四季

読書と乙女ゲームとラジオが好きです。

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最近の記事

机で寝ているときのビクン現象(2024年8月23日(金)の300字小説)

 疲れている。お盆休みは親戚が来て、バタバタしていたので、却って仕事をしている方が休まっている状態だ。  座ってパソコンに向かっていると、眠気を催す。  お昼に作った弁当を食べる、コーヒーを飲んでもまだ眠たい。  お昼休み残り30分、ちょっと寝ることにした。机に突っ伏して寝る。  時間通りに起きられた。向いに座っている後輩に、 「佐野さん、寝ているときに体ビクンってなっていましたよ」 「ああ、あの学生時代によくなるやつ」 「そうそう」  ちょっと恥ずかしかったが、学生時代を思

    • 月曜の朝(2024年8月19日(月)の300字小説)

       朝から疲れている。  早く起きたので、家計簿の整理をしていた。北海道の朝は、お盆が明けてから涼しくて少し寒いくらいだ。  窓を開ける。空は晴れている。秋の気配がうっすらと感じられる。アイメイクの色を秋ものに変えようかな、と思った。  朝ごはんの準備をする。パンと目玉焼きを焼くくらいだが。コーヒーマシンをガーって言わせてコーヒーを淹れる。  ニュースは古いと言われてしまうかもしれないが、新聞を読んでいる。紙媒体が好きだから。  さて、今日も一日頑張ろうか。 おしまい

      • 海へドライブ(2024年8月11日(日)の300字小説)

         山産まれなので、海に憧れが強い。  という訳で、地元の海に行った。  8月のオホーツク海は、濃い紺色をしていて、入りたいとは思わないが、潮風が気持ちいい。有機的な匂いが、海に来たという感じを強めていてとても良い。  空は北の方が曇っていて、あとは晴れていた。最近日光が眩しいと疲れるので、サングラスをしている。 「道の駅でソフトクリーム食べない?」  僕の妻がそう提案した。 「いいね。お昼はいつもの中華屋さんでいい?」 「私、炒飯にしようかな」  妻の夏用の薄くて長いスカート

        • ダブルショック(2024年8月8日(木)の300字小説)

           パソコンを立ち上げる。傍らには缶チューハイとスナック菓子。お手拭きもある。完璧な配信鑑賞環境だ。  20時まであと5分。今日は推しがどんな話をしてくれるだろう。ワクワクが止まらない。  配信ページに飛ぶと、昨日の日付に動画があった。  昨日と今日、間違えた!!  うわー、立ち直れない。後日アーカイブがあるけど、今週はこの配信を生で観るのを生き甲斐にしていたのだ。  来週くらいには観られるかな……。落ち込んだわたしは、推しのX(なんて誰も呼んでない、Twitterだ、Twit

        机で寝ているときのビクン現象(2024年8月23日(金)の300字小説)

          汗腺に気付かれないように(2024年8月3日(土)の300字小説)

           炎天下の中を15分かけて歩く。  北海道の今日の気温は32度だそうだ。本州に比べたら鼻で笑われそうだが、暑いには暑い。  私は麦藁帽にサングラスのスタイルでいた。半袖からジリジリ腕を焼かれ、長袖を着るべきだったと後悔していた。  歩いているのを止まると汗が噴き出す。なので、なるべく止まらないようにゆっくりと歩き続きた。汗腺に気付かれない作戦だ。  それでも、後頭部が汗でびっしゃりしてきて、首筋もびしゃびしゃだ。タオルハンカチで拭いつつ、家に向かう。  家に帰って体重を計ると

          汗腺に気付かれないように(2024年8月3日(土)の300字小説)

          ピンクのネクタイ(2024年7月31日(水)の300字小説)

