2ピースバンドRiL,サイバーパンクを掲げるNew EP HEROリリースインタビュー
RiL
Gt Vo:SHUSEI
Dr:田中レイ
インタビュアー:Ukiyo records.
ーまずは、HEROリリースおめでとうございます!
SHUSEI,レイ:ありがとうございます!
一前作まではガレージ、グランジを押し出していたけど、Spotifyでの表記がサイバーパンクの呼称に変わっていて、その辺の変化っていうのはもう自分達で決めたのか、他からテーマをもらったの?
SHUSEI:いや、全然レイにも相談せずに勝手にSpotifyのジャンル名俺が決めた笑。
ーなるほど笑
SHUSEI:なんか結構あるじゃん、自分たちのバンドで造語みたいな。なんかそういう感じあるじゃん結構、今思いつかないけど。
レイ:ニューメタルみたいな?
SHUSEI:ああ、そうね。もっとなんか独自のやつ
難しいね、なんて言えばいいんだろう。まあ、そんな感じ笑
ージャンルって言ったもん勝ちだったり、あえて名乗らなかったりとか、勝手に決まっていくものでもあったりするからね。
SHUSEI:そうなんだよね
RiLっていうバンドはなんだろう?サイケの要素ももちろんあるし、それこそ根っこにグランジっぽい感じ。
ちょっと実はプログレッシブな瞬間あったりとか、いろいろ吸収してるバンドだと思うし、パンクの要素も精神性に実はあるし
自分でも分かってない。作品ごとにちょっと変わってると思うし、まあ総称してやっぱオルタナティブなんだっていう感じがする。
今回はサイバーパンクだけど、前は結構めちゃくちゃ攻撃的な印象があったのね。あのⅲとTAROは結構リフに次ぐリフみたいな、サイケも感じるし、パンクもオルタナも感じだけど、その中にハードコアのエッセンスもちょっと感じて。
それこそIGGY & BIGGYとかはもう全部入ってて、結構ハードコアっぽいノリも入ってるなと思ったんだけど、俺の捉え方が二枚目までずっとフックアンドアッパーみたいにずっと攻めてる感じだったのが、今回はなめらかになってる印象があって、合気道みたいな攻めもするけど、受けもできるみたいな。
今回うまい攻め方になったなあっていうのを感じて。
SHUSEI:なんかね、その前作、前々作の攻め攻めだった作品は、個人の感覚的には作曲の差というか、アレンジの差だと思うんだけど、例えばⅲとかの作品どちらかというと、1曲の中にこう何個も場面めっちゃあるっていうか。
いい意味でまとまってない?感じがあって。
で、今回レイが初めて参加して、アレンジが上手く出来るから、曲のまとまりみたいなのが出て、リフとかは今回も結構ハードだけど、滑らかさみたいなのが出たんじゃんて俺は思って。
レイ:Saṃsāraが最初デモ曲でというか、新しく作ったんだよね。だから結構作曲の段階から、ずっと二人で一緒に作ってたから、それも今までと違うところだと思います。
それが作曲編曲というか、その曲のイメージの今までとの、違いに繋がってると思いますね。
SHUSEI:あと、今気づいたんだけど、どちらかというとさ、それこそ本当オールドスクールの作り方ってスタジオ入って、リフ持ってきて作る。
まあ、なんだろう?DTMが普及する前のバンドの作り方と同じで、もう誰かが持ってきて(原曲を)みたいなアレンジをスタジオで考えてみたいなやり方だったのが、俺もパソコン手に入れたりとかでさ、コロナが始まってから。
Logicとか、DTM触るようになってなんて言うんだろう、アレンジの仕方が変わって、それが結構作品の差としては出てると思うな。
ーそうね、ⅲとその今の曲、比べてみればアプローチも結構違うというか音質も違いに出てて、ⅲはローファイを意識しているのが伝わってきた印象だったけど、今回はすっきりしたというか音質が今っぽくなってて、同期、電子音もあってヒップホップの要素も感じたし、新たなRiLを感じたけど、今回の案はどの段階からあったの?
SHUSEI:ヒップホップ要素はめっちゃあると思う、そのイントロ(〈CHAPTER 2.X〉)とかね。
レイ:さっきのDAWで作曲したっていう話にもつながってくると思うけど、やっぱサンプリングができる環境がちゃんと整ったし、まあそういう時代(ローファイレコーディング時代)とか、そうやって作られた曲の影響も常日頃受けてるから。
だから、作曲の段階から、アイデアって作ってたよね?
SHUSEI:うん。だからDAWで作るからさ、トラック的な考え方でこう曲が出来て、それでサンプリング入れたりとかしてたんだけど。
Saṃsāraがそもそも元々デモであって、そこから作曲を始めていった時に、多分レイのアイディアだったと思うけど、ほかの別のグルーブというかリズムみたいなのも入れようみたいな。
ていうところからSaṃsāra作って、そういうサンプリングをやりながらやってたら、いい感じになってきたからっていうので、Saṃsāraスタートでじゃあこういうテーマで行こうかなっていうのが見えてきて、サイバーパンクな方向にどんどん行って、であのNEO TOKIO出来たりとかしてサンプリング、デジタルのリズムありきで打っていくようになったっていう感じかな?
