自分のソウルとは
先日、動画配信サービスのDisney+で、『ソウルフル・ワールド』という映画を観た。
2020年公開の映画で、監督はピート・ドクター。『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009)と『インサイド・ヘッド』(2015)でアカデミー賞長編アニメーションを受賞している。どちらの映画も観ているので、予告を観ながらもきっと観終わった後に、何かを残してくれる作品の予感がした。
この映画を観たいと言い出したのは、娘だった。
現在、高校2年生。進路を決める時期にいる。
娘にとって、何か気になる、観たい!と思わせた映画だったのだろう。
家族みんな映画が好きで、何十作品とウォッチリストに入っている。
不思議なもので、気になる映画がたくさんあって、次はこれ見ようねと決めていたとしても「次」じゃなかったりする。
「その時」に観たい気持ちかどうか、で選ぶ作品が変わっていく。
ずっとウォッチリストに入っている映画たちを差し置いて、惹かれる何かをこの映画に感じたのだろう。娘は、その夜かなりこの映画を推してきた。
今夜の映画は、それにしようと家族で観ることになった。
この映画のテーマになっている人生のきらめき。
人生のきらめき、さて私の場合は何か?
まさに今、子育ての終わりが近づいてきて自分自身と向き合い始めている。
これからの人生、何をしようか、本当に好きなことって何だろう。
ずっと自問自答しているのだ。
ソファーに背を付けてのんびり観ていたのが、いつの間にか自分のことに置き換えながら、前のめりになっていった。
娘は、大学進学を考えているが、やりたいことがはっきり決まっている訳ではないらしい。
何となく、こういうのがしたいという仕事はあるようだけど。
どの大学でどの学部で何を学ぶか。その選択が難しい。
やりたい仕事に直結する学部が、正直少ないのだ。そして、その仕事だって変わる可能性もある。じゃぁ、大学で学んでおきたいことは何か…。
今は、私が大学を選んだ時代よりも多様化している時代だ。様々な学部学科があって、名前を見ただけでは何を学ぶところなのか分かりにくい分野もある。
あれほど行ったら?と促していたオープンキャンパスも結局行かずに夏休みが終った。今月の終わりには、志望校の紙を出せって無理な話だ。
思春期の今、聞く耳を持たずに「分かってるから!大丈夫!」と強く否定されることが多い。私だって関係性が悪化して、家庭の雰囲気が悪くなるのを避けたいから、もう勝手にやればと突き放したくなる。
今年、積極的に見ておきなさいと言われていたオープンキャンパスだって…友達と行くからって言ってたけど、日程が合わないとか予約がもう埋まってしまったとかで行けていない!
もう~っ!と文句を言いたくなるが、まだ来年もあるからと、グッと我慢。
面白かった、と映画を観て娘が言った。
彼女が選んだ映画だから、きっと観るタイミングで何かを得たのだろうと思う。たぶん。
自分の殻や思い込みにとらわれ過ぎると周りが見えなくなる。
今、娘がやりたいと思ってる仕事を否定する気は無いが、大学で学ぶことで、違う世界が見えたり、もっとやりたいことが出てきたり、人との出会いで大きく方向転換したり、その可能性も広げて欲しい。
映画のセリフ。
”生きることに大きな目的はなくてもいい”
私は、子育てが終わった後の自分の人生の目的が無くなるような気がしていたのかもしれない。だから何か探さなくちゃ、何か好きなことをしなくちゃって焦ってる。
SNSで出会う人達は、自分で好きな仕事をしていて、積極的に発信して、勇気を出して一歩踏み出そうよと促してて。
それを読み聴きしては、焦りだけが積み重なっている感じ。
一歩ってどこに?方向も決まってないのに。
私はどこに踏み出せばいいの?
なにか探さなくちゃ!そんな感じ。
映画でも言っていた「人生のきらめき」は、日々の生活のなかで見過ごしてしまうような小さなものでもある。何も大きい目的で無くてもいい。
日々の暮らしの中で小さな喜びを見つけてって、私の音声配信でのコンセプトだった!
単調な普通の毎日だって幸せに感じることがたくさんある。
家族がみんな元気とか、美味しいご飯ができたとか、映画をみんなで楽しんで観る夏休みの夜とか。
何か大きな目的を見つけなきゃっていけないような理由のない焦りを感じてていたけれど、実は毎日それなりに充実している。
忙しくて疲れて横になることはあっても、することなくて暇でゴロゴロと寝ているなんてことは、ほとんどない。
(専業主婦は暇でしょ、って思う人も少なからずいると思うけれど)
収納を見直したり、細かい所を掃除したり、習いごとの練習をしたり、調べ物をしていたり、こうやってnoteを書いていたりして、結構あっという間に一日は過ぎて行く。
みんなに語るような大きな夢はまだないけど、小さいやりたいことなら沢山ある。それがあるだけでも自分の人生は、実はきらめいているのかもしれない。そう思えたら単調に思えた毎日だって、楽しく積み重ねられる。
その中で、自分が自然と夢中になっている”何か”に気付けたらいいんじゃないのか、わざわざ探しに躍起になるんじゃなくて。
肩に力が入っていた私に深呼吸させてくれた、そんな映画でした。
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