           友人の理代子が彼氏ができたらしい。 「どんな人?」と尋ねたら、 「ピンクのネクタイが似合う人」と教えてもらった。なるほどそういうタイプか。ピンクのネクタイは、四十過ぎて似合う人が出てくるが、若い人でもたまに使っている人がいる。  どっちかジャッジできないので、写真を見せてもらった。  スマホにはハライチ岩井さんに似た若者が映っていた。 「かっこいいね」と言うと、理代子は、 「あんまりそうでもないけどね。あばたもえくぼだよね」と照れ臭そうに笑った。  その顔が恋する乙女だった

          ピンクのネクタイ(2024年7月31日(水)の300字小説)

          味覚は分からないが(2024年7月30日(火)の300字小説)

           昨日職場の倉庫の整理をしていたので、アレルギーが出てしまった。鼻水が止まらなくなって、料理の味が分からない。どうやら鼻がきかないようだ。  夕飯に野菜炒めを作ったが、味が濃すぎたようだ。夫は、 「ちょっとしょっぱいね」とは言ったが、全部食べた。食べ物を無駄にしない姿勢は好ましいが、しょっぱいものを食べて健康が心配だ。  次の日、夫が、 「今日は僕が作るよ」と言って、カレーを作ってくれた。  味はまだ分からないが、その気持ちがすごく嬉しくて、とても美味しいと思った。 おしまい

          味覚は分からないが(2024年7月30日(火)の300字小説)

          噎せ返るような熱気(2024年7月24日(水)の300字小説)

           現代の日本の夏は、極力外に出ないことが命に関わると思う。  午前中、買い物に出た。強烈な日差し、噎せ返るような熱気。とにかく暑い。ちょっと動くだけで汗だるまになる。  この時期、グレィのTシャツは着られない。汗染みがすごいことになるから。  外を歩いている人々も、なんで自分がこんな目に? と言う顔をして歩いている。  スーパまでは歩いて5分。そのたった5分でも溶けそうになる。アイスを買いたいが、真剣に悩む時間帯だ。  そろそろ友人の誕生日が近い。プレゼントのネタが尽きて、去

          噎せ返るような熱気(2024年7月24日(水)の300字小説)

          地方予選(2024年7月22日(月)の300字小説)

           食堂で働いている。テレビでは高校野球の地方予選の準決勝がやっている。おじいさんなどが注目している。働いている私も注目していた。  食器を片付けながら、私の母校を負かした高校の勝負の行く末を気にしている。  当時私は吹奏楽部員で、大会に勝ち進むにつれて、毎度楽器を積んで、応援に向かった。授業を普通に受けている同級生には羨ましいと言われたが、あれは普通に授業受けている方が絶対楽だと思う。  高校野球のことを気にしていたら、食器洗いに回ってほしいと言われる。残念。テレビはもう見れ

          地方予選(2024年7月22日(月)の300字小説)

          エアコン壊れた(2024年7月21日の300字小説)(事実)

           エアコンが壊れた。日曜の午後のことだった。  慌てて夫と電器屋さんへ行く。取り付けるまでに一週間はかかるようだ。 「はあ~。私、今週運勢悪いの当たったなあ」 「僕の運勢もたしか金運悪かったよ」  二人とぼとぼと駐車場を歩く。 「このまま家帰っても暑いねえ」 「寝室のエアコンは無事だけどね」  私は提案した。 「ねえ、夕飯までちょっとドライブしない?」 「いいよ。車の中涼しいからね」  私たちはそのまま隣町まで行って、ソフトクリームを食べに行った。34度の気温は容赦なくソフト

          エアコン壊れた(2024年7月21日の300字小説)(事実)

          夏の夜の散歩(2024年7月18日(木)の300字小説)

           夏の夜は、なんだかワクワクしてしまう。  近くの川の水の匂い、緑の濃い匂い、土の匂い。そんなものが、夜の闇の中に香る。車の排気ガスも。  私は、我が家のペット、柴犬のポンを連れて夜の散歩をする。昼間は暑くて歩いていられないので、夜歩く。  ポンがお尻を振り振り、楽しそうに歩いている。揺れる尻尾と肛門が可愛い。時々、ついて来ている? と振り返るところがまた可愛い。  ランニングしている人や、他の犬の散歩の人にもすれ違う。犬の散歩の人は犬の犬種でしか認識していないので、私のこと