ーEP全体の曲のアイデア的にはSHUSEIがスタート?それともお互いリフなりリズムだけ持ち寄って二人でアレンジした感じなのか、それともデータだけ持ってきて、お互いに入れ替わり立ち代わりで作っていった感じ?
レイ:結局作最初の作り方はオールドスクールで、大体SHUSEIがスタジオでまず一回リフ出してもらって、なんとなくセッションとか、色々アイディアとか出してみて、それ持ち込んでDAWにちょっと立ち上げてみて、そこから本編曲みたいな感じ。
SHUSEI:結局さ、一回スタジオ挟んでたなと思って。
その中で一回自分が持ってるリフのフレーズをドラムと合わせてみて、その体感で良いって思わないと多分いい曲にならないと思ったから、一旦そこは生でやってみて、で、それ調子良かったら持ち帰ってDAWで作り直す、アレンジし直すみたいな。
レイ:そんな感じだったね。
ー今回マスタリングがAbbey Road Studioっていう急なビッグネームが出てきたけど、それはどういう繋がりというかきっかけがあったの?
SHUSEI:俺がさあ、そのビートルズが好きじゃん普通に?笑
ピンクフロイドとかも好きなんだけどさ、やっぱ圧倒的にそのAbbey Road Studioのマスターリングって半端ないわけよ、もう。
ていうのはもうずっと思ってて、それこそ前のバンドでUKツアーして、現地でAbbey Road Studioへ行ったりとか、もう憧れなわけですよ。
エンジニアをレコーディングの時に探してて、曲が出来た段階で結構サイバーパンクな感じな楽曲だったから、まあそういうの合う人がいいなあと思ってて。
Abbey Road Studioも頭の片隅にあったからじゃあ、なんかまあそれで得意な人いないかなとかっていうので探して、元々METROPOLIS STUDIOでも働いていたエンジニア(Christian Wright)がRadioheadとかBjorkとかもやってて調子がいいからお願いしたみたいな感じ。
レーベルメイトにDizzy sunfist、HEY-SMITHらのビッグネームがいるわけだけどぶっちゃけ意識はやっぱりする?
レイ:リスペクトはあるけど、別にそのイワしてやらないといけないから、やっぱステージでの土俵は一緒だから、先輩だからいいライブできるとか、それはその別もんだし、一緒にやれるってなって緊張とかするけど。
でもまあ、なんて言うんだろう、なんかちょっとその…
SHUSEI:そんなに意識してない?笑
ーRiLらしい回答で何よりです笑
ー個人的には、ライブを観ると必ず記憶に残るライブをしているのが印象的で(RiLのライブは爆音で備え付けのアンプをフルで使う)仮に同じ演者だったら、かまされるだろうからやりにくいっていう気持ちになりそうだけど、ライブをやってる本人達的にはもう手ごたえはある?
レイ:結構最近のライブは観てもらいたいかなー
観てくれた人の反応はやっぱすごい、本当ここ半年から一年。ライブ見た人からの評価がすごいなんかいいね。
SHUSEI:うんうん。
レイ:だから色々広がっていったし今年も。今この俺が入って作品出してっていう状態のRiL脂のってると思うんで、ぜひライブ観に来てほしいですね、いろんな人に。
ーレイ君はドラムとして参加して一年半、2年ぐらいかな?
レイ:1年以上は立ってるけど、2年は経ってないかな?
ー結構RiLのドラミングって素人目に聞いてても結構まあ、あの無茶というか笑
一同:笑
ー実際RiLの楽曲を叩いてみてどう思いました?
レイ:僕もいろんなとこでドラム叩くんですけど、やっぱりRiLはツーピースであのドラムの複雑さ、というのが幅の広さにつながってきてるんですよね。
だからTHE DOORとかだったら、テンポがガーって落ちてぶわーって上がってもそれが成立するんですよね。
かなり無茶なことができるから、無茶しちゃうんですよね?だからSHUSEIもそうやって無茶してきて成り立つから。
だから、俺自身は曲を覚えたら叩けるんで、叩いてて楽しいし、叩けるようになるまで、覚えられればもう叩けたんで。多分影響を受けてる音楽とかも似てると思うし。
僕も日本のオルタナロックバンドめちゃめちゃ聞いて育ったんで、9mmとかその世代。
多分そういうのもあって、俺に今までのRiLの曲みたいなのも入って来やすかったっていうのはあると思うんです。って感じです。
ーありがとうございます
ーちなみにレイ君はどういう経緯でRiLに参加した?
