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“墨を摺る”. … スイッチが入った日

“描けるもんなら
 描いてみろ”

漁場に 渦巻く 龍神は呟く

一年前 突然 全て封印された…

何処にスイッチが あるのか 彷徨っていた….

一度死んでから 一年目の日

菊を手にした 陶淵明が やって来られた。

部屋の空気感が 変わった。

緊張感から 何処か フワッとした安心感へ

自然な流れ ….

その夜 墨を 摺りだした

生まれてから
お茶と珈琲 和紙と墨の香りの中で
暮らしていた。

いつしか そんな香から逃げるかのように
ガソリンとオイルと 泥の匂いに 包まれる生活に なっていた。

お茶は 自然な流れ  一度仕舞った
暖簾を 再び掲げ
茶師 茶テンダー家元になっていた。

ただ

“墨を 摺る” 忘れていた

この景色を 描いてみたい。
墨で….

“描けるもんなら
 描いてみろ“

龍神は呟く

はい 素直に 描きます


平安な暮らしをする縄文人
浦島太郎な浮世雲

雷雲に包まれ 真っ黒な空
地響きのする稲妻

静かに 静かに 
墨を する


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