ゲームプロデューサーが考える進路相談。業界を辞めた先輩たちから見る、今やっておくべきこと
こんばんは。独立して3期目になったゲームプロデューサーというかマーケッターというか、イチ経営者です。
今回はゲーム業界の実体、働き方、キャリアプランについて記事を書きます。結構大雑把、かつ個人的な経験値から書きますので、細かいことについてはご了承ください。質問等いただければ回答させていただきます。
今からこういうことをしておくといいんじゃないか?というようなケースもあわせて書きますので、早く知りたい方は目次からどうぞ。
ゲーム業界を去った戦士たちの理由
私はゲーム業界で仕事をすること21年目ぐらいになりますが、同僚というか、同時期に働いていた方たちの過半数以上はゲーム業界を辞めていて、他業界で活動しています。
理由としては、飽きたとか、違うことやりたいとか、表向きはいろいろな理由がありますが、実のところ本音を聞くと、ネガティブ要因が多いです。
一番多いのは「大変」で「残業が多い」。責任感が重いうえに「思いのほか給与がやすい」ということ。責任者クラスの人で多いのは、心身を壊して離脱される方も少なくありませんでした。
ゲーム業界で働き続けるということは、想像以上に重労働であるということが垣間見えると思います。
次の項目からは、そんなハードな環境であるゲーム業界にて生きるために、対策、方法、どんな特徴があるのか?について少し触れていきます。
特徴1|残業は多め。どうやって乗り越えるか?
ゲーム業界は残業が多いです。
会社では少ないところもあります。
今でこそ残業はかなり制限されましたが、それでもリリース前、トラブルが起きた時、あとはマネージメント職の方などはいまだにかなりの時間働いています。
残業が嫌だという方は多いかとは思いますが、それでも残業は多い方だと思います。
ただ、他業種でも残業が多い職種はたくさんありますので、結局のところは残業してでも耐えられるとか、好きな業界や仕事だからやっていけるかもと割り切れる仕事を選ぶことが大切なことかもしれません。
余談:経営者は残業代なんてない
私は独立していますので、残業してももちろん給与とか出るわけではないのでできるかぎり残業とかしたくはありませんが、やらざるを得ない時、時間をかけてやらないといけないことなどは多くあります。
でもそれは覚悟していることですし、好きで独立することを選んだのでなんとも思っていないです。
「したくないことを努力して解決しようとしている時点で、好きでやっている人には敵わない」っていうイチロー選手の名言がありますが、周りの経営者しかり、ゲーム業種でリーダーやっている人ってわりとそれに近いかもしれませんね。
特徴2|安い給与になりがちな職種
ゲーム業界ですが、業種によって給与にかなり差があります。
特に若い人で、プランナー、スクリプター、シナリオライター、2Dデザイナー、ドッター、サウンド、かけだしプログラマー、テスターあたりはかなり薄給です。そもそも正社員という方も少ないのでは?と思えるほどに待遇が良くないことが一般的です。
理由としては、それらの仕事の多くが外注しやすい=変えが効きやすいという理由が一番ではないかと思います。
つまり、代替しやすい要員になってしまうことは、外注できる仕事の業務、単価と同じ計算をされやすくなる。そのため、単価が買い叩かれやすくなってしまい、価格もどんどん下がりがちになると言えます。
そしてこの給与水準ですが、実は入社時から非常に上がりづらいという特徴を持っています。なので、経験を重ねても低賃金で働き続けている人も結構多くいます。
特徴3|高い給与の職種とは?
では高い給与になりやすい人はどういう人か、職種か?というと、ずば抜けた個人スキルを持ったスペシャリストか、マネージメントスキルが高くてチーム運用に欠かせない人たちです。
業務では少し上部分のレイヤーを担う、いわゆる上位職と言われる分野です。企画者であれば、ベースの企画を考える人。ゲームデザインやコンセプトそのものを考える人。
2Dデザイナーであれば、コンセプトデザインや世界観のそのものを作る人。
プログラマであればリードや全体の設計やフレームワークを作る人などでしょうか。
これはゲーム業界に限らず、会社員としてはほぼ同じ構図を描いています。
たまに、単発で業績がいいプロジェクトが飛び出して臨時ボーナスが出ることもありますが、それはかなり一過性のものです。長期で見るとやはり高い給与水準をもらえる人の方が生涯賃金では多くもらえます。
繰り返しになりますが、ゲーム業界で高い水準をもらえる方は、リードプログラマー、リードデザイナーだったり、ゲームデザインまでを意識できるUIデザイナーだったり、ディレクター、プロデューサー、飛び抜けた知恵や技術を持つ企画職などが大半になります。
特徴4|アピールしないと給与は上がらない
これ結構知らなかったのですが、会社員の人はいくらそのチームが業績良かったり、その人がいい活躍をしたとしても、誰かにアピールしないと給与は上がらない構造になっていることが多いです。
え?
と思うでしょ。
長く働けば給与は上がるのか?否です。
プロジェクトで成績を挙げれば給与は上がるのか?
否です。
一番大事なことは、上長だったり、評価をする人に取り入ってもらうことです。それだけではなく、客観的な評価基準と個人的な評価基準の両方を満たして承認をもらう必要があるということです。
これはしっかりした企業であるほどとても大事なポイントです。
頑張れば給与は上がるのか?というのはほぼ幻想です。
先ほど書きましたが、プロジェクト評価でボーナスが出るときも一過性のものであなたの評価には直接つながっていない(厳密には評価されづらい部分)です。
あなた自信の評価につながり給与を上げるためには、プロジェクトの成果と自分の貢献度を言語化してアピールし、それを会社では相対評価として基準を満たすこと。そして個人的に第一次評価をつける上長に取り入ってもらうことです。
少なくともこれがないと給与は大きく上がらないと思っていいかと思います。残念ながら、これほぼ事実です。
これが嫌なら、転職する際にベースアップ交渉を直接していただく必要があると思います。
特徴5|会社員は損なのか?