          夏の夜の散歩(2024年7月18日(木)の300字小説)

          私のモナリザ(2024年7月17日(水)の300字小説)

           ルーブル美術館に行く夢を見た。実際にはパリに行ったことがないので、テレビで出てくる入口くらいしか知らない。だから、イメージのルーブル美術館を歩いた。  モナリザが見たいなあと思い。奥へ奥へ進んでいく。  私のイメージの絵画が並んでいる。見たことがあるような作品、全然記憶にない作品。  夢の中のルーブルは広かった。芸術性の高い天井は高く、奥行きがある。  ここはどこだ、と思った。  いつまで経ってもモナリザにはたどり着けない。ほとほと嫌になってきたら目が醒めた。惜しいことをし

          私のモナリザ(2024年7月17日(水)の300字小説)

          親切なマダム(2024年7月10日の300字小説)

           結婚して子供を妊娠している。臨月なので産休に入った。夏の妊婦はかなりきつい。大きなお腹を抱えて炎天下を歩くのはだいぶ無謀だと思う。  スーパの買い物はネット宅配に頼んでいるが、銀行に行く用事があって外に出た。  15分ほど歩いていると、気分が悪くなった。  もうすぐ銀行というところで、親切なおばさんが声をかけてきた。 「ちょっと、奥さん! 顔真っ赤よ?! そんな体で出て歩いちゃダメよ!」そう言って、ペットボトルのポカリをくれた。ポカリはだいぶ温かったが、生き返る心地がする。

          親切なマダム(2024年7月10日の300字小説)

          暑さにご用心(2024年7月9日(火)の300字小説)

           茹だこみたいになりそうな暑さだった。朝から暑い。会社も在宅ワークが可能だが、一週間に一回は会社に行く必要がある。  災害級の暑さだ、と朝の天気予報で言っていた。タンパク質でできた生物が歩いていい気温ではない。  わたしは腕にUVカットアームをつけて、日傘を差して炎天下を歩いている。汗が止まらない。頭がくらくらする。  駅から会社まで歩いて、7,8分くらいだが、その時間が命にかかわる気がする。見ると、ベンチでうなだれているお年寄りがいる。やばいだろ! と反射的に声をかけた。

          暑さにご用心(2024年7月9日(火)の300字小説)

          午前のアイスコーヒー(2024年7月3日(水)の300字小説)

           7月上旬の休日の午前。外はうっすら曇りで、窓を開けていると比較的涼しい。快適な日だ。  私は、部屋を掃除機かけた後、残した仕事を片付ける。眠いから欠伸が止まらない。  夫が、 「今日は夕飯は僕が作るよ」と言った。 「どうして?」 「最近君、少しお疲れ気味だから。たまにはね」嬉しそうにそう言う彼が可愛いと思った。  眠気覚ましにつけたラジオが、余計に睡魔を誘発する。立ち上がってコーヒーを淹れる。今の時期はアイスコーヒーが美味しい。  仕事が終わったら、ゲームでもしようと思いな

          午前のアイスコーヒー(2024年7月3日(水)の300字小説)

          明け方の囁き(2024年7月2日(火)の300字小説)

           眠っている。眠っているという自覚のある睡眠だった。  寝ている私の耳元で女性が、何か囁く。 「だいこん」  ……? 意味が分からない。何故、美女は大根と囁いたのだろう。  起きてしばらくしたら、忘れてしまった。  また次の日、隣の美女が耳元で囁く。 「ちくわ」  起きて私は思った。次はきっとたまごだ、と。  季節は全然合ってないが、おでんが食べたくなった。今度の休みに作ろうかな。 おしまい

          明け方の囁き(2024年7月2日(火)の300字小説)