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「Smart Kitchen Summit JAPAN 2020」に参加して学んだこと④~漁業の問題と最新の取り組み~

今回は、Smart Kitchen Summit JAPAN 2020(以下、SKSJ2020)に参加して学んだ「漁業の新しい取り組み」について、書いて行きたいと思います。

なお、以下の①、②、③の続きになっています。
もし興味のあるタイトルがあれば、そちらも覗いてみて下さい。

・海の現状

日本では漁獲高が年々減ってきている現状があります。

理由は複数あると思います。
例えば、地球温暖化や海洋汚染などの理由です。
確かに、「漁獲高 減少」で検索をすると、環境変化が原因だという理由がでてきます。
私自身、環境変化は漁獲高に少なからず影響をもたらしていると思います。

ただ、こちらのデータを見ていただければわかるように、日本では漁獲高は減っていますが、世界総合量では増えています。環境だけが理由なら、世界で漁獲高が増えていることは起こりえないでしょう。
では、そこに存在する差は何なのかというと「乱獲」である、と私は学びました。
つまりは、魚を取りすぎてしまっているんじゃないか、ということです。

そして、SKSJ2020では「乱獲」という問題に対して、取り組まれている方のお話を聞くことが出来ました。
次章は、そのサービスを中心に話していきます。

ちなみに、これは余談になりますが、SKSJ2020にライブで参加しているときに、Zoomで直接質問をさせていただきました。
質問内容は、「日本の漁獲高が減っているのは、日本人の魚の消費量が減っているからではないのか?」というものです。
魚がいなくなったのではなく、魚を獲る理由がなくなったんじゃないかって思ったんですね。

これに対して、「消費量が減ったことと漁獲高が減ったことに因果関係が強くあるとは思えない。なぜなら、現場の漁師は魚を獲らないと生活出来なくて、日本で消費されなくても海外に輸出できる。日本で撮れた魚が日本人に常に消費されるとは限らない、実際、日本で消費される魚の約半分は輸入品だから。」という解答をいただきました。
現場に携わっている方から直接回答をもらえて、とても納得が出来ました。

・海を守るための取り組み

今回、SKSJ2020に参加して知ることができた大きな取り組みが2つあります。
1つが、「トレーサビリティ」。2つ目が、「陸上養殖」です。

①トレーサビリティ
トレーサビリティとは、調達・生産段階から消費・廃棄の段階までを追跡可能な状態にすることです。可能になれば、「いつ、どこで、誰が関わって目の前にあるのか」を消費者は知ることができます。

「乱獲」問題を「トレーサビリティ」でどうやって解決するのかというと、違法に漁獲される可能性をなくすことで、問題解決につなげるそうです。
もし、トレーサビリティを行うことが当然の世界になった時、あらゆる魚からどこで獲れたかだけでなく、誰が関わってきたのかを知れるようになります。この時、違法に収穫された魚が流通する可能性は、確かに少なくなりそうです。追跡が当然になると、追跡されていない魚に対して、消費者は安心できなくなりますよね。

実際には、IBMFoodTrustというサービスを使って、取り組みを行っています。
ブロックチェーンという、情報の改ざんが非常に難しいシステムを導入することで、トレーサビリティに対する信頼感を得ていることが分かります。
Ocean to Tableさんが取り組みを行っている団体だと知りました。


加えて、トレーサビリティには他のメリットもあります。
1つは、漁師さんの売上向上に役立つことです。
消費者は安心安全な商品の方が当然価値を感じるので、トレーサビリティされた商品は付加価値がのることになります。
結果として、それまでより売上をあげやすくなり、あげやすくなればたくさん魚を獲る必要も減ってくるかもしれません。

もう1つは、廃棄する量を減らせることです。
今まではスーパーで良くない商品が見つかった時、他店も含めて全ての関連商品を廃棄しなければいけませんでした。どれが、悪い商品が検討できないからです。
しかし、追跡が可能になると、仮にAという魚が販売できないモノと分かったら、流通段階までさかのぼって、どこで悪くなったのかを検討できます。そして、同じく悪いと思われる商品だけを廃棄すればよくなるのです。

②陸上養殖
これは、「乱獲」を解決するための直接的方法ではありませんが、海を守ることに繋がっていると思います。

上記より、世界で水産物に対する需要が増加していることを理解いただけたかと思います。
ただ、天然物を確保し続けることは難しくなっています。
そこで養殖に目が向きます。魚の養殖といえば、海面を思い浮かべるでしょう。
しかし、海面での養殖を拡大しすぎると環境への付加が大きくなるそうです。

そこで、CRAFTFISHさんは陸上養殖に目を付け、活動をされています。
陸上では漁業権の制約を受けることもなく、漁業の既存的考慮とは全く違った活動が行えそうです。
私は陸上で魚が養殖されているところをみたことがないのですが、可能性が非常に大きそうであることは想像ができます。

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