる」となる。僕の野球人生を振り返ってみても、大学、プロ野球も含めて、苦しみながら無理難題を乗り越えていくという感じだった。
アメリカ人の指揮官が求めたのは、野球を楽しむこと。「スポーツとしての野球」だった。まず、楽しむことが前提。「買った負けたは結果としてついてくるけど、敗戦より勝利のほうがちょっと多いとこんなに楽しんだよ」という感じ。
「敗北のなかにも楽しみはある」「苦しまなくても楽しめるでしょ」と言われた気がする。ものすごく、シンプルな考え方。

――『成功をつかむ24時間の使い方』

バレンタインなら、「ピリピリして安眠なんかできない」状態にならないよう、普段から自然に眠れるように平常心を大事にすること、って教えるだろうな。
しかし、まだ20世紀の日本人にとって、バレンタインの切り口はとにかく斬新で、日本の野球界、スポーツ界に新しい概念を注いだ一人だったと言って良いような気がする。
だから僕はバレンタインさんがとても好きだ。

この本を読み終えて

「成功をつかむ方法」なんてものを丁寧に書いてあるわけじゃないのだが、僕なりにまとめるとこの3点なのかなと思う。

* 良い先輩、師匠に出逢えたこと
* 徹底して議論したこと
* 映像を大事にしたこと

まあ書き出してみると、そこまで大それたことでもないのだが、僕がこれを実践するとなると、こうなるかな。
積極性と客観性ってことだと思う。

* 出逢いは「運」といえば運なのだが、出逢いの場はあるので、自ら動くことも必要。今ならclubhouseも活用できるし
* で、その素晴らしい出逢いがあったらその人達と納得のいく議論が必要。忖度や空気を読んではいけない。もちろん今自分のまわりにいる人間とも同じ
* サラリーマンにとっては自分の映像をチェックして参考にするなんてことはないと思う。が、自分が喋っている声を録音したり、仕草を録画して見てみると、実は言い方がまわりくどかったり、同じことを何度も言っていたり、仕草に変なクセがあったりと、もっと印象良く、わかりやすい説明ができるようになるような気がする。「伝え方」のパフォーマンスの向上に役立ちそう。とりあえず朝礼などで自分が喋ってるのを録音できしてみようかな

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