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海へドライブ(2024年8月11日(日)の300字小説)

 山産まれなので、海に憧れが強い。
 という訳で、地元の海に行った。
 8月のオホーツク海は、濃い紺色をしていて、入りたいとは思わないが、潮風が気持ちいい。有機的な匂いが、海に来たという感じを強めていてとても良い。
 空は北の方が曇っていて、あとは晴れていた。最近日光が眩しいと疲れるので、サングラスをしている。
「道の駅でソフトクリーム食べない?」
 僕の妻がそう提案した。
「いいね。お昼はいつもの中華屋さんでいい?」
「私、炒飯にしようかな」
 妻の夏用の薄くて長いスカートが風に揺れる。帽子が飛ばされないようにつばを抑えている彼女がなんだか可愛い。彼女のお腹には今赤ちゃんがいる。
「疲れてない?」
 僕が訊くと、
「大丈夫だよ」
 と、彼女は微笑んだ。
おしまい

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