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地方予選(2024年7月22日(月)の300字小説)

 食堂で働いている。テレビでは高校野球の地方予選の準決勝がやっている。おじいさんなどが注目している。働いている私も注目していた。
 食器を片付けながら、私の母校を負かした高校の勝負の行く末を気にしている。
 当時私は吹奏楽部員で、大会に勝ち進むにつれて、毎度楽器を積んで、応援に向かった。授業を普通に受けている同級生には羨ましいと言われたが、あれは普通に授業受けている方が絶対楽だと思う。
 高校野球のことを気にしていたら、食器洗いに回ってほしいと言われる。残念。テレビはもう見れない。仕方がないが、私は諦めて食器を濯ぎ、食洗器につめていく。
 ホールからは、お客さんのにぎやかな会話の中に野球の歓声も混ざって聞こえてくる。
 夏は嫌いではない。
おしまい

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