レイ:俺の仲間たちがいて、もともと渋谷のGee-Geっていう箱に溜まってる仲間なんですけど、で仲間の中で俺は会ったことないんですけど、死んじゃったドラマーがいて、その死んじゃったロジー(AREA81)の追悼セッションライブを毎年年末にやってるんです。Gee-Geで。
2年前、3年前かな。セッションに俺が初めて行って、でその時にIRIE BOYSのShinhongとあと横浜のBB STREETっていうライブハウスの店長にはじめてあったんです。でそん時、俺、Shinhongのギターに結構衝撃を受けて。でも俺も、結構そのかましてやってその日。
そこから1,2回Shinhongとセッションしたのかな?そしたらShinhongから連絡来て、その友達がRiLってバンドなんだけど、なんか困っててみたいな、ちょっと叩かない?みたいな。
その時はね、サポートでドラムいれてたの結構代わる代わるだったんだよね。IRIE BOYSのドラムの兄ちゃんが叩いてて。
SHUSEI:あれはツアーで、その時ドラムいなくなっちゃったから、IRIE BOYSのShinyoungとLingua Francaのニキさんとかがこう代わる代わるツアーを出てくれてた持ちこたえ時期だったね。
レイ:でそれでRiL知って、近松、だったかな、近松に前に俺が前やってたバンドがMETRONEWMってバンドなんですけど、そのバンド今は解散しちゃったんですけど、その時に出てて。
で、その時にそのウメザワさんっていう店長にRiLロンT来てて、RiLいいよみたいななんか聞いたんだよね。
なんかイベントやりたいけど、なんかいいバンドいないかみたいな。
RiLいいよって言ってて、RiL知らないの?みたいな笑
で知ってたんだよね、俺。なんかいろんな縁で、俺もちょうどコロナ中であんまドラム叩けるところなくて、で連絡返して、会って。
そっから叩き続けてここまでっていう感じですね。レギュラーメンバーなのか、サポートなのかって言われたら、サポートではないですね。うん。
正式に発表したわけでもないですから、正式でもないっていう。でも別に俺的にはだから何っていう感じです。
SHUSEI:セフレなのか彼女なのか分かんないみたいな笑
一同:笑
ーディストロ目線での質問を少しします。前作まではサブスクとフィジカル両方でリリースしてきたけど、今回は初の配信のみの理由をぜひ教えてほしくて
SHUSEI:CD買わなくない?笑
ーなかなか機会は減ったね笑
ディストロが言うなって話だけど
SHUSEI:買う、買わない、なんつうんだろうな、ちょっと今の話巻き戻していいかな?笑
レイ:今までみたいな売れ方はしないし、今までみたいな買い方もしないよ。CD買う人たちは買い方も変わってるし、今までみたいな感覚で買ってる人はやっぱり少ない。なぜなら、携帯開けば聞けるから。今までとちょっとこう訳がちがう。だから本当にだわりのある人とか、そういう趣味の人とかなんか特別な理由がある人は聞くけど、応援したりとか特別な理由がなければCDは買わないじゃないですか。
SHUSEI:スタートにそれがあってあとね、フィジカル作らない方がリリース早いのよ。スピード感が。やれ中ジャケ作るとかさ、やれCDショップになんだろうプロモーションかけるとか、いろいろ。
そのスピード感も短くしたかったのも、一個の理由としてあるし、(リリースの内容)どうしようかっていう話をレーベルと話してる時に、まあその内容がサイバーパンクな内容だから、その配信だけでネット上だけで出すっていうことに意味があるなと思って。
そこで、なんで盤スんないの?とかさ、そういう会話出来てること自体がもうなんかサイバーパンクだったのよ。そこに問題提起っていうかさ、だから、このまま盤スんないのは面白いなって思って。
って言って、もしかしたら出すかもしれないけど笑
ー前回のEPがTAROで今回HEROでストーリー性を感じるんだけれども、どういうコンセプトでのリリース、メッセージだったのかを教えてください。
SHUSEI:ストーリーはまあもちろんTAROとかと同じ世界観で実はやってて、そもそもTAROからコンセプトEPっていう、まあコンセプトシリーズ(架空の映画のサウンドトラック)。
まあTAROとHERO出そうっていうのはもともと決まってて、んで更にもっと言うと、この次に出る作品。
今全部つながってるTAROとHEROをうまく接続して、そのHEROの先の話。まあ、TAROの前もそうなんだけど、そこを総括しているようなストーリーになってる作品がまあ、この次に出るの。
要は、なんだろう本当完全版というかさ、まあ、次に出る作品のためのって言い方、ちょっとあれだけど。
一本でも楽しめるし、けど、その一番最後に出すやつのスピンオフみたいな形を先に出したみたいな感じなんだよ。
Next Live
Spotify
Apple music
終わりに
コロナ禍を経てリリースされた今回の作品は、今まで抑え込まれていたエネルギーと攻撃性が込められた作品であると同時に、ここからRiLの快進撃が始まる。
オールドスクールのエッセンスを持ちながら、過去から現在までつないできた音楽のバトンを未来につなげるサイバーパンクへと変貌した彼らのサウンド、世界観はどこまで進化し続けるのか要注目である。