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嫉妬

電車に乗って来た老夫婦 90歳ぐらいのおじいちゃんとおばあちゃん おばあちゃんは近くの一つだけあいた席を見つけると ここここ、とおじいちゃんを座らせて 自分は遠くの空席まで歩いて行った そのうち電車は大きな駅について、大勢の人が降りて行った おばあちゃんの隣の席もすっかり空いた おじいちゃんはすっと立ち上がって ゆっくりゆっくりおばあちゃんの隣の席に移動して行った いつものふたり いつでもいっしょに 何だろう、この気持ち これは、嫉妬だ 私は今ものすごく嫉妬している

    • おじいちゃん、おばあちゃん

      おじいちゃん あなたのことを 思い出す あの自慢の庭に立って おじいちゃん あの台所で 得意なラーメン 作ってよ おじいちゃん 夕日の中で 草むしり 曲がった背中 一日の終わりに 晩酌することを楽しみにして おばあちゃん おうちに行くと 居間の窓越しに覗き込んで さよならの時には 手は振らないけど ずっと見送っていてくれた おばあちゃん たまに電話すると 東京はもう慣れたか もうそろそろ帰って来んね どんな気持ちで言ってくれたの 小さな頃の私は

      • 羨ましいこと

        おじいさん、おばあさんを見ると 羨ましいって思う おとうさん、おかあさんを見ると 羨ましいって思う 結婚して、二人の人生を考えた日から 拭えない不安 二人はいつ迄、一生に生きていけるのだろう 私はいつまで生きられるのだろう 若くなりたいとは思わない 30年後、40年後の私達に会いたい 1つの痛み 2つの不安 1つの悩み 2つの後悔 結婚は幸せなことだけど、 結婚するまではこんな心配にならなかった 今の気持ちを幸せって言うのかもしれない でもそれならば、 幸せってな

        • シティオブスター

          スターの街 僕のなかに眠る輝き 憧れの街 輝きが多すぎて、見つけられないまま消える星 僕の光は誰かに届く日は来るのだろうか 君を初めて抱き寄せた時、僕たちは同じ夢を見たんだ 僕たちの夢が最後には叶うという夢 スターの街 この街で願うことはたった1つ、誰しもが追いかけること それはバーのなかでも 混み合ったレストランの煌めきのなかにもあるはずさ 愛されること そう、僕達はみな 見知らぬ誰かに見つけられることを待ち望んでいるんだ 人混みの中でも すれ違う瞬間でも 肩

          シティオブスター

          君を思う 君は僕を思うことがあるだろうか 君を思う 君は眩しすぎて、僕は僕がわからない 一体、僕には何かあるというのだろうか 君を初めて抱き寄せた時、強くそう感じた 僕の夢は、僕たちの夢となったけど 果たして叶うことはあるのだろうか 君を思う バーにいる人も 混み合ったレストランにいる人も みんなが願うことを僕も求めているんだ 愛し愛されること 愛する人と愛し合えること たくさんの人のなかで、 出会い、恋をして 少しずつ近づいて、時にははしゃいだりして あの

          シティオブスター

          2月の14日

          迷っていたの 2月10日くらいから わたしは30歳 私は女 100均寄って買ってみたの かわいいお菓子作りの道具とチョコレート クックパッド見て作ってみたの うまく行かなくてあらこれ加えたら 生チョコのはずが、まるでクッキーみたいになっちゃった 可愛いチョコレート 憧れてたの でも出来上がりったのはまるでう◯ち この色といい形といい とりあえず、写真撮ってみたよ 可愛いメッセージカード 買ってあったの 大好きとひとこと書いてみたけど やっぱ変だよ、らしくないよ そっと

          2月の14日

          届く

          風の暖かさに 春を感じる あなたがいなくなった 冬のはじめの日 気がついたらこなしていた いつも通りの日常(まいにち) 笑顔の日も、不機嫌な日も いつも通りの朝と夜 でもたまに思い出すの あなたに会えないことを どこに行こうとどんなに願おうと あなたにはもう会えないことを この風をあなたも感じれる? このお日様(ひ)のあたたかさを 私の思いと私の言葉 同じ意味(こと)になってしまったよ ねぇ会いたいよ ねぇ会いたいよ 楽しく暮らしていると想像してみるけど ね

          やさしい声

          やさしい歌を歌おう 息する声で 笑い声や泣き声で あなたにかける声で やさしい歌を歌おう 感動に震える声で悲しみに耐える声で あなたへのおやすみの声で この世界には いろんな音が溢れてる どんな音も鳴り続けるよ あなたの耳には、どんな音が聞こえてる? やさしい歌を歌おう やさしい歌を歌おう 誰でも憶えてるはず 一番やさしい歌を やさしい歌を歌おう やさしい歌を歌おう なぜならば、この世界は… 生きてる あなたがいる そんな一瞬のキセキのかたまりだから やさ

          やさしい声

          手紙

          今年も桜が咲きました 蕾が少しづつ咲いています 今年は少し、早かったね 強い風が吹いて 花びらが遠く飛ばされていく 不意に君を思い出したから 晴れた空が少し寂しかった この街には思い出がいっぱいだね 公園も、駅前のお店も、コンビニも この道も、笑う私たちがいた場所 今ここにいるのはわたしだけ 少しだけ大人になったつもりの私がいます お元気ですか それ以外は知らなくていいけど お元気ですか それ以外は思いつかないけれど 時々とても気になるのです 私