残業が多いし、給与は簡単に上がらないし、なんかいいことなくない?だったら独立した方がいいのか?と思っている方はちょっとお待ちいただきたい。
そもそも独立が会社員よりもお得なのか?というと全くそうではありません。どちらもメリットデメリットがあるし、好きか嫌いかの違いだけです。もちろん、求められるスキル、必要な技術などもまったく違います。
これは一軒家を買うか、マンションを買うか、賃貸で住み続けるのか?というテーマぐらい難しいものであり、人の特性や目的、環境や家族構成、家庭環境などによって答えが全然異なります。
どれが優位、不利とかもありません。
どんな環境であれ優位に楽しく生きている人はいますし、どんな環境であっても不満や愚痴ばかりを言っている人もいます。
比べることが不毛です。
独立することには相当な労力がかかりますし、会社員以上に面倒なことはたくさんです。残業しても給与は出ませんし、給料も自分で仕事を営業して取ってこないともらえません。
仮に自分でゲームを開発してリリースして、その収益でぬくぬく暮らすんだと思っているならば、開発期間は給与は出ませんし、開発時も自分との勝負です。さぼっていたら永遠に完成もしません。
告知も自分でやります。宣伝も自分。デザインはどうする?サウンドはどうする?プログラムは自分で書く?
そういう会社員とはまた別の課題がてんこもりになることを自覚する必要があるだけでなく、そもそも起業家として成功するには、開発センスだけでなく、経営の才能やセンスが必要だったりもします。
なのでそれは一旦まだ待ちましょう。会社員は簡単にはクビにされないので、そのメリットを最大限活かすことが超重要です。
特徴6|会社員時代にやっておきたいこと
別に独立をしろというわけではありませんのであしからず。
さらにいうと、これは会社員からやっておきたいことでもありますが、経営者ならば少なからずこれやっといたほうがいいということにも紐づきます。
そもそもこの記事を読んでいる人の多くが会社員だと思いますし、日本でも会社員の人が圧倒的に多いかと思います。
給与を上げる方法や収入を増やす方法はいくらでもありますので、最大限環境を使いましょう。
ということで、会社員であろうがなかろうが、これからやっておくと必ずいいことがあるという項目を書いておきます。
やること1|人脈作り
もうこれはいまさらいうまでもないです。
人生なんだかんだで、人とのつながりが仕事も友達もチャンスも運んでくれます。同業者でもいいですし、ゲーム開発している仲間や趣味で繋がる仲間。
勉強仲間でもなんでも構わないです。出来る限り自分が理想としているライフスタイルを得ている人と知り合ったり、友達になることをオススメします。
好きなコミュニティに属したり、何かを主催して、いろいろな人とつながってほしいと思います。それが結果的に人脈スキルやマネージメントスキルに直結もしやすくなります。
やること2|スキルを磨き続ける
スキルの磨き方ですが、何はともかれ特化した得意分野を1つ徹底して磨き続けること。そしてそれに付随したサブスキルを2つほど磨いておくと理想的です。付随したスキルとは関連するスキルなどでしょうか。
そしてスキルですが、何かしらとお金に近いスキルを磨いておくと理想的です。お金に近いスキルとは、例えば営業、販売、集客、投資など。
それ以外では常に求められているニーズ、持っておくと応用が効きやすい技術ですね。簿記、プログラム、英語などはその代表例かもしれませんね。
やること3|情報発信
これはなんどもnoteでも書いていますが情報発信は100%やっておいて損はないと思います。優先度としては人脈作りの方が大事だと思いますが、今やSNSが簡単にできますので、各種SNSを活用してあなたの考えや人柄含めて発信をしておくことをお勧めします。
これがいつか役立つ時が結構あります。
やること4|メンタルを強くする技術を磨く
なんでこれ?って思うかもしれませんが、クリエイター職は基本的に自己肯定感が低い人が多いです。
そのため、どうやったら自分が傷つかないで済むのか?や、ハードな職場やユーザーの批判などから防衛できるのか?ということを知っておくだけでもかなり生きやすくなります。
簡単な方法としては気にしないってことなのですが、それは気の持ちようであって簡単にはいかないと思います。そのため、行動ベースで対処方法を考えておくことや、やることがとても重要です。
細かいことは書きませんが、私が結構日々Twitterなどでも書いていますので、良かったらフォロー、チェックをお願いいたします。
まとめ
ゲーム業界は大変なところです。見た目はキラキラ、楽しいこといっぱい! に見えるかもしれませんが、実体はとてもハードな職場です。
私自信、一番最初にお仕事させていただいたところは超ビッグ会社3つでしたが、あまりにも仕事がハードすぎてその会社のゲームを数年間嫌いになったぐらいでした。(今は好きですし、仕事と遊びは別モノと割り切れるようになったし)
でもこれはどの業界もわりと同じだと思っていますし、やることや楽しく生きることや秘訣も共通することはとても多いです。
仕事は1日のうちに8〜10時間ほど費やすわけですし、1日の数多くの過半数以上をそれに注いでしまうわけですので、どうせやるなら少しでも楽しめるように行動をして、さらに将来繋がるようにアクションできたら理想的です。
今回の記事では特にやること1〜4についてを準備したり、行動しておくことで、転職する際においても、会社で立ち回るにしても活用できることが多いかと思いますので、ぜひとも活用してほしいと思います。
いただいたサポート費は還元できるように使わせていただきます! 引き続き読んでいただけるような記事を書いていきたいと思います。